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「マカヒキは売らない」京都大賞典(G2)5年ぶり復活劇に金子真人オーナーの愛!?「馬主としての矜持を見た」ベールに包まれた現役続行の真意とは

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「マカヒキは売らない」京都大賞典(G2)5年ぶり復活劇に金子真人オーナーの愛!?「馬主としての矜持を見た」ベールに包まれた現役続行の真意とはの画像1

 まさに陣営の長きにわたる執念が実った一戦だった。

 10日に阪神競馬場で行われた京都大賞典(G2)は、2016年のダービー馬マカヒキ(牡8歳、栗東・友道康夫厩舎)が勝利。約5年ぶりに先頭でゴール板を駆け抜けた。

 1984年のグレード制導入後、ダービー馬が7歳以降まで現役を続行したのが本馬だけということもあり、現役続行に懐疑的な声もあったマカヒキ。しかし、そのすべては「諦め」からくるものであり、今回はそんな“雑音”に負けず、復活を信じて疑わなかったマカヒキ陣営の執念が呼び込んだ勝利だった。

 だが、一方で陣営の中心的存在といえる馬主の金子真人氏(名義は金子真人ホールディングス)は、約5年も結果を残せなかったダービー馬をどのような思いで見守っていたのだろうか。

 過去にマカヒキの父でもあるディープインパクトやキングカメハメハなど、数多くの歴史的名馬を所有した経験があり、個人馬主としては「日本一の成功者」とも言われる金子オーナー。だが、その一方でメディアに登場するシーンは極めて希少で、その意向が語られることはほとんどない。

 マカヒキは日本ダービー(G1)を勝ち、凱旋門賞(仏G1)にも挑んだ名馬。結果が出なければ当然、早期引退、種牡馬入りという選択肢もあったはずだ。

 それでも連戦連敗を重ねるダービー馬の現役を続行させたことには、競馬ファンからも「(負け続けたせいで)種牡馬としての価値もないから、現役を続行させているのかな」というような疑問の声が上がり、やがて「もう引退させてほしい」「マカヒキがかわいそう」という批判的な声にも変わってしまった。

 しかし、そんな金子オーナーの真意を垣間見られたエピソードがこの日、ネット上で話題になっている。

「昨年、マカヒキを買いたいという海外バイヤーの意向を受け、日本のパートナーにアプローチしてもらったことがあります」

 そうツイートしたのはオーナーズ・トラヴァーズサラブレッド創立者としても名高い沼本光生氏だ。トラヴァーズサラブレッドは先月、大井競馬で20馬身差デビューが話題となったランディスシティが所属していることで注目を浴びた一口馬主クラブである。

 沼本氏によると昨年、海外からマカヒキを買いたいという意向があったそうだが、馬主サイドの回答は「興味ナシ」とのことだったという。

 当時のマカヒキは長いトンネルを抜け出せずにおり、引退説さえ囁かれる厳しい状況だったが、金子オーナーには手放す意思はなかったそうだ。

「日本でもネットオークションなどを通じて現役の競走馬が売買される時代になりましたが、海外ではずっと以前から現役競走馬の権利の売買が日常的に行われています。

実は金子オーナーも、2006年に自身の所有馬だったユートピアをアラブ首長国連邦のゴドルフィンへ売却した経験があります。もしかしたら、その時に何か思うことがあったのかもしれませんね」(競馬記者)

 マカヒキは凱旋門賞の前哨戦となるニエル賞(G2)を勝った経験があり、先日の凱旋門賞で有力候補の1頭に挙げられていたスノーフォールの父ディープインパクトの産駒でもある。

 沼本氏を通じて、どこの国のバイヤーがオファーしたかは定かではないが、欧州では貴重な日本の近代競馬の結晶ディープインパクトの血を引くマカヒキを欲しいという声があってもまったく不思議ではない。

「そこに金子さんの、馬主としての矜持を見ました」と同じオーナーとして金子氏の意思を賞賛している沼本氏。マカヒキ復活の裏側には、オーナーの強い愛着があった。

(文=銀シャリ松岡)

<著者プロフィール>
 天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。

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