JRA 阪神C(G2)「世知辛い対決」が死活問題に発展!? 川田将雅「不在」で起こった突然のクビ、窮地の 中堅騎手はリベンジなるか
25日、阪神競馬場で阪神C(G2)が行われる。優勝賞金は6700万円と、G2では札幌記念に次ぐ賞金額を誇る伝統の重賞だ。
今年はG1馬4頭を含む一線級のスプリンターとマイラーが一堂に会する豪華メンバーが集まった。そんなハイレベル必至の一戦で注目したいのが、昨年の覇者ダノンファンタジー(牝5歳、栗東・中内田充正厩舎)だ。
3年前の阪神JF(G1)を制した2歳女王は、それまでのマイルや中距離から短距離へ路線変更した。その効果もあったのか昨年の阪神Cで大本命のインディチャンプを破り優勝。今年も同じ阪神芝1400mのスワンS(G2)を快勝し、連覇に向けて準備万端だ。前走で騎乗した川田将雅騎手も「阪神の1400mというのはとてもこの馬に適した条件」と、太鼓判を押した。
そして今回、同馬に騎乗するのは昨年優勝時にもコンビを組んだ藤岡佑介騎手。川田騎手が12日に行われた香港国際競走へ騎乗した関係で、現在は隔離されており、レースに乗れないため、藤岡佑騎手に白羽の矢が立った。
「代打」の見方が強い藤岡佑騎手だが、ダノンファンタジーに乗るのはこれが4回目。テン乗りだった昨年の阪神Cでも結果を残したため、相性も悪くない。川田騎手が不在でなくとも、鞍上に抜擢された可能性があり、適任者の1人といえるだろう。
そんなダノンファンタジーと藤岡佑騎手にとって今回、絶対に勝たなくてはいけない理由があるかもしれない。
阪神Cには、ダノンファンタジーの僚馬グレナディアガーズ(牡3歳、栗東・中内田充正厩舎)も出走を予定している。グレナディアガーズは昨年の朝日杯FS(G1)優勝の実績があり、今回の有力馬の1頭に数えられている。
だが、グレナディアガーズは今年未勝利で1年以上勝ち星から見放されている。その3歳馬を人気馬の一角へ押し上げているのが、鞍上のC.デムーロ騎手の存在だ。
デムーロ騎手はM.デムーロ騎手の弟で、凱旋門賞(G1)などの海外の大レースをはじめ、日本でもG1を3勝しているトップジョッキーである。現在、短期免許を取得して日本で騎乗しており、阪神JFのナミュールをはじめG1などで引っ張りだこだ。
先週行われた朝日杯FSで騎乗したセリフォス(牡2歳、栗東・中内田充正厩舎)も、手腕を評価されて乗り替わった経緯がある。そのセリフォスの前走に騎乗していたのが、紛れもない藤岡佑騎手なのだ。
セリフォスはデビュー2戦とも川田騎手が騎乗していたが、先述の香港国際競走を優先したため、朝日杯FSは騎乗出来ないことになった。そこで「代役」に抜擢されたのが、川田騎手と同期の藤岡佑騎手だ。川田騎手を重用している中内田厩舎が、藤岡佑騎手も管理馬を多く乗せるなど高く評価していることが関係している。
藤岡佑騎手は当初、デイリー杯2歳S(G2)と朝日杯FSのセットで依頼を受けていた。同騎手は初コンビとなったデイリー杯2歳Sを勝利し、最高の結果で年末の大一番へ向かうと思われていたが、急きょC.デムーロ騎手へと変更された。
敗れたならともかく、前哨戦を勝利しての乗り替わりに、ネット上では様々な声が溢れて物議を醸した。
C.デムーロ騎手に替わったセリフォスだが、1番人気で朝日杯FSへ出走するも、ゴール前でドウデュースに差されて2着。勝利を求めての非情な乗り替わりだったはずなのに、勝てなかったことを受けて、藤岡佑騎手も思うことがあるかもしれない。
藤岡佑騎手としてはコース適性抜群のダノンファンタジーで因縁の相手を破って、リベンジを果たしたいところだろう。また、偶然にもダノンファンタジーとセリフォスは同じ中内田厩舎の馬だ。ダノンファンタジーで結果を出せば、再びセリフォスに騎乗する可能性もある。
奇しくも同レースには、先述の乗り替わりの件をTwitterで「佑介……。俺も条件戦やけど乗り替わり。世知辛い時代に再突入。もっともっと上手くなろう。頑張ろう」と、反応した池添謙一騎手も、ソングラインで参戦。
自身を気遣ってくれた先輩もライバルなのが皮肉な話だが、藤岡佑騎手とダノンファンタジーが勝負に徹して1着を勝ち取ることに期待したい。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……
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