JRA有馬記念(G1)アカイイトのエリザベス女王杯はフロック?それとも真の実力?真っ二つに分かれた「ベテランVS若手」記者の見解
26日には、中山競馬場で第66回有馬記念(G1)が行われる。今年は過去2年と同じ5頭の牝馬がエントリー。近年顕著となった牝馬優勢の時代を裏付けるかのようである。
これが引退レースとなるクロノジェネシスは、前走の凱旋門賞(仏G1)を7着に敗れて以来の一戦を迎える。前人未到のグランプリ4連覇で有終の美を飾れるか。その走りに注目が集まる。
そして牝馬のなかでクロノジェネシスに次ぐ人気を集めそうなのが、アカイイト(牝4歳、栗東・中竹和也厩舎)だろう。
1年前には2勝クラスを走っていたが、今年1月に2勝クラスを勝ち上がると、夏に3勝クラスを卒業。休み明けの府中牝馬S(G2)で7着に敗れた後、エリザベス女王杯(G1)に挑戦すると、10番人気の低評価を覆して下克上を果たした。
前走の勝ちっぷりは実に鮮やかだった。スタートで遅れると、道中は後方4~5番手を追走。4コーナー手前で外から一気に前に進出すると、直線早めに先頭に立ちそのままゴールイン。G1初挑戦とは思えない強烈な末脚を繰り出し、2着ステラリアに2馬身差をつける完勝だった。
このアカイイトの勝利を「フロックだ」と主張したのはあるベテラン記者だ。
「今年のエリザベス女王杯は差し・追い込み馬が掲示板を独占したように、中団から後方にいた馬に展開が向きました。前後半3ハロンのラップを比べると前半34秒1に対し、上がりは36秒5という後傾ラップ。まさに後ろの馬にとって、おあつらえ向きの展開だったといえるでしょう。
500kgを超える馬体のアカイイトには連続開催6週目のタフな馬場も合っていたと思います。牝馬限定G1で、すべてがうまくかみ合っての激走ですから。メンバーレベルが一気に上がる今回はノーマークでいいでしょう」(競馬記者A)
これに対し、アカイイトに厳しい判定を下したベテラン記者に異論を唱えたのがデビュー当初から同馬に注目していたという若手記者だ。前走は展開と馬場を味方につけたことは認めつつ、有馬記念でも勝つチャンスがあるという。
「アカイイトは牝馬三冠レースとは無縁で、裏街道を歩んできました。4歳馬ですが、すでに20戦を消化している非常にタフな牝馬です。叩き3戦目となる今回は前走以上のパフォーマンスを発揮する可能性もあり、侮れない1頭と考えています。
前走は前掛かりの展開と馬場に恵まれたのは事実ですが、2着以下が大激戦となったレースでつけた『2馬身差』は決定的です。逃げ先行馬が揃う今回は前走以上に展開も向きそうですし、直線に急坂がある非根幹距離の阪神2200mと中山2500mの相関性も無視できません。エリザベス女王杯経由の牝馬は昨年のサラキア、17年のクイーンズリングが2着して穴をあけていますし、本格化した今でも甘く見ると、痛い目に遭いますよ」(競馬記者B)
果たしてアカイイトの前走はフロックだったのか、それとも本格化した証しなのか……。近年、牡馬勝りの牝馬が増えたとはいえ、これがまだ2度目のG1。最後までその取捨に頭を悩ませそうだ。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。
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