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JRAコントレイル、ラヴズオンリーユー「看板馬」引退で大ピンチ!? 厩舎躍進の鍵を握る「来年はG1を目指せる器」

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コントレイル

 11月に行われたジャパンC(G1)では、昨年無敗で3冠を達成したコントレイルが有終の美を飾り、「早すぎる」と惜しまれながらも4歳にしてターフを去った。それから間もなく、今年海外G1を3勝という日本馬史上初の大偉業を達成したラヴズオンリーユーが、先日行われた香港C(G1)を最後に引退となった。

 両馬とも矢作芳人厩舎の看板として、多くの活躍を見せてくれたことは記憶に新しい。お互いラストランを勝利で終え、記録にも記憶にも残る大団円で幕を閉じた。

 しかし深刻なのはその「看板馬」2頭が抜けた矢作厩舎の状況だ。直近では日本馬として海外ダートG1を初めて制したマルシュロレーヌが話題を集めたが、芝G1馬は一気に不在と化した。今年の鳴尾記念(G3)を勝利し、次走の宝塚記念(G1)で2着したユニコーンライオンや福島記念(G3)を勝ったパンサラッサなど、頭角を現してきた馬もいるものの、G1で頼れる存在かとなるとまだまだ疑問が残る。2頭の抜けた穴はそれほど大きい。

 近年の矢作厩舎を見ていると、モズアスコットやリスグラシュー、コントレイルやラヴズオンリーユーなど錚々たるタレントが登場し、名門厩舎として確固たる地位を築いているが、実はなかなか日の目を見ない時代もあった。

 厩舎開業初年度の2005年から、スーパーホーネットで朝日杯FS(G1)に挑戦し、2着に入るなど早くから結果を残したが、初G1勝利にはそこから5年を要した。その後はグランプリボスが厩舎の顔となり、12年にはディープブリランテで日本ダービー(G1)を初制覇。トレーナーとして順風満帆かに思われた。

 しかしそこから18年の安田記念(G1)をモズアスコットで勝利するまでの6年間は、国内G1“ゼロ”勝の苦境に立たされた。唯一例外と言えるのは、16年に海外のドバイターフ(G1)を勝ったリアルスティールが挙げられるが、この馬も国内G1においては最後まで勝利するには至らなかった。

 必ずしも全てが順調に進んでいたわけではなく、あの世界の矢作師でさえも低迷期を経験した。それだけに、新たなスター誕生が厩舎の急務となっている。

 そんな矢作厩舎の窮地を救うべく、今週末25日(土)に行われる阪神C(G2)にホウオウアマゾン(牡3、栗東・矢作芳人厩舎)がスタンバイ。翌日の有馬記念(G1)には同厩舎のパンサラッサが出走するだけに、いい流れでバトンを繋ぎたいところだ。

 ホウオウアマゾンは、デビュー当初からセンスの良さと持ち前の勝負根性を武器に重賞戦線で活躍。G1にはなかなか届かない状況が続いているが、矢作厩舎の3歳馬のなかでは賞金も実績も1番手だ。

 前走のマイルCS(G1)では、1枠1番という好枠からハナを奪い、レースを引っ張る形に。最後は有力馬たちの決め手に屈したが、先着を許したのはG1馬のみ。先日香港マイル(G1)で3着に好走したサリオスには、一度交わされながらももう一度差し返す気迫をみせた。勝ち馬グランアレグリアから0.4秒差の5着なら内容は上々だ。

 今回も相手は昨年の朝日杯FSの覇者グレナディアガーズや今年のNHKマイルC(G1)で2着のソングライン、昨年からの連覇を狙う“千四の鬼”ダノンファンタジーなど強敵が集まったが、逆転の可能性は十分にある。

 直前の追い切りでは、本番で手綱を取る坂井瑠星騎手を背に、栗東坂路で4ハロン54秒9-12秒6を馬なりでマーク。管理する矢作師は「思っていたより少し遅かったけど、いい状態だと思います。来年はG1を目指せるだけの器だと思っている」(『日刊スポーツ』より引用)とコメント。この馬への期待の高さが窺える。

 今回のレースは、矢作厩舎の黄金時代継続のため大事な一戦となる。前々走のスワンS(G2)からコンビを組んでいる坂井騎手も、師匠である矢作師が管理するこの馬には特別な想いで騎乗するだろう。矢作厩舎の新しい顔となるべく、ホウオウアマゾンの今後の活躍に注目だ。

(文=ハイキック熊田)

<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?

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