
JRA「70万馬券」立役者の好走は必然だった!?AJCC(G2)盲点となったハイレベル戦の「カラクリ」
23日、中山競馬場で行われた伝統のG2・アメリカジョッキークラブC(以下AJCC)は、横山典弘騎手の3番人気キングオブコージが勝利した。同騎手は、シンザン記念(G3)に次ぐ今年重賞2勝目。騎乗停止明けの三男・横山武史騎手が土日で6勝を挙げるなか、それに負けず劣らず父の存在感を示した。
C.ルメール騎手の1番人気オーソクレースは6着、川田将雅騎手の2番人気ポタジェは5着と、人気2頭が共に馬券圏外に敗れ、3連単の配当は70万円を超える波乱の決着となった。
波乱演出の立役者は、2着に入った松岡正海騎手のマイネルファンロン(牡7、美浦・手塚貴久厩舎)だ。8枠14番という大外枠や前走の大敗も嫌われたか、最終的に単勝87.9倍の11番人気という低評価を覆した。前を行った馬たちが総崩れとなった展開もハマった印象はあるが、勝ち馬と一緒に伸びてきた脚は実力の証といえる。
マイネルファンロンといえば、思い出されるのは昨夏に行われた新潟記念(G3)の勝利だろう。いつもの先行策とは異なり、この日はスタートで躓いたため、最後方からの競馬だった。だが、当時の鞍上のM.デムーロ騎手が冷静に対処。最後の直線で外に持ち出すと、単勝12番人気の伏兵扱いを嘲笑うかのような大外一気を決めた。
そして、このレースをただ波乱に終わっただけと決めつけることは、早計だと証明したのが、出走したメンバーのその後の好走である。
まずは、次走以降に勝利した馬(新潟記念の着順)だと、アンドロメダS(L)のラーゴム(12着)、京都金杯(G3)のザダル(13着)、中日新聞杯(G3)のショウナンバルディ(14着)が挙がる。
次に複勝圏内という括りだと、エリザベス女王杯(G1)で3着のクラヴェル(3着)、日経新春杯(G2)で3着のヤシャマル(4着)、オクトーバーS(L)で2着のプレシャスブルー(6着)、そしてAJCCで2着のマイネルファンロン(1着)などがいる。
他にも、日経新春杯で4着だったエフェクトオン(8着)やオクトーバーSで4着のレッドサイオン(10着)など、それぞれ人気以上の激走を見せている。
こうして上記の結果を振り返ると、昨年の新潟記念はかなりのハイレベルだったことがわかるはずだ。
「新潟記念は、夏の新潟開催最終日という事もあり、例年馬場の状態が悪いです。特に昨年は、中間や前日土曜に降った雨の影響もあり、いつも以上に力のいるタフな馬場状態でした。
ジョッキー達が馬場の悪い内側を嫌い、目一杯外に馬群がばらけるのは、夏の新潟競馬の風物詩ともいえますが、勝ったマイネルファンロンが通ったのは大外のまさにラチ沿い。まるで千直のレースを思い浮かべるような、最後の追い比べでした。
それでいて勝ち時計は1分58秒4と好タイムでしたので、馬場状態や距離ロスを考えれば、レベルが高かったといえるでしょう。大敗した馬でもこれだけ後に好走しているのですから、結果が物語っています」(競馬誌ライター)
出走馬全頭の単複を、その後好走するまで買い続けても、今のところ余裕のプラス収支だ。離されて敗れたシンガリとブービーだった2頭については、その後結果は出ていないが、サトノアーサー、リアアメリア、パルティアーモあたりは、今後どこかに出走してくれば、思わぬ高配当をもたらせてくれそうな存在だ。
いわゆる「ハイレベル戦」だった可能性が高い新潟記念組。今後の穴馬券ゲットへの大きなヒントとなるかもしれない。
(文=ハイキック熊田)
<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?
PICK UP
Ranking
23:30更新M.デムーロ「今回はさすがに飲んじゃった」無念の降板から朗報!コンビ継続で2年ぶりV狙うチャンピオンズC…「無敗の怪物バトル」まで負けられない?
【有馬記念】イクイノックス引退、リバティアイランド年内休養でも超豪華!皐月賞馬とダービー馬の激突も実現…最大の注目は「武豊ドウデュース」の復活?
武豊チャンピオンズC「前日」も痛い乗り替わり! 中距離路線の「新星」放出の危機?
- 「ユタカじゃないと乗りこなせない」レジェンドの降板がお手馬にも影響 武豊「騎乗不可」でも再登板は叶わず…チャンピオンズC(G1)主戦の川田将雅は他の馬に…【週末GJ人気記事ぶった斬り!】
- チャンピオンズC「レモンポップは残り100mで止まる?」。G1馬が馬群に沈む決定的根拠&波乱を呼び込む関西馬とは
- 世界最強イクイノックスよりも「高評価」を得た馬がまさかの低迷!? 川田将雅も指摘の「ウィークポイント」克服で見出したい活路
- 【香港マイル】獲得賞金「イクイノックス超え」の最強マイラーが出走!新王者ナミュールら「日本の精鋭」たちに立ちはだかるのは?
- 【チャンピオンズC】「最強助っ人」とコンビ復活の3歳馬VS新・砂の女王!? ドゥラメンテ産駒2頭の対決が「密かな注目」を浴びるワケ
- 「ルメール×川田を買っておけば……」から様相一変!? “2強ムード”チャンピオンズC(G1)は鞍上に「不安」あり?
- 短距離馬ドレフォンが輩出した「異色のステイヤー」がステイヤーズS(G2)で重賞初挑戦!イクイノックス破ったジオグリフに続く活躍を期待
関連記事
JRA川田将雅「ロケットスタート」でもシルバーコレクター濃厚!? 4度目の正直に立ちはだかる天敵のモデルチェンジ
JRA「僕にとって初」人馬揃って晩成タイプ!? 乗り替わりでG1勝たれた苦労人から意外過ぎるコメント、デビュー「26年目」でようやく手にした殊勲星
JRA横山典弘「本気ポツン」で父の威厳見せた! AJCC(G2)8戦5勝「相思相愛」コンビでG1獲りも視野、武史エフフォーリアとガチンコ対決待ったなし?
JRA C.ルメール「大外ブン回し」に疑問の声!? 単勝2.2倍の1番人気も、ちぐはぐ競馬で痛恨の2着…
JRA“イジメ”のような神展開に霜降り明星・粗品ブチ切れ確実!? これぞ「逆神」たる所以か…狙い通りの単騎逃げ成功も、まさかの1、2番人気強襲で撃沈