JRA「軽く飛べる本物」武豊が受けたディープインパクト級の衝撃!きさらぎ賞(G3)圧巻の8馬身差デビューから潰えた儚い夢
6日、中京競馬場では伝統の3歳重賞、きさらぎ賞(G3)が行われる。
このレースでアスクワイルドモア(牡3歳、栗東・藤原英昭厩舎)とコンビを組むのは武豊騎手だ。これまで全5戦に騎乗し、未勝利戦を勝利した直後の札幌2歳S(G3)でジオグリフの2着に好走。賞金加算に成功したが、休み明けで臨んだホープフルS(G1)は、道中の落鉄も影響し10着に敗れた。それでも陣営が「叩いて良くなっている」と話す今回は巻き返しを期待していいだろう。
武騎手は、今回のきさらぎ賞で27回目の騎乗。これまで1998年スペシャルウィークなどで通算6勝している相性のいいレースだが、1番人気での敗戦も7回を数える。
そのうち3回は単勝オッズ1.3倍という断然人気での裏切りだった。なかでも「64パーセント超」という高い単勝支持率を誇った2007年の敗戦を記憶しているファンもいるのではないだろうか。
武騎手が騎乗したのは前月に3歳新馬戦を勝ったばかりのオーシャンエイプスというマヤノトップガン産駒。デビュー戦で8馬身差をつけた勝ちっぷりから、一躍クラシック候補に浮上していた。
実際にデビュー戦で手綱を取った武騎手も当時の心境を自身の公式サイトで次のように記していた。
「楽しみな馬とも出会いました。土曜日の京都でデビューした、オーシャンエイプスという明け3歳の牡馬です。(中略)マヤノトップガンの産駒ですが、ホント?サンデーサイレンスじゃないの?という感じがしてしまうぐらいの切れ味でした。もう1戦、レースぶりを見てみないとわからない面もありますが、スター候補の素質は十分です」(2007年1月22日付)
07年といえば、前年暮れの有馬記念(G1)でディープインパクトが現役を引退したばかり。“次のディープインパクト”登場に武騎手も胸を膨らませていたのか、きさらぎ賞直前の日記には次のように記していた。
「新馬戦の勝ちっぷりといい、今朝の走りといい、素晴らしいもので、これは本物だと思います。ディープインパクトと比較するのはまだ早すぎますが、この馬も『飛べる』素材です。今朝だって、軽くですが飛んでいました」(2007年2月7日付)
『軽く飛べる本物の素材』と題した日記からも武騎手のオーシャンエイプスに対する期待の高さが伝わる絶賛ぶりである。
そんな武騎手の入れ込みようも相まって、「父マヤノトップガンの最高傑作になるのでは」とまで期待されたオーシャンエイプスだったが……。きさらぎ賞で4着に敗れると、その後もことごとく1番人気を裏切り、結局クラシックには間に合わなかった。
それでも3歳秋になって、3連勝でオープン入り。4歳春には安田記念(G1)にも出走した。ようやく軌道に乗りかけたオーシャンエイプスだったが、脚部不安で2度の長期休養を挟み、結局重賞を勝つことなく8歳夏に現役を引退した。
デビュー当初の素質を開花させることはなかったが、15年前のきさらぎ賞前に醸し出した“ワクワク感”は間違いなく本物だった。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。
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