JRA武豊「他の馬がモタモタ……」責任転嫁でM.デムーロに“恨み節”も……、チューリップ賞(G2)“共倒れ”でも両者の思惑に大きな隔たり
5日、阪神競馬場で行われたチューリップ賞(G2)を制したのは、横山武史騎手の1番人気ナミュールだ。前走の阪神JF(G1)でも1番人気に支持されていたが、このときはスタートで痛恨の出遅れての4着。不完全燃焼に終わった前走の屈辱を晴らした。
ナミュール勝利も25万馬券…約30分前にあった顔面蒼白の出来事
「人気していましたし、賞金的にも権利は絶対欲しいと思っていました。馬の力だけで勝てました」
これが初騎乗となった横山武騎手だが、直線では前が窮屈になり、スムーズさを欠いて冷やっとするシーンも。馬に助けられた自覚はあるようで、本番でどう修正してくるかに注目したい。
賞金面で不安があったナミュールが完勝した一方、賞金面で不安のないライバル2頭はいかにもトライアルらしい競馬。2番人気に甘んじた2歳女王サークルオブライフは、これまでの差す競馬から好位4番手につける積極策で3着。3番人気ウォーターナビレラは、直線で進路探しに手間取った影響もあって5着に敗れた。
その一方で、サークルオブライフのM.デムーロ騎手も、ウォーターナビレラの武豊騎手も、いわば“王道”に近い騎乗で最高の結果を出した勝ち馬に比して、いかにもトライアルらしい試行錯誤が垣間見える騎乗ぶりに映った。
■人気を分けた武豊とM.デムーロの思惑
とはいえ、両者の思惑には大きな隔たりがあったことにも触れておきたい。
デムーロ騎手が積極策を選択した理由には、「内の馬が残る馬場なのでポジションを取りにスタートで前へ出して行った」と、本人も振り返っていることから、前残りの目立つ現在の阪神の芝コースを意識してのもの。これまでのような後ろからでは間に合わないと読んでの位置取りだろう。
だが、武豊騎手の場合は「新しいレースをしましたが、問題なかったです」というコメントからも察しがつくように、馬場とは関係なくパートナーが使える脚を測ったかのような普段より一列二列後ろからの競馬だった。
直線まではある程度想定内だったとは考えられるが、いざ追い出そうとしたタイミングで前にいたサークルオブライフが邪魔になり、脚を余すような格好でのゴール。これまで同様に積極的な競馬を試みていれば、このような事態は避けられたかもしれない。
「同じトライアルでも、あまり得るもののなかった武豊騎手と、勝負に徹して馬券圏内に残したデムーロ騎手の明暗が分かれました。いかにもトライアルだからやれたレースといえそうです。
ウォーターナビレラは直線入り口で1頭分だけスペースが空いていたんですが、高倉稜騎手のピンハイに入られて万事休すでしたね。あそこを突くことが出来ていたら、違った結果になったかもしれません」(競馬記者)
敗戦を振り返った武豊騎手だが、むしろ壁になったサークルオブライフのデムーロ騎手に「他の馬がもたついて待たされるところがありました。次に向けては良いレースができました」と、前向きな“恨み節”が出たようなら悲観の色はない。
レースを観戦した元JRA騎手の安藤勝己氏も自身のTwitterにて「サークルオブライフはゲート良かったし、馬場に逆らわず行かせた。これで本番はタメるでしょ。ウォーターナビレラは真逆のお試しで次は行くと思う」と両者の“原点回帰”を予想した。
トライアルの教訓を活かした本番で、どう巻き返してくるだろうか。
(文=黒井零)
<著者プロフィール>
1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。
PICK UP
Ranking
17:30更新- ルメール軍団「誤算続き」で迷走中?使い分けの弊害に一部ファンから疑問の声
- クロワデュノール「世代最強説」に現実味も…ダービー馬候補が未勝利戦より遅い時計の怪
- 武豊×ドウデュース完全包囲網で波乱含み!?豪華メンバーのジャパンCにチェルヴィニア、ブローザホーン、オーギュストロダンら最強メンバー集結。レジェンド元JRA騎手の見解は?
- 「別競技」の高速馬場で欧州最強マイラーの意地見せたチャリン!ジャパンC参戦オーギュストロダン、ゴリアットに朗報?
- C.ルメール「アンラッキー」な過怠金に謝罪…マイルCSでも「牝馬のC.デムーロ」の手綱冴えるか?
- エアスピネル降板に武豊騎手は「何」を思う……8年前、すべてを手にしてきた天才騎手が”最大級”の屈辱を味わった「ウオッカ事件」とは
- 【京都2歳S(G3)展望】藤田晋オーナーの大物エリキングが登場! ジョバンニ、サラコスティがリベンジに燃える
- 【ジャパンC(G1)展望】「ディープ」オーギュストロダンVS「ハーツ」ドウデュース、2005年有馬記念から19年越しの最終決戦!
- 春のG1戦線に水を差す「醜聞」続く…現役騎手の父に詐欺容疑、G1馬オーナーが逮捕
- 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
関連記事
JRA【中山牝馬S(G3)展望】M.デムーロVS武豊! 前走“軽ハンデ”で重賞勝利の2頭が急遽「乗り替わり」テルツェットに挑む
JRA武豊「2歳女王」への再登板叶わず……高松宮記念(G1)期待された1年越しのリベンジから一転「見学」の可能性も浮上か
JRA「お試し騎乗」武豊に非難轟々!? チューリップ賞(G2)ウォーターナビレラ「前壁」不完全燃焼5着に、弥生賞(G2)ドウデュースも心配?
JRA「弥生賞(G2)の法則」で武豊ドウデュース勝率100%!? ディープインパクト、スペシャルウィーク……最多8勝を誇るレジェンドに強烈追い風
JRA「最後の未勝利戦」を敗れて中央追放からの逆転ホームラン! 武豊、期待のクラシック候補がダービーどころか目の前の1勝が遠い現実…中山記念(G2)最下位の消せない心の傷【週末GJ人気記事ぶった斬り!】