元JRA安藤勝己氏「引くべきやった」松山弘平の判断ミスを指摘!? 帝王賞(G1)明暗分かれた「自爆」の対処…テーオーケインズにも新たな課題が浮上
29日、大井競馬場で行われた第45回帝王賞(G1)は、浜中俊騎手の5番人気メイショウハリオが優勝。ダート版の宝塚記念(G1)といえる好メンバー相手に初のG1タイトルを手に入れた。
G3は昨年のみやこSや今年のマーチSを制していたものの、ライバルはテーオーケインズだけでなく、チュウワウィザードやオメガパフュームといったG1を制している歴戦の猛者ばかり。
単勝1.5倍の大本命テーオーケインズには、直接対決した前走の平安Sで約5馬身差の完敗を喫していただけでなく、相手は海外遠征帰りで自身より2キロ重い斤量となった59キロのトップハンデだった。
2頭の逆転を予想できたファンが少なかったことは、メイショウハリオの単勝19.2倍という数字にも表れている。
「気持ち良かったです。ありがとうございます。今日のメンバー相手に勝てた、というのは本当に大きな自信になったので、次のレースにも期待したいです」
明暗分かれた「自爆」の対処…
レースをそう振り返った浜中俊騎手としても会心の騎乗。「思いのほか道中は理想通りの展開」「自分の中で一番理想的なプラン」「思った通りのポジションだった」というコメントからも、やることなすことすべてが噛み合ったことが伝わってくる内容だ。
これに対し、松山弘平騎手とのコンビで断然人気を裏切る4着に敗れたテーオーケインズは、勝ち馬とは逆に理想とは程遠い結果。前走で楽勝した相手に今回は約5馬身半の差をつけられるリベンジを許してしまった。陣営にとってもさすがにこの敗戦はショックだろう。
ではなぜここまで不甲斐ない負け方をしたのかとなると、大きな理由の一つとして考えられるのは、スワーヴアラミスに騎乗した松田大作騎手の“自爆”に翻弄されたことが思い当たる。
ダートの2000m戦で前後半1000mの通過は62秒5-60秒8。ラップ的にはスローペースから後半の上がり勝負に見えなくはないが、1000m手前でスワーヴアラミスが外から猛然と上がって行ったことにより、先行勢は一気にペースアップを強いられた。テーオーケインズも同じタイミングで釣られるように加速して直線の粘りを欠くことに繋がった。
ただ、結果的にこれが仇となったことを思えば、無理に付き合う必要はなかったのではないかという疑問も浮かぶ。
これには元JRA騎手の安藤勝己氏も自身のTwitterで「気温も相まってあの展開になると前は堪える。テーオーケインズはスワーヴアラミスが来たタイミングで引くべきやった」と回顧。暗に松山騎手の経験不足を指摘しているようにも受け取れる言葉だろう。
「松山騎手の判断は少し強気過ぎたかもしれませんね。スローの逃げに持ち込もうとしたオーヴェルニュ、これを2番手でマークしていたクリンチャーが譲らなったのはまだ分かります。
テーオーケインズは3番手でしたが、行くのも控えるのもどちらも選択可能なポジションでした。安藤さんが指摘したように、一旦先に行かせてからでも問題なかったように感じますね」(競馬記者)
松山騎手は「枠は良かったですし、良い形で流れに乗ったのですが……」と考えていたらしいが、レースはテーオーケインズのすぐ後ろにいたメイショウハリオ、チュウワウィザード、オメガパフュームの順で入線。これら3頭に騎乗していた浜中騎手、川田将雅騎手、M.デムーロ騎手は付き合わない選択をしていたのだから、早仕掛けだったという声が出ても仕方がない。
テーオーケインズにも新たな課題が浮上
とはいえ、気になったこともひとつある。それはテーオーケインズが力のいるダートで好走していない点だ。
昨年の帝王賞を圧勝しているものの、このときは重での開催。良で行われた一昨年の東京大賞典(G1)や昨年のJBCクラシック(G1)、今年のサウジC(G1)では、見せ場すら作れずに敗れているのだ。もしかしたら中央の軽いダートは問題がなくても、よりパワーを求められる地方競馬のダートではパワー不足の可能性も十分考えられる。
ただの偶然の可能性もあるが、この推測が当たっているようなら、再び良開催の地方重賞に参戦する際には、危険な人気馬となるのかもしれない。
(文=黒井零)
<著者プロフィール>
1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。
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