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JRAラジオNIKKEI賞(G3)「遅れてきた大器」が無傷の3連勝! ドゥラメンテ調教師が「南半球の怪物」と初めてクラシック制覇を見据えた日

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JRAラジオNIKKEI賞(G3)「遅れてきた大器」が無傷の3連勝! ドゥラメンテ調教師が「南半球の怪物」と初めてクラシック制覇を見据えた日の画像1

 先月26日に行われた宝塚記念(G1)は、横山和生騎手の2番人気タイトルホルダーがレコード勝ち。2016年に惜しくも2着に敗れた父ドゥラメンテの無念を晴らす圧巻の快勝劇で上半期が幕を閉じた。

 春のG1戦線では、上述したタイトルホルダーが天皇賞・春(G1)と宝塚記念を連勝し、3歳牝馬のスターズオンアースが桜花賞(G1)とオークス(G1)の2冠を達成するなど、ドゥラメンテ産駒が大活躍。今秋のG1戦線でも、また新たな同産駒のスターが誕生する可能性も大いにあるといえよう。

 そんなドゥラメンテを現役時代に育て上げたのが堀宣行調教師である。

 今年開業21年目を迎えた堀師にとって、同馬は2015年に初めてクラシック制覇を成し遂げた特別な存在でもある。種牡馬となって第2のキャリアを歩んでいた同馬が昨年死亡した際には「まだ9歳と若いのにもかかわらず、前途が絶たれたのが残念」と悔やんでいたが、こうして産駒たちが大舞台で結果を残し、この血筋が受け継がれていくことを誰よりも喜んでいるはずだ。

 近年は毎年のようにクラシック戦線に有力馬を送り込む堀師だが、初めてクラシック制覇を意識した存在がロックドゥカンブだったかもしれない。

 同馬は2006年4月に豪州・シドニーで開かれたイースター・イヤリングセールにて、ノーザンファーム代表の吉田勝己氏が購入した馬。日本とは生産時期が異なる南半球のニュージーランド産だったこともあり同馬は9月生まれだった。

 日本で競走馬として走るということは、同世代たちと比べ約半年ほどのハンデを背負うことになるが、その分、南半球産馬への負担重量を軽減する規定があった。

「遅れてきた大器」が無傷の3連勝!

 2007年の3月にデビューすると、新馬戦、条件戦をともに難なく勝ち上がり、重賞初挑戦となったラジオNIKKEI賞(G3)では2番人気に支持され、外目の13番枠から先行して押し切る強い内容。遅生まれのハンデを物ともせず、無傷の3連勝で一気に秋の主役候補へと名乗りを上げた。

 その後、オーストラリアのG1参戦プランが一時浮上するも、当時日本で流行していた馬インフルエンザの影響で遠征を断念し、秋はクラシック最後の一冠・菊花賞(G1)を目指すことに。前哨戦に選んだセントライト記念(G2)でも1番人気に応える快勝を見せ、遅咲きの無敗馬が本番でも主役をはることとなった。

 しかし本番の菊花賞ではこれまでとは違い後方からレースを進め、直線で先に抜け出したアサクサキングスを捕えきれず3着と初めての敗戦を味わった。管理する堀師にとってはクラシック初制覇が目前だったものの、惜しくも戴冠を手にすることは出来なかった。

 その後は3歳ながら挑戦した有馬記念(G1)で4着に奮闘。手綱を取ったアイルランドの世界的名手M.キネーン騎手は「すごくよく走ってくれた。3歳で古馬相手にこれだけ走れれば満足している」とレース後に振り返り、「海外遠征するプランがあるようだが、それにふさわしい馬だ。来年もこういう競馬が出来れば非常に楽しみ」と絶賛したことからも、今後の期待を大いに感じさせた。

 古馬となった翌年は目黒記念(G2)から始動して3着に好走。続く宝塚記念ではファン投票で10位だったものの、最終的に2番人気に支持される。陣営は結果次第で、英国のキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1)への出走も視野に入れていた。

 ところが、直線でいつもの伸びは見られず12着と大敗。レース後に左後繋靭帯断裂と診断されたことからも敗因は明らかだったが、まだまだこれからという時期に怪我による引退を余儀なくされた。

 その後は、生まれ故郷のニュージーランドにて2010年に種牡馬入りを果たす。2016年には産駒のヒーズアワロッキーが豪G1のトゥーラックハンデ(G1)を制し、遠い異国の地から日本のファンに吉報を届けた。

 現役時代にロックドゥカンブを手掛けたノーザンファーム天栄の木實谷雄太場長が「あの馬自身もG1を勝てるだけの力があると期待していたので、今回のニュースは本当にうれしい」(『デイリースポーツ』より引用)と喜びを語っていたことを考えると、同馬がいかに期待されていたかがよくわかる。

 当時、ロックドゥカンブがデビューした2007年は開業6年目だった堀師。現在は言わずと知れた名トレーナーだが、クラシック制覇を意識するような存在はこの馬が初めてだったといえよう。

 あれから時は経ち、3日にはあのロックドゥカンブも制したラジオNIKKEI賞が福島競馬場で行われる。2018年の同レースで2着したフィエールマンが菊花賞を制したことは競馬ファンの記憶にはまだ新しいはずだ。今年出走する13頭の中にも、クラシック最後の一冠を賑わす上がり馬が隠れているかもしれない。

(文=ハイキック熊田)

<著者プロフィール>
 ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?

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