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JRAラジオNIKKEI賞(G3)「残念ダービー」の評価を覆したマルゼンスキー伝説の圧勝劇…世代のトップクラス相手に“遊んで”大楽勝!? その血を受け継ぐ3頭に高まる期待

JRAラジオNIKKEI賞(G3)「残念ダービー」の評価を覆したマルゼンスキー伝説の圧勝劇…世代のトップクラス相手に遊んで大楽勝!? その血を受け継ぐ3頭に高まる期待の画像1

 3日、福島競馬場で行われるラジオNIKKEI賞(G3)。クラシック戦線での活躍には1歩届かなかった馬が、秋の飛躍を目指して集うレースとなっている。

 ラジオNIKKEI賞は1952年に中山4歳Sとして創設された歴史のあるレース。度々名前を変え、施行場も中山から福島へと移りながら現在まで続き、今年で71回目を迎える。1955年から1967年までは出走資格に「除東京優駿競走の勝馬」とあったことから、現在でも度々“残念ダービー”と揶揄されることのあるレースである。

 しかし過去にはその“残念ダービー”を勝利した馬が、当年のダービー馬以上に高い評価を受けたことがあった。1977年に勝利したマルゼンスキーである。

 マルゼンスキーは母が米国から輸入され、その際に身ごもっていた仔として生まれた持ち込み馬。父はイギリス3冠馬・ニジンスキー、母の母は米国でも屈指の成績を収めた名牝という、当時の日本競馬では規格外と言っていいほどの世界水準の良血馬だった。

 恵まれた血統からくる才覚を存分に生かしたマルゼンスキーはデビュー以来、日本競馬で圧倒的な成績を収める。その象徴と言えるのが3歳(現2歳)の頂点を決める朝日杯3歳S(現・朝日杯FS)であり、世代のトップクラスを相手に後続を13馬身以上ちぎる圧倒的な大差での勝利を挙げた。

 順当にいけばクラシック3冠は確実ともいえるほどの力を持っていたマルゼンスキー。だが当時の規定では持ち込み馬は外国産馬と同様の扱い、つまりマル外として扱われていたためクラシック挑戦は不可能だった。

 この境遇に対して、主戦を務めていた中野渡清一騎手が「枠順は大外でいい。他の馬の邪魔は一切しない。賞金もいらない。だからマルゼンスキーを日本ダービーで走らせてくれ」と嘆いたエピソードは現在でも広く知られている。

世代のトップクラス相手に“遊んで”大楽勝!?

 こうした経緯もあって日本短波賞(現・ラジオNIKKEI賞)へ挑むこととなったマルゼンスキー。レースではスタート直後から一気に後続を突き放してリードを作ったのだが、3角の手前で突如失速してしまう。

 この不自然な失速には思わず実況も「何か起こったか?」と驚きの声を上げていた。徐々に後退し、後続との差が縮まっていくマルゼンスキー。故障も心配される程であったが、後続馬に迫られたところで再び猛烈な加速を開始。その後は1頭だけ次元が違う脚色で後続を突き放し、終わってみれば7馬身差の圧勝であった。

 このレースには当代のダービー馬であるラッキールーラに勝利した経験もある、プレストウコウも出走していた。このプレストウコウはその後、秋に菊花賞をレコード勝ちする程の馬だが全くマルゼンスキーの相手にはならず。世代のトップホースを相手にチグハグな競馬で“遊んで”大楽勝したマルゼンスキーの強さが際立つレースであった。

 マルゼンスキーは、この次に臨んだ短距離Sの勝利を最後に屈腱炎でターフを去ることになるのだが、通算で8戦8勝、2着につけた差は合計61馬身という圧倒的な戦績を残した。引退後は種牡馬としても活躍し、日本ダービー(G1)を制したサクラチヨノオーなどを輩出。直系は衰退傾向にあるものの、その血は現代まで脈々と受け継がれている。

 今年のラジオNIKKEI賞には、マルゼンスキーの血を受けるエピファネイアの産駒が3頭出走する。その内の2頭は上位人気が確実な、メンバー中でも屈指の実力馬だ。

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サトノヘリオス

 サトノヘリオスは初勝利となった未勝利戦、続いて勝利したエリカ賞(1勝クラス)の2戦連続でレコードをマークした期待馬。一時は世代でも上位の評価を受けていたが、ホープフルS(G1)、皐月賞(G1)では共に2桁着順に敗れてラジオNIKKEI賞に回ってきた。大器の片鱗を伺わせる馬だけに、ここで復活の足掛かりを掴んで秋へと繋げたいところだろう。

 同様に、ソネットフレーズも期待を受ける1頭だ。デイリー杯2歳S(G2)ではセリフォスとタイム差無しの2着に好走している。半年の休養明けで臨んだ前走のNHKマイルC(G1)では残念な結果に終わったが、今回は1度叩いて状態が上向いているはず。本来の力を発揮すれば侮れない存在だ。

 春のG1戦線では不完全燃焼に終わった2頭だが、当初の期待から考えれば秘めたる能力は世代でも屈指のものがあるはず。持てるポテンシャルが発揮されれば、ラジオNIKKEI賞の舞台でマルゼンスキーのような印象的な勝利を収める可能性も十分にあるだろう。もう1頭のエピファネイア産駒タガノフィナーレを含め、秋の飛躍へ向けてみちのくで奮闘する3頭の走りに期待だ。

(文=エビせんべい佐藤)

<著者プロフィール>

 98年生まれの現役大学院生。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。幸か不幸か、進学先の近くに競馬場があり、勉強そっちのけで競馬に没頭。当然のごとく留年した。現在は心を入れ替え、勉強も競馬も全力投球。いつの日か馬を買うのが夢。

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