
セレクトセール4億円馬、3億円馬ら誤算続きも問題なし!? 今年も17億円爆買い、超エリート軍団「ダノン」の真実

ウマ娘の藤田晋オーナーの22億円を超える“爆買い”が大きな話題になった今年のセレクトセールだが、その陰に隠れながらも存在感を見せつけたのが、2日合計約17億円を投下したダノックスこと「ダノン軍団」である。
「ダノン」といえば、セレクトセールで毎年のように億超えの馬を落札していることでも有名なエリート軍団だが、一昨年のホープフルS(G1)をダノンザキッドが勝ち、今年の共同通信杯(G3)を勝利したダノンベルーガがクラシックの有力候補に名を連ねるなど、しっかりと成果も出ている。
毎年のように高額馬を落札しながらも、なかなか走る馬に巡り合えない馬主も少なくない中で、ダノックスの“相馬眼”に好印象を持っているファンも少なくないのではないだろうか。
だが、実際のところはどうなのか。下記にダノックスの所有で今年3歳を迎えているセレクトセール出身の馬たちを落札価格順に並べてみた。
ダノン軍団の「本命」はセレクトセールではなく?
馬名 落札価格(税込) 獲得賞金(JRA) 戦績
ダノンマイソウル 4億4,000万円 162万円 4戦0勝
ダノンギャラクシー 3億1,320万円 1,550万円 3戦2勝
ダノンフォーナイン 1億9,440万円 640万円 6戦1勝
ダノンベルーガ 1億7,280万円 1億41万円 4戦2勝
ダノンピーカブー 1億1,550万円 1,118万円 7戦1勝
ダノンアーリー 1億800万円 1,259万円 9戦1勝
ダノンティアラ 6,696万円 803万円 4戦1勝
ダノンアリエス 5,720万円 0万円 1戦0勝
ダノンフューチャー 4,950万円 1,481万円 9戦1勝
※7月15日時点
先述した通り、今春はダノンベルーガがクラシック戦線で活躍し軍団を牽引したが、意外にも落札価格は9頭中4番目と中間層の馬だった。現状、落札価格と獲得賞金には大きな開きがあるが、彼らはまだ3歳の夏。今後の活躍次第で十分に上積み可能だ。
特に3億円を超えるダノンギャラクシーは、ここまで3戦2勝の素質馬。残念ながら青葉賞(G2)を感冒で取り消すなど春のクラシック出走は叶わなかったが、5月に1勝クラスを単勝1.6倍の人気に応えて勝利。秋はセントライト記念(G2)からの始動が予定されており、大きな活躍が見込める期待馬と言えるだろう。
また4億円馬ダノンマイソウルは16日の未勝利戦に出走。ここまで4戦して4着が最高という期待ハズレの結果に終わっていたが、ここでアタマ差の2着に好走している。こちらも初勝利は時間の問題で、まだまだこれからの馬だろう。

ただ、その一方で今春のNHKマイルC(G1)を勝ち、3歳世代の稼ぎ頭(獲得賞金2億1,674万円)にもなっているダノンスコーピオンが、セレクトセール出身でない点は着目すべき事実だ。
近年、毎年のように重賞勝ち馬を輩出し、すっかり競馬界のエリートとして定着しているダノン軍団だが、実はセレクトセール出資の活躍馬は意外に多くない。
先述したダノンザキッドが2020年のホープフルSを勝利しているが、他のG1勝利馬は2018年の阪神JFを勝ったダノンファンタジーを挙げれば、次は2014年のマイルCSを勝ったダノンシャークまで遡る。あとは2010年のNHKマイルCを勝ったダノンシャンティがいる程度だ。

近年のダノン軍団といえば、昨年の安田記念(G1)を制したダノンキングリー、2020年の香港スプリント(G1)を勝ったダノンスマッシュ、ガラスのエリート・ダノンプレミアムなどが真っ先に挙げられると思うが、これらはすべてセールではなく、庭先で取引された馬たちだ。
特にダノンスマッシュ、ダノンプレミアム、ダノンスコーピオン、さらに今は種牡馬になっているダノンバラードらを輩出したケイアイファームとのコンビは、今後も非常に注目すべき存在といえるだろう。実際に今年の3歳でダノックスが所有するケイアイファーム生産馬は2頭しかいなかったが、その内の1頭がダノンスコーピオンだった。
今年の2歳世代は、まだセレクトセールで2億9,700万円の高値を付けたダノンザタイガーがデビュー戦で敗れたことが話題になった程度のダノン軍団。
しかし、ダノンスマッシュの全弟ダノンプレジャーや、ダノンスコーピオンの全弟ダノンバビルらケイアイファーム出身馬が今後デビューを控えており、これからどんどん明るい話題を提供しそうな雰囲気がある。
(文=銀シャリ松岡)
<著者プロフィール>
天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。
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