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JRAセレクトセールの裏で「億超え未勝利馬」が崖っぷち…かつての期待馬たちに忍び寄る「最後の未勝利戦」のリミット

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 北海道の苫小牧市にあるノーザンホースパークにて、11日及び12日に開催された「セレクトセール2022」。大注目の今年も過去の最高売上を更新するなど、大盛況で歴史的2日間が幕を閉じた。

 近年のセールでは毎回のように「億超え」高額馬が誕生するわけだが、その馬たちの未来が明るいかと言われれば決してそうではない。鳴り物入りでデビューをしたとしても、値段に見合うだけの活躍ができる馬はほんのごく僅かなのである。

 それは現3歳世代でかつて「高額馬」として期待を背負った馬たちにも同じことが言える。最後の未勝利戦となる9月4日のタイムリミットが近づく中、いまだ1勝が遠い馬たちがいるのも事実。なかでも、過去のセレクトセールにて取引額が1億円(税込)を超えていた5頭を紹介したい。

・フォーグッド(牡3、美浦・国枝栄厩舎)取引額1億560万円

 父ディープインパクトと母ウィキッドリーパーフェクトの間に生まれた同馬は、まだG1となる前のホープフルS(G2)を制したハートレーを全兄に持つ良血。デビュー前には管理する国枝師もPOG(ペーパーオーナーゲーム)の取材に「今年は牡馬がいいよ。ダービー候補がたくさんいる」と話したうちの1頭に挙げていたように、厩舎としても悲願となる日本ダービー(G1)制覇へ期待は大きかった。

 しかし、現状はデビューから8戦して未勝利が続いている。2、3着に好走したことも6度あり初勝利まであと一歩のところまで迫ってはいるものの、最後の決め手に課題が残る。5頭の中では成績的に勝ち上がりには一番近い存在なだけに、何とか1勝を挙げてもらいたいところだ。

・ジェンヌ(牝3、栗東・安達昭夫厩舎)取引額1億5950万円

 父ディープインパクト×母ユーロシャーリーンという血統。母はリアルスティールが制したドバイターフ(G1)で2着に迫った逸材である。ひとつ上に姉がいて本馬は2番目の仔にあたるが、素材を高く評価され値段も億超えとなった。

 ところが、昨年9月のデビューから7戦していまだ勝利はない。スタートからの行きっぷりが良くなく、追い込んでも前を捕らえられない詰めの甘さは課題。とはいえ近2走は5着→4着と徐々に着順をあげてきているのは好気配で、鋭い末脚を持っているだけに初勝利も以前よりは近づいているといえる。

・スパイダーバローズ(牡3、栗東・中内田充正厩舎)取引額1億7280万円

 父ハーツクライ×母マラコスタムブラダの血統は、半姉に阪神JF(G1)を制したレシステンシア、全兄に京成杯(G3)を制したグラティアスがいる超良血だ。ダービー馬ロジャーバローズや今年の天皇賞・春(G1)や宝塚記念(G1)にも出走したアイアンバローズなど、冠名「バローズ」で知られる猪熊広次オーナーが競り落とした馬である。

 新馬戦では、中内田厩舎の管理馬で川田将雅騎手が騎乗したこともあって、単勝1.8倍の断然人気に推されるも結果は3着。その後も川田騎手が主戦を務めているが、決め手に乏しく5戦していまだ足踏みが続いている。

・キングスウェイ(牡3、美浦・国枝栄厩舎)取引額1億8360万円

 父キングカメハメハと母ソーメニーウェイズの間に生まれた同馬は、菊花賞(G1)に出走経験のあるダノングロワールを兄に持つ血統。国枝厩舎×江馬由将オーナーのコンビは上述したフォーグッドと同じで、悲願のダービー候補の1頭として期待も大きかった。

 ところが、3歳となった今年2月に初出走とデビューが遅れてしまったことが痛かった。同馬は芝ではなくダートでデビューし、現在3戦して未勝利となっている。

・ダノンマイソウル(牡3、栗東・矢作芳人厩舎)取引額4億4000万円

 父ディープインパクト×母フォエヴァーダーリングは、半姉に2020年の函館2歳S(G3)で単勝1.5倍の断然人気に支持されたモンファボリがいる血統。その当時は敗れてしまったが、同馬は現在も2勝クラスで活躍中だ。

 冠名「ダノン」で知られるダノックスが競り落とした高額馬ということもあって、当時は大変話題になったものの、デビュー戦には川田騎手を背に単勝1.5倍に推されて4着。現状値段に見合うほどの活躍に至っていない。同世代でもトップ10に入る高額馬で未勝利のままターフを去る事だけはどうにか避けたいところだろう。

 以上、現3歳世代の悩める高額馬5頭を紹介した。また、金子真人オーナーが1億2650万円で落札した同世代のベネフィック(栗東・中内田充正厩舎)は、デビューから2戦して未勝利のまま登録抹消となったので、今回は割愛させてもらった。

 今回紹介した「億超え未勝利馬」はいずれも苦戦が続いているが、まだ可能性は十分に残されていることを忘れてはならない。

 こちらは高額馬というわけではないが、2008年の日本ダービーを制したディープスカイのように6戦目でようやく勝ち上がり、その後G1馬に登り詰めた馬だっている。まず期限までに1勝を挙げることで道は大きく開けるはずだ。

 現3歳世代の未勝利戦終了となる9月4日まで残り50日強。億超え高額馬たちの生き残りを懸けた運命の戦いにも注目したい。

(文=ハイキック熊田)

<著者プロフィール>
 ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?

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