JRA皐月賞馬ジオグリフ「父」が大不振!? 「サンデーサイレンスの再来」と評判の社台グループ“肝いり”種牡馬が「馬券内ゼロ」異常事態…
6月から2歳世代による新馬戦がスタートして1か月少し、来年のクラシックへ向けて飛躍を期す若駒たちが続々とデビューを迎えている。
だがその一方で現3歳世代で快進撃といえる活躍を見せた「とある種牡馬」が、2歳世代では思わぬ苦戦を強いられている。その種牡馬こそがドレフォンだ。
「馬券内ゼロ」異常事態…
今年の2歳戦におけるドレフォン産駒の戦績は先週末の時点で(0-0-0-11)、勝利はおろか馬券圏内に食い込むことすら一度もできていない。この中には2番人気に支持された馬が3頭、その他にも上位人気に支持された馬が目立っており、多くの馬が下馬評を裏切る惨敗を喫している。
ちなみに2歳戦でのべ10頭以上出走をしながらも、未だに産駒が勝ち星を挙げられていない種牡馬はドレフォン、ゴールドシップ、マインドユアビスケッツ、リアルスティールの4頭のみ。
このうちゴールドシップ産駒は複勝率27%、マインドユアビスケッツ産駒とリアルスティール産駒はともに複勝率30%と、勝利こそないが馬券に絡む馬は出している。それを踏まえると出走馬が全く好走できていないドレフォン産駒の成績は、メジャーな種牡馬の中でも最低クラスといえるだろう。
昨年は2歳戦の種牡馬リーディングで5位にランクインし、新種牡馬の中では断然トップの30勝をマークしたドレフォンの産駒。皐月賞(G1)を制したジオグリフを筆頭に数々の活躍馬を輩出し、一部では「サンデーサイレンスの再来」と言われるなど、初年度産駒はまさに順風満帆であった。
しかし一転して2世代目となる現2歳世代では、今のところ全く結果が出ていない。
社台グループが米国から輸入した“肝いり”の種牡馬であるドレフォンは、日本競馬で飽和しつつあるサンデーサイレンス、キングカメハメハとは別系統の血統背景から繁殖牝馬との配合がしやすい利点もあり、生産界からは大きな期待を寄せられていた。だが2世代目の産駒の低調ぶりが今後も続けば、関係者の思惑とは裏腹に種牡馬としての価値も下火になってしまう。
更に気がかりなのが来週の11日、12日に迫ったセレクトセールの動向である。
初年度は確かに素晴らしい結果を残したドレフォンの産駒だが、まだまだ種牡馬としての実績は小さく、未知数な部分が大きい。こうした中で2世代目が極端な不振に陥っているとなれば、オーナーサイドからも敬遠されてセリでの取引価格に影響が出る可能性も考えられる。
セリでの取引価格が伸び悩むとなれば、当然ながら生産者側から見たドレフォンの魅力も低下し、自然と種付け頭数も減っていく。産駒の数も減り、必然的に活躍の機会も減少、再び種牡馬価値の下落へと繋がってしまう。
種牡馬価値が下落し続ける“負のスパイラル”に陥ることを避けるためにも、セリでは少しでも高い値で産駒が売れてほしいところ。そのためにも、セレクトセールを直近に控えた今週末の2歳戦では、ドレフォン産駒に何としても結果を出してほしいと関係者は願っているはずだ。
今週末には新馬戦・未勝利戦合わせて5頭の2歳馬が出走する予定のドレフォン産駒。果たしてこの中から、世代初の勝ち星を挙げる馬が現れるだろうか。来週のセレクトセールも含めて、産駒の動向に注目したい。
(文=エビせんべい佐藤)
<著者プロフィール>
98年生まれの現役大学院生。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。幸か不幸か、進学先の近くに競馬場があり、勉強そっちのけで競馬に没頭。当然のごとく留年した。現在は心を入れ替え、勉強も競馬も全力投球。いつの日か馬を買うのが夢。
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