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「世界一」騎手の大失態で不運な再注目!? 苦戦続くあの若手騎手が意地の単勝万馬券!

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撮影:Ruriko.I

 あの悲劇がまたしても起こってしまった。

 その舞台は26日にイギリスのケンプトンパーク競馬場で行われたAW3200mの一戦。悲劇の主人公はバレエブランに騎乗したN.カラン騎手だ。

 好位からの競馬を選択したカラン騎手は、レース前半に思わぬ動きを見せる。約1200m地点となる1周目のゴール板手前で激しく手綱を動かして先頭に立つと、そのまま後続を大きく突き放したのだ。もちろんこれはトリッキーな大逃げなどではなく、れっきとした距離誤認。

 “幻の勝利”に喜ぶカラン騎手はバレエブランを減速させると、1コーナーを回ったあたりで後続に追い付かれる。平然と2周目に入る他馬を見て異変を察知するが、時すでに遅し……。最終的に勝ち馬から約115馬身も離された最下位に沈んだ。

 レース後「まさか自分がやるとは思ってもみなかった」と語ったカラン騎手は、実は世界的な実績を持ったベテラン騎手。アイルランド出身の44歳はこれまでにイギリスや香港で騎乗し、トップジョッキーの1人として活躍してきた。

 今年8月にはC.ルメール騎手や横山武史騎手も参加した騎手招待競走・シャーガーカップで個人最多ポイントを獲得した腕利きだ。そんな有名人の大失態は現地メディアで大きく報道され、日本のニュースサイトでも記事が掲載された。

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山田敬士騎手

「世界一」騎手の大失態で不運な再注目!? 

 そして、この一件で不運にも過去を蒸し返されることになったのが、日本のJRAジョッキー山田敬士騎手だ。

 山田騎手が距離誤認を犯したのはルーキー時代の2018年。中京ダート2500mのレースでペイシャエリートに騎乗した山田騎手は、向正面でのスタートを決めると果敢にハナを切る。迎えた1度目の直線は本来折り合いをつけたいところだが、彼は全力で馬を鼓舞した。楽々先頭でゴール板を通過し減速体勢に入ると、後ろから「もう1周!」の声。山田騎手が過ちに気づいたのは、この時だったという。

 結局、既にスパートを終えたペイシャエリートに余力はなく、勝ち馬から30馬身近く離されて何とかゴール。当該騎乗は「騎手としての注意義務を著しく怠った」として、山田騎手は3ヶ月の騎乗停止処分を受けることになった。

 このアクシデントは当時大きな反響を呼び、山田騎手の代名詞のようなものになってしまった。3年目の2020年には自己最多の17勝を挙げながら、ここ2年は2勝→5勝(10/30時点)と低迷していることも、過去の悪い印象を払拭できない要因になっているだろう。

 しかし29日、不名誉な形で再びスポットライトが当たった数日後に、山田騎手が自らの好騎乗で輝いて見せた。

 東京2Rの2歳未勝利戦(ダート1300m)でジャックパール(牡2歳、美浦・鈴木慎太郎厩舎)に騎乗した山田騎手。他のジョッキーが鞍上を務めたデビュー戦では、出遅れから巻き返せず12着に敗れていた相棒を果敢に先行させた。

 ゴール前では人気馬と激しい叩き合いになったが、最後まで必死に追った山田騎手のアクションに応えてジャックパールが1着でゴール。山田騎手にとって約3か月半ぶりの白星はオッズ107.5倍の単勝万馬券になった。

 今年の5勝は全て4番人気以下の馬で挙げている山田騎手。全223鞍で3番人気以内の馬への騎乗はわずか7回にとどまっており、成績向上に馬質の改善は欠かせないところだ。大荒れ演出で自ら存在感を放った山田騎手に、関係者も注目してくれることを期待したい。

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