
「武豊血統」は超濃厚…キタサンブラック×ディープインパクトの期待馬がデビュー
4日、中京競馬場ではダート王決定戦のチャンピオンズC(G1)が行われる。そして、同日5Rの新馬戦(芝2000m)には、レシステンシアの弟ジャスティンボルトや、ヴェラアズールの近親トラヴォルジェンテなど豪華なメンバーが揃った。
その中でも一際異彩を放っているのがワイズメアリー(牝2歳、栗東・千田輝彦厩舎)の存在だ。特徴は何といってもその血統。父がキタサンブラック、母父がディープインパクトで、ブラックタイド(キタサンブラックの父)とディープインパクトの2×2という“危険水域”ともいえるインブリードが発生している。
インブリードとは、血統表で5代前までに同一の祖先を持っている配合を指し、つまりは近親交配のこと。同じ血を重ねて、望ましい性質を引き継いだ産駒を生産する狙いがある一方で、気性難や虚弱体質といった悪い性質を引き継ぐリスクも増加してしまうといわれている。
活躍馬の血統表に多く見られる“奇跡の血量”は3×4、または4×3で同一血量18.75%の配合となっており、ブラックタイド=ディープインパクト(全兄弟のため同じ血として扱う)が50%というワイズメアリーの異質さが分かるだろう。
ちなみに、極端なインブリード配合で活躍した馬として有名なのが、2017年、18年の凱旋門賞(仏・G1)連覇を含むG1・11勝を挙げたエネイブルだ。同馬はサドラーズウェルズの3×2(37.5%)という血統背景を持っていた。
また、日本の現役馬では、ゴールデンサッシュ=サッカーボーイ(2頭は全兄妹)50%の特濃配合馬マイネルレオーネ(牡、栗東・清水久詞厩舎)が10歳ながら4月の中山GJ(G1)で3着に好走。丈夫なところをアピールしてみせた。
このように、活躍した馬の前例があるとはいえ、中々見かけないレベルの近親配合に体質面を心配したファンの方も多かったようで、SNSやネット掲示板では「デビューまでこぎつけられて安心」といった声も多く見られた。
“武豊血統”の結晶

そんなワイズメアリーの血統面でもう一つ注目したいのが、同馬が“武豊血統”の結晶という点だ。父キタサンブラックが6勝。母父ディープインパクトが7勝。これは2頭が武豊騎手とともに勝ち取ったG1タイトルの数である。また、父父ブラックタイドもG1勝ちこそないが、同騎手でデビューし、皐月賞(G1)でもコンビを組んだ縁の馬だ。
2000年代と10年代の武豊騎手を代表する“お手馬”を掛け合わせたワイズメアリーは、競馬ファンにとって夢の配合だといえるだろう。そして、同馬のデビュー戦の鞍上はもちろん武豊騎手。ワイズメアリーを所有する新谷正子オーナーが武豊騎手を乗せるのは初めてのことで、もしかしたら血統との相性を意識しての騎乗依頼なのかもしれない。
前述の通り、4日の新馬戦には好メンバーが集結しており、簡単なレースとはならないだろう。しかし、ワイズメアリーの血統表に名を連ねるキタサンブラック、ディープインパクト、ブラックタイドはいずれも新馬戦を勝利している。そういった点でも“血の力”に期待したいところだ。
21世紀の武豊騎手の結晶ともいえるワイズメアリー。願わくは、同馬にもレジェンドジョッキーの新しい歴史として刻まれるような走りを見せてほしい。
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