
ドルチェモア、リバティアイランドを徹底比較…レースレベルに疑問はどっち?

18日、阪神競馬場で行われた朝日杯フューチュリティS(G1)は、1番人気の支持に応えたドルチェモア(牡2、栗東・須貝尚介厩舎)が優勝。デビューから無傷の3連勝で2歳マイル王の座を手に入れた。
レースこそ初騎乗ながら、4度の追い切りでコンタクトを取っていた坂井瑠星騎手との相性も抜群だった。スタートを決めて好位をキープすると、最後の直線で満を持してゴーサイン。外から猛追するダノンタッチダウンの追撃をクビ差凌いでゴールした。
「イメージしていた通り、凄く上手くいったと思います。短距離から勝ち上がってきた馬も多かったですし、ペースも想定内でした。道中は上手くいって直線もしっかり反応してくれましたし、あとは何とか凌いでくれ、という感じでした」
会心の勝利をそう振り返った坂井騎手だが、スタニングローズとのコンビで制した秋華賞(G1)に続くG1制覇。歓喜のG1初優勝から、わずか2か月後に2勝目を挙げる大活躍に「このようなチャンスを頂いて、オーナー、須貝先生や全ての関係者の皆様に感謝したいです」と関係者への感謝の気持ちも忘れなかった。
その一方、トップクラスの実力を証明したドルチェモアではあるが、類稀なレースセンスを感じるとともに、距離延長に対する不安を感じられたのも確かだ。父ルーラーシップ×母アユサンという血統的に、融通が利きそうな雰囲気はあるものの、気になったのはむしろあまりにも優等生過ぎるレース巧者ぶりである。
レースは、好発からハナに立てるくらいの行きっぷりの良さを見せたパートナーを坂井騎手がなだめ、先手を主張したオールパルフェとグラニットを先に行かせる3番手。手応え十分に迎えた最後の直線で鞍上が、進路を確保してから追い出す冷静さも目立った。クビ差とはいえ、余裕のある勝利だろう。
だが、前半3ハロンが34秒1のハイペースを楽に追走した姿には、持ち前のスピードを証明したともいえる。それはスプリント適性すら感じられるものであり、トップギアに切り替わる反応の良さも、距離延長に一抹の不安を残した。
「前走のサウジアラビアRC(G3)もグラニットがハイペースで飛ばす展開を2番手追走から楽に交わしたように、いいスピードを持っています。スタートセンスの良さも目立ちましたし、いかにも短距離向きだなという印象も残りました。
また、いい勝ち方ではありましたが、レースレベルについても少し疑問が残りました。1週前に同じ阪神芝1600mで開催された阪神JF(G1)と比較した場合、物足りなさがあったことも、その理由です」(競馬記者)
記者がそう指摘したのは、それぞれのレースにおける勝ち時計と前後半のラップで見劣りしたことだという。以下は両レースの記録だ。
■阪神JF リバティアイランド(上がり3F:35.5)
勝ちタイム 1分33秒1(良馬場)
前後半3F:33.7-36.1
■朝日杯FS ドルチェモア(上がり3F:35.8)
勝ちタイム 1分33秒9(良馬場)
前後半3F:34.1-36.1
同日開催のレースではないものの、単純比較で阪神JFが道中のラップや上がり3Fなどで、すべてを上回っただけでなく、他のレースと比べても優劣が浮き彫りとなった。以下は、それぞれの前日に開催されていたマイル戦の数字である。
■リゲルS(L) シャイニーロック(上がり3F:33.9)
勝ちタイム 1分33秒6(良馬場)
前後半3F:36.1-33.9
■甲東特別(2勝クラス) トーホウディアス(上がり3F:34.9)
勝ちタイム 1分34秒3(稍重馬場)
前後半3F:35.8-35.2
阪神JFが朝日杯FSの勝ち時計を0秒8上回っただけでなく、リステッドレースより0秒5速かったのに対し、朝日杯FSは稍重の2勝クラスを0秒4上回ったのみ。良のリゲルSから0秒3の後れを取っていたことが分かる。
まだ2歳12月という時期だけに、今後の成長具合も不確定要素となるが、リバティアイランドの強さが際立ったのに対し、ドルチェモアにレースレベルの疑問を感じたのも事実だ。
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