「ルメール信者」の調教師が勝率6割超えの大躍進、当初はアヴェラーレにも騎乗を依頼…「新潟接待」に浮かび上がるノーザンファームの思惑
先週末の開催を終えて騎手リーディングは、99勝の川田将雅騎手が1位で、これを追う95勝のC.ルメール騎手が4勝差の2位。かつては夏場から秋口にかけて粘り込みを図る川田騎手をルメール騎手が抜き去って独走というケースもあった。
しかし、昨年に悲願のルメール超えを果たした川田騎手の安定感に磨きが掛かり、今年の両者は“抜きつ抜かれつ”の熱い戦いを繰り広げている。
2年連続でリーディングジョッキーを狙う川田騎手と王者への返り咲きを目論むルメール騎手。暑さが苦手といわれるフランス人騎手が、酷暑の新潟出張を決意した背景には、蜜月の関係である木村哲也調教師の後押しがあったようだ。
実際、先週の新潟で木村厩舎の管理馬は、土日合わせて8頭がスタンバイして8戦5勝2着1回と上々の結果を残した。8頭中6頭がルメール騎手への騎乗依頼だったのだから、“ルメール信者”と呼ばれても不思議のない関係性が伝わる。
「新潟接待」に浮かび上がるノーザンファームの思惑
このルメール騎手への“接待”にすら映るラインアップが揃った裏側には、ノーザンファームからのリクエストが大きく作用していたらしい。
「実は3ヶ月以上も前にノーザンファームサイドからルメール騎手のエージェントに、『関屋記念(G3)の週は新潟で乗って欲しい』という依頼があったようです。夏場は比較的涼しい函館や札幌を拠点としているルメール騎手に納得してもらえるよう、イクイノックスの妹ガルサブランカを筆頭に勝ち負け可能な有力馬を集めていました。
残念ながら関屋記念のエターナルタイムは夏バテの兆候が出て回避となりましたが、これはルメール騎手の希望で乗る予定だったみたいです。当初はアヴェラーレが候補だったので、代わりに手綱を取った戸崎圭太騎手としては嬉しい誤算だったかもしれません。ただそれだけルメール騎手がエターナルタイムを評価していることが分かったため、復帰した際には注目しておきたいです」(競馬記者)
結果的に重賞1勝を損した可能性のあるルメール騎手だが、木村厩舎の管理馬では6戦4勝、2着1回とほぼ完璧な内容。それ以外では条件戦で2着が2回あった程度だったのだから、木村厩舎の力の入りようは他厩舎と大きく異なっていたことも分かる。
「ルメール×木村哲也」のコンビで勝利した2歳馬も、来年のクラシック戦線で活躍を期待できそうな馬が多かった。
土曜の2Rで単勝1.1倍に応えたチェルヴィニアは馬なりで圧勝。ルメール騎手も「直線は段々と加速しました。最後まで余裕でしたね。この前よりパワーアップしていますし、距離も延びた方がいいです」と好感触のコメントが出た。母チェッキーノはオークス(G1)で2着、兄ノッキングポイントは今年の日本ダービー(G1)で好走と血統的な魅力もある馬。次走は秋の東京の重賞を予定しているようだが、最大目標はオークスが濃厚か。
注目を集めた5Rもガルサブランカが非凡な瞬発力を発揮して初陣を飾った。直線に向いた時は前が壁になったが、進路を見つけてから一瞬にして抜け出した。まともに追えたのは残り1ハロンを切ってからで、上がり3ハロンは32秒8なら大したもの。兄のイクイノックスとは性別や父も替わったが、能力の高さを感じる内容だった。
ただ、距離が延びてよさそうなチェルヴィニアに対し、ガルサブランカはどちらかというとマイル向きという見方もされており、こちらは桜花賞(G1)が目標となりそう。3歳春の段階なら調教や素質の高さで克服するケースもあるため、同世代の牝馬同士ならオークスでも問題ない可能性もある。ルメール騎手は「とても真面目でいい脚を使ってくれました。まだ子供ですが、問題はなかったです。いい能力、いい切れ味があります。軽い走りが似ていますね」と評価していた。
「その他にレガレイラやカンティアーモが勝ち上がったように、今年の木村厩舎は牝馬が揃っていて、牡馬が手薄と言われていました。今のところは予想された通りの結果になっていて、どうやって使い分けをしていくかが悩ましいでしょう。
ちなみにレガレイラは、公式の発表通りにアイビーS(L)を予定しています。距離は詰めたくないらしく、内容次第でホープフルS(G1)に向かうプランもあるとのこと。チェルヴィニアは距離延長を視野に入れており、東京スポーツ杯2歳S(G2)で牡馬にぶつける話も出ています。
ガルサブランカは兄同様に体質や状態面を見ながらですが、アルテミスS(G3)あたりが有力とされています。カンティアーモに関しては新馬戦で口向きの難しさを露呈したこともあり、まずはコントロールが利くように調整するそう。序列としたら後回しになる公算が大きいです」(同)
関東で一時代を築いた藤沢和雄師が定年を迎え、国枝栄師も定年まで残り2年とあとわずか。今年の2歳に関しては「国枝先生に牡馬のクラシックを」という声も強く、牡馬の素質馬の多くが国枝厩舎に預けられると噂されているが、名伯楽が引退後の関東を牽引するのは木村厩舎という声も出始めた。
先週の新馬戦を見ても木村厩舎以外のノーザンファーム産の馬の多くは人気を裏切った。今年は関東リーディングも視野に入っており、秋にはイクイノックスを筆頭に競馬界を盛り上げてくれそうだ。
PICK UP
Ranking
17:30更新- 【天皇賞・春(G1)】ドゥレッツァも、タスティエーラも不安材料たっぷり? キャプテン渡辺「渾身の本命馬」は【徒然なる神のくず競馬トーク】
- 【天皇賞・春(G1)予想】「盾男」武豊騎手&サリエラから三連複1点勝負!
- 「オーナーの逆鱗」に触れた原優介が突然のクビ宣告!? 帝王賞でウィルソンテソーロ降板も決定済み…気になる「鞍上交代」はやっぱりアノ人?
- 【天皇賞・春】武豊に次ぐ「長丁場の鬼」が超人気薄で虎視眈々…!?「バテない馬だし京都向き」惨敗で評価急落も条件大好転
- 【天皇賞・春(G1)】リピーターはディープボンドではなく「長丁場で大崩れがない」アノ1頭? 単穴は「豊富なスタミナが武器」の堅実派…まさに伏兵といえるベテランも? 超強力“現場ネタ”から紐荒れで狙える伏兵が浮上!?
- 【天皇賞・春】堅そうだから本命は上位人気で勝負!C.ルメール不在なら「初G1勝利コンビ」に期待したくなるよね【UMAJOモモのオイシイ競馬】
- 【NHKマイルC】アスコリピチェーノ主戦を背に追い切りも「鞍上未定」の怪…レース当週C.ルメール復帰予定、何かしらのサプライズも?
- 【青葉賞(G2)予想】データも後押しシュガークンの可能性にかけて勝負!キタサンブラック弟を頭に流す
- 目を掛けた愛弟子の「造反」に師匠がブチ切れ!? 今村聖奈、角田大河の謹慎中に存在感発揮も…安田記念前に師弟関係で遺恨勃発か
- 【天皇賞・春】春G1「勝利の方程式」がまたまた出現!14番テーオーロイヤルに“やり過ぎ感”…思い出したい「待て、あわてるな、これは孔明の罠だ」の声
関連記事
川田将雅「久々で動き切れなかった」単勝1.7倍の圧倒的支持も直線急失速…ダービー候補とも呼ばれた「大物」がラスト一冠に暗雲
川田将雅「絶対に勝たないといけないメンバー」…あの出世レースが“史上最低レベル”の危機?
「土日5勝」武豊が川田将雅、C.ルメールに負けない存在感…ジャックドールと挑む札幌記念最多勝、絶好調男たちの直接対決に「スーパー金髪」が不気味
「絶好調」スワーヴリチャード産駒がまたも新馬戦V! キズナやエピファネイアを抑えて2歳リーディング首位に君臨、今週末も「G1馬の妹」がデビュー
イクイノックス妹ガルサブランカ級の衝撃!ライバルと同じ上がり32秒8を披露…浜中俊「正味1ハロンの競馬」にポテンシャルの高さ確信?