天皇賞・春(G1)レインボーラインには疑問!? 天才・楠原安里梨が見据える長距離戦の「結末」
楠原安里梨:そうですね(笑)。今回の天皇賞・春は、昨年のキタサンブラックのような飛び抜けた実力を持つ馬はいないような気がしています。まだ枠が決まっていないので(取材時4月24日15時)、内枠に入った馬次第で買い目が変わるというところは十分あります。
ですが、それを踏まえたとしても、現時点での大本命は前回のインタビューで『今年は期待している』と語った私の推し馬・シュヴァルグラン(牡6歳、栗東・友道康夫厩舎)ですね。
前走の大阪杯(G1)は13着と惨敗しましたが、このときは鞍上が初乗りの三浦皇成騎手、さらに2000mは同馬の適性距離ではなないと言われるなど、不安材料も多かったです。なのでこの結果は、度外視してもいいと私は考えています。
今回は追い切りの過程も良く、さらに昨年のジャパンC(G1)でキタサンブラックを破って勝利したH.ボウマン騎手とタッグを再結成。あまり理由を述べるまでもなく、ここでは外せない1頭です。
――一昨年前は3着、昨年は2着と過去の実績を考慮すれば、今回も十分に上位進出が期待できそうです。ここは誰もが納得の不動の本命だと思います。では、対抗馬はどの馬になると考えていますか?
楠原安里梨:ここがラストランということで、応援の意味も多分に含んではいるのですが、カレンミロティック(セ10歳、栗東・平田修厩舎)です。15年は3着、16年は2着とコースとの相性も上々。最近は衰えている感じはありますが、「リピーター」となってくれることを期待したいですね。
鞍上は一昨年前、キタサンブラックとハナ差の接戦を繰り広げた際にも手綱を執っていた池添謙一騎手です。このレースでは相当いい思いをさせてもらいました。今年は例年と比べるとチャンスがあると思うんです。最後にもう一花咲かせてもらいたい!! ……でも、パドックでの状態が悪すぎるようだったら、消しますけどね(苦笑)。
――では、これらに次いで上位進出の見込みがあると考えている馬はどれになりますか?
楠原安里梨: “強い4歳馬”の一角を占めるサトノクロニクル(牡4歳、栗東・池江泰寿厩舎)に期待しています。馬体を見る限りでは以前よりもふっくらとしていて、ずいぶん成長しているようにも思えるんです。
ただ、前走の阪神大賞典(G2)は2着と好走しましたが、斤量は55kgでした。過去のレースを見ると軽い斤量では好走しているものの、57kgを背負ったラジオNIKKEI賞(G3)6着、菊花賞(G1)10着と不甲斐ない結果に終わっているんですよね。今回、斤量はこれまで背負った経験がない58kg。この重い斤量を克服できるのかが肝になると思います。
同馬に続くのはトーセンバジル(牡6、栗東・藤原英昭厩舎)ですね。昨年の暮れの香港ヴァーズ(G1)で世界に名だたる名馬を相手取って3着入線と実力を証明。今年の始動戦となった日経賞(G2)は5着に終わりましたが、休養明けの叩き台だと考えれば十分です。
そして管理するのは、現時点で連対率5割、複勝率は6割近くあり、”確変状態”に入っている藤原英厩舎。今回は叩き2戦目とあって相応の仕上げをしてくるでしょうし、さらに鞍上は大舞台を得意とするM.デムーロ騎手。ここで買わなければいつ買うんだという気がしています。
昨年、トーセンバジルは3月、4月にそれぞれ1走して春を終えました。今年も同様のローテーションを組むのならば、ここで春を終えるためすべてを出し切る仕上がりでレースを迎えてくれるはずです。