
歓喜と絶望の交錯――「ドバイワールドカップデイ」観戦で見えた「日本の力」と「世界の頂」

26日に開催された「ドバイワールドカップデー」。日本馬史上最多の10頭が挑んだ世界最高レベルのイベントは、「歓喜」と「絶望」が交錯する印象深いものとなった。
まずは「歓喜」から。序盤に開催されたUAEダービー(G2)にはオンザロックス、ユウチェンジ、ラニと3頭の日本馬が出走。日本での実績が薄いため、さほど期待はされていなかったのだが……。
日本を代表する名手・武豊騎乗のラニがやってくれた。スタートは完全に出遅れたラニは他6頭に完全に「置いてけぼり」状態だったのだが、第2コーナーを過ぎて向こう上面に入って外からグイグイ進出、一気に3番手まで上がって全馬一団で直線に入る。
ここで、武豊が日本代表たる「勝負師」っぷりを見せる。直線で2番手に上がったところでインに切れ込み、最大のライバルであるポーラーリバー(USA)の進路を絶妙なタイミングで塞いだ。先頭を走るユウチェンジが粘る中、ラスト100mあたりで一気に加速! ユウチェンジを交わし、追い込んできたポーラーリバーを3/4身振り切っての勝利。
ペースを見切っての先団への取り付き、ライバルの進路を塞ぐインへの切れ込みなど「武豊ここにあり」を証明したレースだった。今後ラニはアメリカのケンタッキーダービーを目指すそうである。夢は膨らむばかりだ。
さらに「歓喜」は続く。ドバイターフ(G1)では、「日本一決め手に欠ける強豪馬」リアルスティールが出走。「世界最強マイラー」との呼び声高いソロウ(フランス)が出走回避したことで、同馬のチャンスが大きくなったと期待されていた。
リアルスティールは外3番手でレースを進める。もともと折り合いには不安のない馬で、じっくりレースを進めることに成功。直線手前で5番手ほどに下がったが直線に入ると鞍上R・ムーアの合図に反応し一気に先行勢をとらえにかかる。
ここで最終的に前に届かないのがリアルスティールのこれまでだったなのだが、その日の同馬は違った。あっさりと前を捉え堂々先頭に。後方からユーロシャリーンが徐々に追い詰めるも、最高のタイミングで抜け出したリアルスティールには半馬身及ばず。3着とは2馬身以上もの差がついており、まさに完勝。リアルスティールがドバイの地で汚名返上、初G1制覇を達成した。
ネット上にある通り「やはりムーア」「ムーアあっさり勝ちすぎ」など、日本でもその勝ちっぷりがおなじみのムーア騎手へは惜しみない賛辞が送られた。福永祐一騎手は落ち込んだと語っている。(翌日G1勝ったからよかった)。
この時点で日本馬が2勝。今年のドバイは日本のものか!? そう想像した人も多かったことだろう。しかし、世界はやはり世界だった。
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