JRA NHKマイルC(G1)“無敗対決”を制し「本物」を証明したエルコンドルパサー。歴史的名馬は「武豊騎手」とコンビ結成のオファーも
ここまで4戦無敗のエルコンドルパサーは、デビュー戦から強烈なインパクトを残した。東京、ダートのマイル戦。スタートは出遅れて、まったく行き脚が付かず最後方からの競馬。しかし、直線を向いて鞍上の的場均騎手がゴーサインを出すと、絶望的な位置からライバルたちをゴボウ抜き。終わってみれば7馬身差の圧勝劇だった。2着は、後に京成杯(G3)を勝つマンダリンスターだった。
2連勝で挑んだ共同通信杯4歳Sは降雪の影響によって、ダートで行われた異例のレースだった。3戦目にして初めて上手くゲートを出たエルコンドルパサーは、中団前目を追走。3コーナーから徐々に進出し、4コーナーは外を回って先行勢に取り付く。ハイパーナカヤマが最後まで食い下がるも寄せ付けずに快勝。3着以下には8馬身差以上の差をつけた。
エルコンドルパサーは4戦目のニュージーランドT(G2)で初めて芝のレースを経験している。ダートで圧勝していた馬が、初芝で能力を発揮できないのはよくある話だが、ファンは本馬を単勝2.0倍の1番人気に支持した。当時のエルコンドルパサーが、それだけ“異常”なスケールの持ち主だったことの証と言えるだろう。
そんなファンの目は正しかった。初芝に戸惑い後方からのスタートとなったが、じょじょにポジションを上げると、先頭をあっさり交わして重賞初制覇。着差こそ2馬身差だったが、陣営が「すぐ息が入り、ケロッとしていた」と話すなど、レースぶりには相当な余裕があった。
そして迎えたNHKマイルCは、トキオパーフェクトとロードアックスとの無敗対決となった。しかし、レースはエルコンドルパサーの独壇場だった。スタートを決めたエルコンドルパサーは先行勢を見る形の絶好位をキープすると、最後の直線で力強く抜け出して快勝。デビュー5連勝でG1初制覇を飾っている。
その後、主戦の的場騎手は同世代の怪物グラスワンダーに騎乗するため、エルコンドルパサーとのコンビを解消。陣営は、実は武豊騎手に後任を託そうとしたが、最終的には蛯名正義騎手と共に「歴史」を作ることになる。
特殊なケースを除いてレースの1着が常に1頭であることを鑑みれば、競走馬が「無敗」であり続けることは、いわば究極のサバイバルレースだ。
デビュー前は、すべての馬が無敗馬であり、そこからレースを重ねるたびに篩(ふるい)に掛けられていく。そんな希少性を知っているからこそ、競馬ファンにとっては、ただ無敗馬というだけでロマンを感じずにはいられない。
無敗馬3強の対決に沸いた1998年のNHKマイルCだが、レースが終わってみれば「本物」はエルコンドルパサーただ1頭だった。しかし、そのエルコンドルパサーですら、次走の毎日王冠(G2)で伝説的快速馬サイレンススズカの前に初の敗北を喫することになる。
しかし、だからこそ無敗馬は儚く、尊いのだ。
あれから22年。今年の無敗馬サトノインプレッサとルフトシュトロームは、レース後も「本物」と称され続けることができるのだろうか。かつてデビュー7連勝したディープインパクトが社会現象を巻き起こしたように、無敗馬には世間そのものを巻き込めるような無限の可能性がある。
新型コロナウイルスの影響で多くの人々が自粛ムードを抱える今、ディープインパクトやエルコンドルパサーのような強烈な輝きを放つ名馬の誕生を期待したい。
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