JRA NHKマイルC(G1)レシステンシア「茫然自失」の“悪夢”払拭へ。松下武士調教師「どうやって家に帰ったのか覚えてない」1番人気17着大敗から3年
10日に東京競馬場で開催されるNHKマイルC(G1)で1番人気が予想されるレシステンシア(牝3歳、栗東・松下武士厩舎)は昨年、5年目の松下厩舎に初のG1タイトルをもたらした。
前走の桜花賞(G1)では、ゴール前でデアリングタクトの強襲を許し2着に甘んじたが、今回のNHKマイルCでは唯一のG1馬。断トツの実績を武器に「本命馬」として堂々とレースを迎えようとしている。
管理する松下調教師は、今年でデビュー6年目を迎える若手だが、すでに重賞6勝を数える新鋭だ。他にも昨年のエルムS(G3)を勝ったモズアトラクションを手掛けるなど、管理馬のラインナップは年々進化を続けている。
だが、このNHKマイルCは師にとって「大きな教訓」を得たレースでもある。
3年前のNHKマイルCを1番人気で迎えたカラクレナイは、松下調教師にとって初めて自分がデビューから手掛けて重賞(フィリーズレビュー(G2))を勝ってくれた存在だった。
前走の桜花賞では出遅れながらも、猛然と追い上げての4着。最後に見せた末脚はファンに強烈なインパクトを残し、そんな期待もあっての1番人気抜擢だった。
しかし、レースは後方から進めたものの自慢の末脚が影を潜め、まさかの17着に大敗……。
レース後、主戦のM.デムーロ騎手は「全然ダメ。スタートが良くて良いところを取れたけど、そこから進んで行かない感じだった。こんな馬じゃないよ」と悔しさを露にしたが、G1で初の1番人気という重責を負いながらの大敗という結果に、ショックを隠せない3年目の若手調教師は茫然自失となった。
「初めての長距離輸送だったからか……それとも、この春の3走目だったからか」
必死に敗因を求めるが、答えは出ない。ただ、多くのファンや関係者の期待を裏切ってしまった重い責任感だけが残り、その日は「あまりのショックのために、どうやって家に帰ったのかも覚えていない」という。
「競馬の“怖さ”を肌で感じた」
あれから3年、松下調教師は当時を振り返ってそう語っている。実は“あの時”松下調教師がカラクレナイの敗因として思案した「初の長距離輸送」「この春3走目」という条件は、奇しくも今年のレシステンシアにも当てはまる。
6日に行われたレシステンシアの最終追い切りは、栗東の坂路で4ハロン56.5秒、ラスト13.7秒と、ライバルたちと比較しても軽い内容だった。「初めての長距離輸送があるので、時計は出さず、軽めの指示。リラックスして走れていた。これでいいと思う」という松下調教師の言葉には、3年前よりも大きな自信があるに違いない。
「春3走目だけど、いい状態で送り出せる――」
“新米”厩舎を支え続けたカラクレナイは今年の2月、26戦を走り抜いてターフを去った。競馬の酸いも甘いも教えてくれた偉大なる先輩を糧に、6年目を迎えた指揮官が2歳女王に新たな勲章をもたらす。
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