JRA馬運車“襲撃”の大ショック……住民から「帰れ!」新型コロナウイルス対策徹底の中、函館競馬開幕も……
緊急事態宣言が解除されたとはいえ、未だ新型コロナウイルスが社会に与えている影響は大きい。そんな中で13日、今年も函館から始まる北海道シリーズが開幕を迎えた。
だがやはり、すべての人々が納得した上での開催ではなかったのかもしれない。
「こうした話を聞くと悲しくなるし、不安にもなってしまいます――」
『サンスポ』のコラムで、そう切実な思いを綴っているのは北海道出身の相沢郁調教師だ。詳細は、ぜひ本コラムを読んでいただきたいが、今回開幕を迎えるにあたって、函館競馬場に競走馬を運ぶ馬運車へ住民から「函館に来るな、帰れ!」という罵声とともにゴミが投げつけられるという、痛ましい出来事があったそうだ。
「今年の函館競馬開催には、かなり賛否両論がありました。実際に一時は『中止』という声もあり、それに伴う変則開催の具体案が上っていたほどです。
JRAは最終的に開催を決断し『家族の帯同禁止』や『20時以降の外出禁止』などの対応を関係者へ徹底させる方針ですが、それで新型コロナウイルスの感染拡大に対する近隣住民の不安が完全に抑えられるわけではないですから。競馬に興味がない人、こういったJRAや関係者の取り組みを知らない人から反感を買うのは、ある程度仕方ないことなのかもしれません。
いずれにせよ開催が決まった以上、ルールを徹底し、問題が起きないよう粛々と競馬を続けて行くことで納得してもらうしかないでしょうね」(競馬記者)
述べるまでもなく北海道は日本一の馬産地であり、100年以上前から競馬と密接な関係にある。特に競馬場周辺のホテルなどは、毎年の競馬開催を主な収入源としており、開催がストップするだけで深刻なダメージを負う観光施設も決して珍しくはない。ましてや函館は1年で、今の時期にしか開催しない競馬場だ。
「現在全国的に無観客での競馬が続けられているものの、競馬ファンの来訪を頼りにしている競馬場周辺のホテルや駐車場施設、競馬場内の飲食店の一部などは、すでに深刻なダメージが出ています。いずれ無観客が解除された際に、元通りの運営ができるのかわからない施設も少なくないとか。
すでにJRAも、そういった施設の従業員に対しての収入面などのフォローを行っているそうですが、撤退を検討している施設も当然あると思いますよ」(別の記者)
12日に日本騎手クラブが新型コロナウイルス感染症対策の医療基金に積立金768万4000円の寄付を発表した他、JRAは収入の約10%程度を国庫に納め、その一部がコロナ対策に使用されており、競馬を継続する意義となっている。
また全国的な自粛ムードの中、競馬が数少ない娯楽の一環を担っていることも事実だ。
これらの問題は競馬に限ったことではなく、来週末19日には都道府県をまたぐ移動や、接待を伴う飲食店に対する自粛要請が全国的に解除される見込みで、無観客でのプロ野球も開幕する。未だコロナ禍にある中、娯楽に対する厳しい目があることは確かだが、開催にはそこに従事する人々の生活が懸かっている。
「我々としては地元の方々の感情に最大限の配慮をしつつ、問題が起きないように粛々とやっていくしかありません」
そう相沢調教師が呼び掛けている通り、関係者もファンも与えられたルールを厳守しながら、社会の一端を形成する“文化”の火を守り続けていく他ないのだろう。
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