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JRA武豊が、安藤勝己が涙を飲んだ「牝馬三冠」の壁。「秋華賞とデアリングタクトのことばかり考えてる」人生の岐路に立つ30歳・松山弘平の「重圧」

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 牝馬三冠の重圧に対して「早めに経験させてもらっていると思いますし、そこに自分がいられるというのは凄くありがたい」と冷静に語っている松山騎手だが、昨年までのG1制覇は2017年の皐月賞(アルアイン)だけで、デアリングタクトの1冠目(桜花賞)が待望の2勝目だった。その心中が決して穏やかでないことは、誰でも容易に想像できるだろう。

 ちなみに過去、牝馬三冠を達成したのはメジロラモーヌ、スティルインラブ、アパパネ、ジェンティルドンナ、そしてアーモンドアイの5頭。鞍上も河内洋、幸英明、蛯名正義、C.ルメール(ジェンティルドンナのみ岩田康誠騎手と川田将雅騎手の2人で成し遂げている)と歴史に残るトップジョッキーだ。

 強いて挙げるのであれば、スティルインラブの幸騎手が今の松山騎手の状況に最も近いといえるかもしれない。

 現在でこそ通算重賞38勝、G1・7勝(JRAのみ)を上げている名手だが、当時はスティルインラブの桜花賞がG1初制覇だった。そこから勢いに乗って三冠を達成したが、最後の秋華賞は本人が「馬の力で勝たせてもらった」(デイリースポーツ)と振り返るほどのギリギリの戦いだったようだ。

「あの頃から、勝ち鞍や騎乗数が増えました」と語るのは、まさに今の松山騎手と同様であり「あの馬がいなければ、今も現役を続けていたかわかりません」と振り返るほど、牝馬三冠の偉業は幸騎手の人生に大きな影響を与えたようだ。

 逆にグレード制導入以降、牝馬三冠にリーチを掛けながら敗れたのは、わずか3頭しかいない。

 1頭目は1987年のマックスビューティ。主戦は「元祖天才」と称された田原成貴騎手だ。三冠が懸かったエリザベス女王杯(当時)まで破竹の8連勝を続けていたが、最後はタレンティドガールに逆転を許している。

 2頭目は1993年のベガ、主戦は日本競馬史上最も多くのタイトルを手にしている武豊騎手だ。エリザベス女王杯の馬場鉄志アナの「ベガはベガでも、ホクトベガ」という実況は今なお多くの競馬ファンの間で語り継がれている。

 そして、3頭目は2009年のブエナビスタ。主戦は笠松からJRAへ移籍して、大レースを勝ちまくったアンカツこと安藤勝己騎手。逆に述べれば、それだけのキャリアを誇る歴史的名手でさえ、最後の関門で涙を飲まされているということだ。

「(デアリングタクトは)とても特別な存在です。勝てば無敗の3冠牝馬ということで非常に注目されています。『何とか結果を出したいな』と思っています」

 共同会見をそう締めくくった松山騎手。今週の秋華賞は、これまで9000回を超えるレースの中でも一生の思い出になるに違いない。

 幸か不幸か、週末の京都競馬場が大歓声に包まれることはない。勝つにしろ負けるにしろ、多くのファンが松山騎手にとって悔いの残らないレースを期待しているはずだ。

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