JRA有馬記念(G1)カレンブーケドール「代打職人」池添謙一もキャリア最低の5着……「シルバーコレクター」津村明秀再浮上も、悩める今後の鞍上問題
またしても勝利の栄冠には届かなかった。
27日、中山競馬場で有馬記念(G1)が行われたが、カレンブーケドール(牝4、美浦・国枝栄厩舎)はキャリア最低の5着(同着ワールドプレミア)に終わった。
3度のG1・2着がありながら、それ以下の重賞も2着2回のカレンブーケドール。【2.6.2.2】の成績が示しているように、「稀代のシルバーコレクター」「最強の2勝馬」という有り難くない異名をつけられるまでになった。
前走のジャパンC(G1)を4着に敗れたとはいえ、見せ場は十分だった。史上最高レベルとまでいわれた超ハイレベルの一戦で、アーモンドアイやコントレイル、デアリングタクト相手に大健闘。3頭が上位を独占した中で、3着デアリングタクトをハナ差まで追いつめた。
だが、歴史的名馬と言っても差支えのない3頭相手に好走したとはいえ、カレンブーケドール陣営が喉から手が出るほど渇望していたのはやはり「勝利」の2文字。ここまで8戦連続でコンビを組んでいた主戦・津村明秀騎手から、グランプリ最多7勝を誇る代打職人・池添謙一騎手へと乗り替りを決断した。
池添騎手は2005年にスイープトウショウで宝塚記念(G1)を優勝すると、その後もドリームジャーニーとオルフェーヴルで春秋グランプリを制覇。18年にはブラストワンピースでも有馬記念を制したお祭り男としても有名だ。
勝利への期待が高まる理由に、昨年のマイルCS(G1)の優勝も挙げられる。騎乗停止で乗れなくなった福永祐一騎手から受け取ったバトン。完璧なレース運びで代打ホームランを決めてみせた。
大仕事を依頼された池添騎手も「あとワンパンチの部分を期待されて依頼してもらったと思います。4勝していて、有馬に強いというイメージもあったでしょうから」とコメント。騎乗を予定していたサートゥルナーリアの回避。失意の底から手を差し伸べられたチャンスにモチベーションも高かったに違いない。
16頭立てのレース。カレンブーケドールと池添騎手は、中団から上がる積極的な騎乗を見せるも、直線で伸び切れなかった。
レース後に池添騎手は「いいスタートが切れて道中も折り合いがついて、フィーエールマンの後ろでいい位置でしたが、勝ち馬の手応えが違い過ぎた」と、完敗を認めるコメント。レースが動いた勝負所で素早く反応したとはいえ、そこからもう一押しが利かないことは、今後も大きな課題となりそうだ。
そこで、気になるのはカレンブーケドールの次走で誰が手綱を取ることになるのである。
「一見、非情に映る津村騎手から池添騎手への乗り替りですが、勝利を得る手段としての起用でした。乗り替わった騎手が好結果を出すことは珍しくありません。ただ、この敗戦により、これまでチャンスをもらっていた津村騎手の再評価にも繋がるのではないかと思います。
確かになかなか勝ち切れない馬ではありますが、レース展開やこれまでの相手を考えると情状酌量の余地は十分に残っています。コンビ復活の有無については、津村騎手としても気になるでしょうね」(競馬記者)
年が明けてカレンブーケドールは5歳とまだ若い。まだまだ勝利の美酒に酔えるチャンスは残されているだけに、次走で誰がコンビを組むことになるのか注目の1頭である。
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