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JRA杉本清「前の2頭なんてどうでもいい!」コントレイル馬主の“脇役”の歴史。史上初、年度代表馬に選ばれなかった三冠馬……屈辱の「迷実況」から29年

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 最後の直線を迎えた際、カメラは必然的に先頭を争うイクノディクタスとゴールデンアワーを大写しにした。しかし、ファンの興味は、やはりトウカイテイオーに尽きる。そこで杉本さんが思わず「前の2頭なんてどうでもいい!」と叫んだのだ。

 結果的にレースはトウカイテイオーが復活の勝利を挙げ、杉本さんの実況はまさにファンの気持ちを代弁することとなった。

 しかし、一方で「どうでもよくなかった」のが、イクノディクタスとゴールデンアワーの関係者たちだろう。ゴールデンアワーは、後にコントレイルで三冠オーナーとなる前田晋二さんの所有馬だったのだ。後に、杉本さんは前田さんから「ウチの馬も出てたんだよ……(笑)」とお叱りを受けたという。

 そんな前田さんにとってコントレイルの出現は、まさに待ち焦がれた競馬界の主役になれる存在だ。

 本馬を管理する矢作芳人調教師は、7冠馬ディープインパクトの正統後継種牡馬として、父に並ぶべく「あと3つはG1を勝ちたい」と公言している。「日本一美しい牧場」から「日本一素晴らしい牧場」へ、取り逃がしてしまった年度代表馬の座は、2021年の最大のテーマとなるだろう。(文=浅井宗次郎)

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