JRAアリストテレスAJCC(G2)完勝も天皇賞・春(G1)、そして今後のG1制覇は至難の業? その理由とは……
24日、中山競馬場ではAJCC(G2)が行われ、状態不安説が囁かれていたアリストテレス(牡4歳、栗東・音無秀孝厩舎)が道悪を克服し、快勝した。
不良馬場のなか、ペースをつくったのは6歳のジェネラーレウーノ。予想通り、武藤雅騎手が果敢にハナを奪うと、後続に2馬身の差をつけて逃げの手を打った。
1番人気に支持されたアリストテレスは、好発から先行馬を前に見る形で中団からの競馬。3~4コーナーでは鞍上・C.ルメール騎手の手が激しく動き、4角手前で早くも先頭集団に取りつく形に。直線を向くと、中団後方を進んでいたヴェルトライゼンデとラストドラフトに追い詰められたが、ゴール前でもう一伸びし、2頭の追撃をしのいだ。
鞍上のルメール騎手はこれで3週連続の重賞制覇。そして、フィエールマンの引退で失ったはずの古馬長距離路線の“主役”を自ら手繰り寄せることに成功した。
「AJCCを勝ったことで、今後のローテーションが組みやすくなったのは非常に大きいと思います。フィエールマンとは違って連戦も苦にしないタイプですが、賞金面の心配はなくなったので、天皇賞・春(G1)に安心して挑むことができますね。
菊花賞(G1)でコントレイルに迫った実績から(天皇賞・春では)上位人気に推されることは間違いないでしょう。昨夏以降、急激に力を付けており、その成長力も期待されます。しかし、血統的には今後苦戦する可能性があるかもしれません」(競馬誌ライター)
アリストテレスの3代母は名繁殖牝馬のバレークイーンで、この一族からは3頭ものG1馬が出ている。バレークイーンの初仔、フサイチコンコルドはキャリア僅か3戦目で1996年の日本ダービー(G1)を制覇。2007年にはバレークイーンの孫、ヴィクトリーが皐月賞(G1)を勝ち、その2年後にはフサイチコンコルドの半弟アンライバルドが皐月賞を制している。
この3頭は、いずれも3歳春の牡馬クラシックを制覇したが、3歳秋以降は伸び悩んだという共通点がある。この一族は4歳以降のG1では15戦して「0-1-2-12」と勝っていない。
一方、アリストテレス自身は、3歳春までは能力を発揮できず、3歳夏から急激に力をつけた。菊花賞2着に続き、4歳初戦のAJCCを制覇。上記3頭に比べると晩成傾向なのは間違いないだろう。
そして、この一族にはアリストテレスと非常に似た経歴を持つ晩成型の馬がいた。伯父にあたるリンカーンである。
リンカーンは音無厩舎で管理され、馬主は近藤英子氏、さらに菊花賞で2着と、まさにアリストテレスとそっくりの経歴の持ち主だ。さらにリンカーンは4歳初戦の阪神大賞典(G2)を制覇。しかし、1番人気に支持され臨んだ天皇賞・春では、13着に大敗を喫している。結局、古馬になってからG2を3勝したが、G1では2着1回、3着が2回と惜敗止まりに終わった。
一族悲願の古馬G1を狙うアリストテレス。あまりにも似過ぎたリンカーンと同じ道を歩まなければいいのだが……。
PICK UP
Ranking
23:30更新- クロワデュノール「世代最強説」に現実味も…ダービー馬候補が未勝利戦より遅い時計の怪
- ルメール軍団「誤算続き」で迷走中?使い分けの弊害に一部ファンから疑問の声
- 武豊×ドウデュース完全包囲網で波乱含み!?豪華メンバーのジャパンCにチェルヴィニア、ブローザホーン、オーギュストロダンら最強メンバー集結。レジェンド元JRA騎手の見解は?
- 「別競技」の高速馬場で欧州最強マイラーの意地見せたチャリン!ジャパンC参戦オーギュストロダン、ゴリアットに朗報?
- 武豊ドウデュースに「最強刺客」立ちはだかる…今年のジャパンCで「外国馬は消し」が危険すぎる理由
- エアスピネル降板に武豊騎手は「何」を思う……8年前、すべてを手にしてきた天才騎手が”最大級”の屈辱を味わった「ウオッカ事件」とは
- C.ルメール「アンラッキー」な過怠金に謝罪…マイルCSでも「牝馬のC.デムーロ」の手綱冴えるか?
- 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
- 【京都2歳S(G3)展望】藤田晋オーナーの大物エリキングが登場! ジョバンニ、サラコスティがリベンジに燃える
- 【ジャパンC(G1)展望】「ディープ」オーギュストロダンVS「ハーツ」ドウデュース、2005年有馬記念から19年越しの最終決戦!
関連記事
JRAコントレイル以外はレベルに疑問? AJCC(G2)アリストテレス・サトノフラッグ・ヴェルトライゼンデに不安大……クラシック出走馬は大不振
JRA AJCC(G2)アリストテレス状態不安で「単勝1.4倍」まさかの敗戦“二の舞”!? 週末の天気&輸送も追い打ちで苦戦必至か……
JRA武豊と「未完の大器」が散った負の歴史……アリストテレス、ヴェルトライゼンデ、サトノフラッグに立ち塞がる「三冠馬世代の宿命」とは
JRAアリストテレスAJCC(G2)「鉄板説」に異議あり!? コントレイルのライバルに意外なマイナス材料……低レベル世代に早くも怪しい兆候
JRAフィエールマン電撃引退で「鞍上問題」が解決!?前“馬”未到の天皇賞・春3連覇の夢は次代に…… コントレイル打倒誓うあの馬に追い風か