高松宮記念(G1)モズスーパーフレアが見せた復活の兆し。着順以上に評価できる理由
28日に中京競馬場で行なわれた高松宮記念(G1)。
当日降り始めた雨により重馬場となったこの日、同じく重馬場で大荒れとなった昨年のレースと、どこか重なって見えた人も多かったかもしれない。しかし蓋を開けてみれば2番人気のダノンスマッシュが勝利を飾り、1番人気のレシステンシア、3番人気のインディチャンプが2、3着に続くという固い結果で幕を閉じた。
その中で注目したいのはモズスーパーフレア(牝6歳、栗東・音無秀孝厩舎)だ。
同馬は昨年の高松宮記念の勝利馬であることでも知られるが、それ以降は勝利からは遠ざかっており、特に直近3走は馬券内にすら届かないという結果に終わっていた。
それも響いたのか、昨年の優勝馬ながら6番人気だったモズスーパーフレア。しかし、ゲートが開くとロケットスタートのような見事な発馬を決め、後続に1馬身差をつけてハナに立った。昨年も華麗なスタートを見せた松若風馬騎手の腕が光った。
レースの流れを支配しながらインを走ることを意識し、前半600m34.0秒は昨年とほとんど変わらないペースで展開した。直線に入った直後も後続を放し、後ろの馬群には約3馬身差をつけてラスト100m付近まで逃げ粘った。
しかし、内から伸びてきたインディチャンプに交わされ、その直後に外から勝負を仕掛けてきたレシステンシアとダノンスマッシュにも差され、そのすぐ後ろにつけていたトゥラヴェスーラに抜かれて、最後は5着で入線した。
だが、着順以上に良い内容であったといえるのではないだろうか。レース後に、松若騎手が「内枠から質の良いスタートが切れました。リズム良く運べましたが、4コーナーでは内の悪い馬場に滑りながら加速することになりました。それでもよく頑張っています」と話していたように、有利といわれている内枠で、これ以上ないスタートを切れたのは流石といえる。リズム良く逃げることができたのは、この時点で後続と差をつけたことが大きかっただろう。
その後の無駄のないコース取りも然ることながら、評価したいのは直線に入ってからモズスーパーフレアが見せた二の脚の速さだ。
4コーナーを曲がって直線に入った時には1馬身ほどしかなかった後続との差が、さらに加速したために400m前では3馬身ほどの差をつけていた。一瞬、連覇が期待されたがゴール100m手前で捕まってしまった。
終始完璧ともいえる騎乗だったが、5着に敗れたのはモズスーパーフレアの衰えというよりも、上位馬の能力が一枚上だったということかもしれない。上位馬3頭がマイル重賞で結果を残している点からも、今回の勝負は通常の短距離戦以上のスタミナやパワーが求められたレースだったといえるだろう。
馬券外には終わったが、モズスーパーフレアにとっても得るものが大きいレースとなった今年の高松宮記念。昨年大敗を喫したスプリンターズS(G1)へ、今から希望が持てそうな走りを見せてくれた。
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