今、武幸四郎が凄い……呪縛から解き放たれた「天才になれなかった弟」。騎手引退カウントダウンに舞い降りた「兄・武豊」を超える奇跡の騎乗
特筆すべきは、3勝がいずれも1番人気の馬ではないことだ。最高でも3番人気での勝利と、決して馬に恵まれただけの結果ではない。
近年こそ調教師試験のために騎乗数をセーブしていたこともあって成績が奮わなかったたが、もともと勝負強く、腕のある騎手。年明けから、ここまで見事な騎乗を見せられると、より早期の引退が惜しまれる。
昨年は調教師試験合格へ強い決意を秘めたまま勉学に励む中、父・邦彦さんが他界。告別式では、感情を露わにして号泣した姿が印象的だった。その後、兄・豊騎手が「まったく予想していなかった」と述べるほど意外な調教師試験合格。
その陰に並々ならぬ努力があったことは述べるまでもないだろう。
そんな、すでにセカンドキャリアに向けて動き出している武幸四郎騎手の好調。当然、調教師や馬主を始めとした周囲の関係者のバックアップがあってこその結果といえるが、今年6戦3勝という神懸った成績は、それこそ”競馬の神様”の味方なしに成し得るものではないだろう。
確かに武幸四郎騎手は兄と比較してやんちゃな面があり、プライベートで世間を騒がせては「愚弟」という声も聞かれた。特に破局に終わった女子アナウンサーの高島彩、タレントの安田美沙子などとの交際が大きな話題となったのは「わきが甘い」としか言いようがないものだろう。
極めつけは、2011年に京都市東山区内の飲食店での暴力事件。居合わせた男性客に殴られて左ほおを骨折、全治3カ月の重傷を負った。当時はそのまま騎手引退も囁かれたほどだ。
だが、それでもデビューした1997年以降、20年間にわたって「天才」といわれる兄の背中を追ってきた弟の騎手人生は、やはり他人には決してわからない様々なプレッシャーがあったはずだ。
過剰な「期待」とままならない成績への「葛藤」、そんな中でもJRA通算691勝(1月17日現在)、G1・6勝を上げた手腕は偉大な父や兄に隠れた、しかし、確かな騎手としての才能だったに違いない。
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