JRA「パワハラ訴訟」渦中もノーザンファームからの信頼は急上昇!? 藤沢和雄、堀宣行ら関東の名伯楽に迫る勢い、快進撃続く木村哲也調教師の「生き残り戦略」とは

4日に福島競馬場で行われたラジオNIKKEI賞(G3)は、ヴァイスメテオール(牡3、美浦・木村哲也厩舎)が優勝。
同馬はデビューから2戦、丸山元気騎手がコンビを任されていたが、以降はC.ルメール騎手へ乗り替わりとなっていた。暑さが苦手な同騎手は函館での騎乗を選択した関係で、丸山騎手に再びチャンスが回って来た。結果を出したことで、関係者にも継続騎乗をアピールできただろう。
ヴァイスメテオールを管理する木村師は、このレースにボーデンと2頭出し。1番人気に支持されたボーデンは6着と敗れたが、4番人気のヴァイスメテオールできっちりとモノにした。
昨年の調教師リーディングでは16位だった木村厩舎だが、2011年の厩舎開業から順調に勝ち数を増やし、近年はリーディング上位にすっかり定着している。今年の成績も、先週の開催を終えた時点で23勝を挙げて8位と絶好調。この調子で勝ち数を積み重ねていけば、48勝を挙げて7位だった18年を超えることも時間の問題かもしれない。
大塚海渡騎手とのパワハラ裁判の行方は気になるところだが、少なくとも厩舎の成績に大きな影響は出ていないようだ。
また、木村厩舎の大きな特徴はノーザンファーム生産馬の多くを管理していることである。
今年挙げた23勝のうち、ノーザンファーム系の管理馬は実に18勝。数字にしても【18.7.10.37/72】で勝率25.0%、連対率34.7%、複勝率48.6%という驚異的な好成績。ノーザン×木村厩舎のコンビは、馬券的にも狙って損はないといえる。
勿論、この“蜜月関係”はノーザンファームサイドの木村師に対する評価の高さに他ならない。厩舎に所属している助手や厩務員など、働き手への評価も高く、1歳や当歳のクラブ馬の預託依頼も増えているという。
これには裏があって、馬主やクラブでトレセンへの入厩頭数の上限が決まっているのだが、木村師は他調教師よりも生産者サイドの意向をしっかり聞いてくれるからだという。
「悪く言うと“言いなり”なのですが、そのお陰でノーザンファームも入退厩の管理をしやすいんです。例を出すと、馬本位で調整をする藤沢和雄調教師や堀宣行調教師などは生産者サイドが管理馬の入れ替えを要求しても、すんなりと受け入れる訳ではないです。
それがいい結果を生む事もあるのですが、生産者サイドからすると何百頭もいる馬を効率良く使う為には、どうしても回転させる必要もあります。その結果、調教師と意見がぶつかり、思うように使えない事もあるみたいです。
木村師以外にも新興の宮田敬介師、林徹師なども、指示通りに馬の出し入れを受け入れています。尚且つ結果も出してくれるため、ノーザンから重宝されているみたいですよ」(関東のトラックマン)
一時代を築いた藤沢師も定年が近づき、堀師も最近は個人馬主の割合が増えている関東。
また、生産界の第一人者であるノーザンファームの有力馬を預かることは、リーディング上位を狙うには欠かせない。現在、木村師が関東の調教師リーディングでも国枝栄師に次ぐ2位と絶好調なのも、ノーザンの後ろ盾によるものだ。
外野から“言いなり”と言われても、結果がすべての勝負の世界で戦っていくには、それもひとつの“生き残り戦略”といえるだろう。
今後はノーザンからの信頼が厚い木村、宮田、林厩舎のクラブ馬の数が増えていくと見られているため、お抱え厩舎の活躍と比例して、関東の調教師リーディングにも劇的な変化が表れるのではないか。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
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