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JRAシゲルピンクダイヤ「最強の1勝馬」返上なるか!? アノ馬との生涯賞金額まであとわずか……、クイーンS(G3)の走りに注目

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 8月1日に函館競馬場で行われる牝馬限定重賞のクイーンS(G3)は、昨年に続き3歳馬が不在。今年は、4歳馬6頭、5歳馬6頭の計12頭によって行われる。

 4歳最有力はマジックキャッスルだろう。昨年の秋華賞(G1)でデアリングタクトに次ぐ2着に追い込み、今年初戦の愛知杯(G1)を制覇。春は阪神牝馬S(G2)で2着、ヴィクトリアマイル(G1)は3着と牝馬の一線級相手に好走を続けている。

 一方、5歳ではドナアトラエンテが人気を集めそう。これまで11戦して馬券圏外は1度だけという安定感が自慢だ。2度目の重賞挑戦となった前走の福島牝馬S(G3)は、勝ち馬にハナ差2着とタイトル奪取はもう手の届くところにある。

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 ただし、実績という点ではシゲルピンクダイヤ(牝5、栗東・渡辺薫彦厩舎)の方が上だろう。

 2016年に誕生した現5歳世代は、短距離路線でグランアレグリアが、中距離路線ではクロノジェネシスという牝馬2頭が牡馬勝りの活躍を見せている。その2頭と牝馬クラシック戦線で渡り合っていたのがシゲルピンクダイヤだ。2年前の桜花賞(G1)はグランアレグリアの2着、秋華賞ではクロノジェネシスの3着に好走している。

 しかし、古馬になってからは、9戦して「0‐1‐0‐8」と物足りない数字にも映る。通算成績は「1‐3‐3‐10」なので、“主な勝ち鞍”は「2歳未勝利戦」のままである。その一方で、G1の好走歴も含めて、キャリア3戦目のチューリップ賞(G2)から15戦連続で重賞レースに出走。これまでコツコツと積み重ねた賞金額は1億4200万円(付加賞金は除く)に上る。

 現役で獲得賞金が1億円を超えている1勝馬は、他に同じ5歳牝馬のビーチサンバ(1億1640万円)がいるだけ。つまり、シゲルピンクダイヤが現役では“最強の1勝馬”ということになる。

「ある意味で不名誉な称号ですが、馬主孝行であることは間違いありません。この世代は2400頭近い牝馬がJRAでデビューしましたが、獲得賞金(JRAのみ)が1億円を超えているのは5頭だけ。シゲルピンクダイヤは世代屈指の勝ち組、実力馬ということになります。

もちろん陣営にとって重賞制覇は悲願だと思いますが、ここまで来れば“史上最強の1勝馬”の称号を狙って欲しい気もします」(競馬誌ライター)

 “史上最強の1勝馬”――。この称号を保持するのは、昨年末に引退したエタリオウである。18年の菊花賞(G1)を筆頭に重賞で合計4度も2着に入った実績の持ち主だ。

 3歳春の青葉賞(G2)で2着に入り、“才能”の一端を示すと、続く日本ダービー(G1)では4着。3歳秋以降も、鋭い末脚を武器に中長距離の重賞路線で好走を続けた。結局2勝目を挙げることなく引退したが、生涯獲得賞金は1億9570万円に上った。

 現在、シゲルピンクダイヤとエタリオウの差は5370万円。もしクイーンS2着なら1400万円を加算できるが……。果たしてシゲルピンクダイヤは、“平常運転”で着実に賞金を稼ぐのか、それとも待望の2勝目を挙げ、“現役最強の1勝馬”のタイトルを返上するのか。初の洋芝でその走りに注目が集まる。

(文=中川大河)

<著者プロフィール>
 競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

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