JRA話題の新馬戦では武豊騎手に完勝! 武幸四郎厩舎が昨年から「ダブルスコア」の大躍進、原動力はあの有名クラブと関東から移籍した助っ人騎手
15日、小倉5Rの新馬戦をデビュー勝ちしたドグマ(牡2歳、栗東・武幸四郎厩舎)。コナブラックに続く新種牡馬キタサンブラック産駒として2勝目をマークした。
実は、レース前からちょっとした話題を集めていた。
このレースには、評判馬スパイダーバローズが出走。阪神JF(G1)を制するなど、2019年度のJRA最優秀2歳牝馬に輝いたレシステンシアを近親に持つ良血馬で、単勝オッズ1.8倍の断然人気に支持された。
ほかにも元調教師の池江泰郎氏の所有馬で、ディープインパクト産駒のオールタイムハイが出走。鞍上には父・ディープインパクトの主戦でもあり、管理する池江泰寿調教師と同級生の武豊騎手が起用され、単勝オッズ5.2倍の2番人気に推されていた。
しかし、話題の2頭を退けたのが、8番人気の伏兵ドグマ。道中はふらつく仕草もみえたが、外から豪快に伸びての差し切り勝ち。スパイダーバローズは3着、オールタイムハイは見せ場なく13着に敗れている。
この勝利により武幸厩舎は今年22勝目を挙げた。開業初年度の2018年は16勝。翌19年は14勝、続く20年はダブルスコアの28勝と順調に勝利数を伸ばし、今年は昨年を凌ぐペースで、白星を積み重ねている。
この飛躍の要因は、どこにあるのだろうか。近年目立つのは、年を追う毎に有力馬主との信頼関係を着実に築いている点が挙げられることだ。
特にDMMドリームクラブの所有馬を預かるケースが増えている。18年はクロスオブヴァロー1頭のみだったが、19年には2頭が加わり、20年も2頭、今年の新馬も1頭加わって計5頭。すでに抹消されている馬もいるが、今年は同クラブの馬で4勝を挙げるなど、厩舎躍進の原動力となっている。
なかでもエブリワンブラックは武幸厩舎にとって紛れもない“功労馬”だ。同馬の成績は17戦して4勝、2着3回、3着4回と堅実。先月11日の福島10R天の川S(3勝クラス)を制したほか、掲示板を外したのはわずか4回。賞金を持ってくる確率が高く、“馬主孝行”な1頭である。
その天の川Sで手綱を任されたのが、昨年3月から武幸厩舎専属騎手となった柴山雄一騎手。長らく関東に所属していたが心機一転、昨年から関西を拠点にして、ようやくその水にも慣れてきたようだ。冒頭で記したドグマを勝利に導くなど、柴山騎手の存在も、厩舎躍進の要因といえる。
ドグマでの勝利後に柴山騎手は「普段の調教でも厩舎の方で考えて、CWコースで乗ってくれていましたからね。抜け出してから物見しましたが、それでも内容は良かったと思います」とコメント。柴山騎手や厩舎スタッフの連携がうまくいっていることが伝わる発言だ。
昨年の28勝が、現時点でキャリアハイとなっている武幸厩舎だが、この勢いなら今年の記録更新も時間の問題かもしれない。残り少ない夏競馬ではもちろん、秋以降も武幸調教師の手腕に注目していきたい。(文=鈴木TKO)
<著者プロフィール> 野球と競馬を主戦場とする“二刀流”ライター。野球選手は言葉を話すが、馬は話せない点に興味を持ち、競馬界に殴り込み。野球にも競馬にも当てはまる「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」を座右の銘に、人間は「競馬」で何をどこまで表現できるか追求する。
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