
JRA勝って凱旋門賞のはずが……。「僕もびっくりした」名手・安藤勝己が歴代屈指の牝馬から感じた「違和感」とは!?
今週末、札幌競馬場では札幌記念(G2)が開催される。過去、女帝エアグルーヴや二冠馬セイウンスカイ、G1・6勝馬モーリスなど数多くの名馬が出走してきたレースだ。
洋芝で8月開催のレースということで、10月初旬に行われる凱旋門賞(G1)から逆算すると手頃な時期。近年は、そのステップレースとして使われるケースも増えてきた。
なかでも、競馬ファンの胸が高鳴ったのは、ブエナビスタが札幌記念をステップに凱旋門賞へ挑戦することを表明していた2009年だろう。同馬は後のG1馬3頭が集結した「伝説の新馬戦」こそ3着に敗れたが、その後はG1・3勝を含む5連勝と、凄まじい勢いを誇っており、ファンは単勝1.5倍の断然人気に支持した。
このレースを勝てば凱旋門賞挑戦にも期待は高まる。桜花賞(G1)、オークス(G1)を制した二冠牝馬という点に加えて、3歳牝馬は軽い斤量で出走できることもあり、日本競馬悲願達成なるかと誰もが勝利を信じた。
そんなブエナビスタを一目見ようと、札幌競馬場には前年比15.1%増の2万7000人近くの観客が詰めかけた。そして、多くのファンに見守られる中、レースが発走した。
フルゲート16頭の芝2000m戦。後ろからのレースも多いブエナビスタにしては好スタートを決めるが、内へ入ることができず。道中は終始馬群の外々を回らざるを得なくなった。
それでも、ブエナビスタの手応えは十分だった。4コーナーで大外へ持ち出されると、有馬記念を制したマツリダゴッホら年長実力馬らを抜き去っていく。しかし、外を回ったブエナビスタと対照的に経済コースを進み、一足早く抜け出したヤマニンキングリーだけは捉えることができず。2着に敗れた。
「こんなブエナは初めてだ」
鞍上の安藤勝己元騎手は後にそう振り返っているように、普段はおっとりした性格のブエナビスタだったが、この時は違ったという。「僕もびっくりした。これまでにないほどガツンとゲートを出ていった。1コーナーまではなだめるのに苦労した」と回顧。
レース後、ブエナビスタを管理する松田博資調教師は、「勝ちに等しいじゃダメ。勝たなきゃいけなかった」と、凱旋門賞挑戦断念を発表した。
5年後、松田厩博舎は当時「ブエナビスタ2世」と期待されたハープスターで札幌記念へ参戦。見事ゴールドシップを下し勝利を掴んだ。そして、ハープスターは厩舎の大先輩が成しえなかった凱旋門賞へ駒を進め、6着と健闘する。
(文=寺沢アリマ)
<著者プロフィール>
大手スポーツ新聞社勤務を経て、編集部所属のライターへ。サラ系・ばん馬のどちらも嗜む二刀流で「競馬界の大谷翔平」を目指すも収支はマイナス。好きな競走馬はホクショウマサル。目指すは馬券的中31連勝だが、自己ベストは6連勝と道は険しい…。
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