JRA「7分の仕上げ」で突き抜けたアンクロワが一発回答! 母系は多くのクラシックホース輩出、キャラ変モーリスにも再評価必要か
種牡馬デビュー初年度は勝ち切れない産駒が多かったモーリスだが、もはやかつてのイメージとは、キャラクターが一変したといえそうだ。
19日、中山競馬場で行われた5Rの2歳新馬戦(芝1600m)を、直線で力強く抜け出したのは、横山和生騎手が騎乗のアンクロワ(牝2、美浦・伊坂重信厩舎)。フルゲート16頭のレースを好位から突き抜け、2着馬に2馬身半の差をつけた。
ゴール前は、勝利を確信した横山和騎手が追うところもない楽勝だった。
「勝つには勝ちましたが、正直なところ今後の不安要素が大きいですね。精神的に難しい血統なので、落ち着きを保っていられれば」
積極策から前に壁を作り、極力精神的なプレッシャーを掛けない騎乗でパートナーを勝利へと導いた好騎乗。強い勝ち方をしながらも鞍上の口から出たのは、意外にも慎重なコメントにも映る。
和製ラムタラと呼ばれたフサイチコンコルドやアンライバルド、ヴィクトリー、リンカーンなど多くの実力馬を出した日本競馬で有数の牝系出身だが、この系統には高い素質を秘めながら体質の弱さや精神面の脆さを見せた馬も多い印象である。
“不安要素”が大きいと振り返った横山和騎手のコメントには、こういった特徴も頭に入っていたからなのかもしれない。
ただ、デビュー戦で披露した走りが、素晴らしい内容だったこともまた事実だ。
「体質的にも気性的にも、まだまだですね。体質が弱くて正直、攻めきれなくて7分、8分だったので、一発回答してくれたのは大きかった。伸びしろはある」
同馬を管理する伊坂師がそう振り返ったように、これだけの強さを見せながらも仕上がり途上のままであっさりと勝ったことに意味がある。このまま順調に成長していけば、来年の牝馬クラシックで活躍しそうな雰囲気を感じる。
そして、やはり注目したいのはモーリスの産駒ということ。ドゥラメンテと共に注目の種牡馬として期待された昨年は、産駒の初勝利までにまさかの21連敗を喫した。
「モーリス産駒は、どうもワンペースなタイプが多いです。そのため、レースに行っても走りが変わらず、ギアが上がらないのがネックになっている気がします」(競馬記者)
記者が話す通り、特別スピードがあるわけでもなく、切れる脚もなかったのが当初のイメージだったが、今年に入ってピクシーナイトやシゲルピンクルビーなど、鋭い末脚で重賞勝ちをする馬も出始めた。
まだまだ伸びしろがありそうなアンクロワ。完成した時にはどのような姿を見せてくれるだろうか。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
PICK UP
Ranking
23:30更新- 【日本ダービー】武豊「何とか間に合いました」キタサンブラック弟と挑む最多7勝目…乗り替わりでも不気味なエコロヴァルツの底力
- 「オーナーの逆鱗」に触れた原優介が突然のクビ宣告!? 帝王賞でウィルソンテソーロ降板も決定済み…気になる「鞍上交代」はやっぱりアノ人?
- JRA天皇賞・春(G1)エタリオウの「扱い」が鍵? 「最強コンビ」桃井はること楠原安里梨が占う平成最後の聖戦
- 【NHKマイルC】ファンの興味は「15番枠」が1番人気?固唾をのんで待つ運命の枠順発表…ただの偶然で済まされない「幸運」を手にするのはどの馬か
- 【NHKマイルC】父は名マイラー、母もマイルG1馬の「黄金血統」、前走惨敗で評価急落も…注意しておきたい激走候補2頭
- JRA矢作芳人調教師「馬場のことは、いつも棟広に聞いているぐらいだから」ジャパンC(G1)にコントレイルを出走させる名伯楽も信頼!『KEIBAコンシェルジュ』棟広良隆氏【特別インタビュー】
- 競馬・パチスロ「勝ちまくり」の無双モード!?「キャプテン渡辺」が濃厚すぎる上半期を振り返る!!【特別インタビュー】
- 【NHKマイルC】“アスコリピチェーノVSジャンタルマンタル”仁義なき社台グループの頂上決戦に決着をつける不気味な伏兵!
- 【NHKマイルC】17番人気ピンクカメオの激走!伝説の973万馬券はこうして飛び出した。今年はジャンタルマンタルとアスコリピチェーノに不安話で急浮上の穴馬!
- JRA天皇賞・秋(G1)最強の「攻略法」を発見!? 空気階段「鈴木もぐら」渾身の『絆69馬券』に驚愕!!
関連記事
JRA 福永祐一「いい勝ち方ができた」名牝の産駒がデビュー戦快勝!「超高額」で立て続けにコケた一族、待望の新馬戦「初勝利」に安堵か
JRA「エアグルーヴ×ベガ」日本が誇る名牝の集大成!? 藤沢和雄師最後のダービー馬候補は“ズッコケ”も……、ドゥラメンテの忘れ形見に懸かる大物誕生の期待
JRA 「武豊×ノースヒルズ」も“キズナ”は深まらない!? コントレイルと同じ「秋競馬2週目デビュー」期待馬トゥデイイズザデイに圧し掛かる不安点とは
JRA C.ルメール泥沼「9連敗」から豹変の面目躍如!? 「勝率5割」で有言実行の勝ち星量産、リーディングジョッキーの低迷に“北海道縛り”の影響も
JRA 川田将雅「想定したよりも、遥かに良い内容」優しいコメントが逆に……桜花賞馬ハープスターの仔は初戦3着発進も、早くも心配される「あの馬の二の舞」