JRA 未勝利だけど名前は「マケルナ」!? 今度こそ“負けない”目指すクロノジェネシス近親の名前に隠されたオーナーの「想い」

今度こそ馬名の通り負けないだろうか……。
9日、新潟競馬場で10R・萬代橋特別(1勝クラス)が行われる。秋競馬最初のローカル開催だけあってフルゲートの18頭を超える19頭が特別登録をしている。
そこには最後の未勝利戦で開催期間内に勝ち上がれず、ローカル場以外の出走を許されていない未勝利馬7頭も含まれている。その中でも、一際目立つのがマケルナマサムネ(牡3歳、栗東・杉山佳明厩舎)だ。
最初に目に付くのが馬名の前半部分にあたる「マケルナ」だろう。同馬はこれまで9戦走っているが、未だに勝ち星がない。「マケルナ」と馬名に入っているが、負け続けているのが現状だ。
しかし、高い能力を秘めていることは確かなようだ。デビュー5戦目に現2勝クラス在籍のアルバーシャと接戦を演じ、デビュー以来初の馬券圏内となる3着に好走すると、続く6戦目も3着に。
9戦目となった前走にいたっては1勝クラスへ格上挑戦し、勝ち馬から0秒4差の3着に走っている。この時の勝ち馬は神戸新聞杯(G2)で3着のモンテディオだけに、展開等が嚙み合えば初勝利は目前に思える。
また、マケルナマサムネは良血馬でもある。祖母クロノロジストはG1・4勝馬クロノジェネシスとG1・2勝ノームコアの母。古馬になっても強さを発揮し続けたG1馬2頭の近親であるため、晩成の血統でこれから強くなる可能性もありそうだ。
そして、次に気になるのが馬名の後半部分に該当する「マサムネ」だろう。これには同馬のオーナーである塩澤正樹氏のこだわりが詰まっているようだ。
「塩澤正樹氏は滋賀県甲賀市にある『水口眼科医院』の院長です。塩澤氏の特徴は何と言っても馬名ですよね。
近年特にその傾向が強いのですが、牡馬には『マサムネ』、牝馬には『ナオミ』と名付けていることです。『マサムネ』はご子息、『ナオミ』は奥様のお名前とのことです」(競馬誌ライター)
塩澤氏は京都馬主協会HPで連載されていた大恵陽子氏のコラム「夢への第一歩!」で、馬名の込める意味について熱弁している。
「塩澤氏は以前所有していた『オトコギマサムネ』という馬の由来について、ご子息が『男気ある男の子に育ってほしい』から名付けたと明かしています。
もしかしたら、『マケルナマサムネ』はご子息が何事にも『負けない』人になってほしいという願いを込めて名付けたのかもしれませんね」(同ライター)
一方で、塩澤氏は『Creem Pan』のインタビューにて、「ヒットの先にホームランがあると考えているので、まずはヒットを打つ、つまり1つ勝つのが目標。1つ勝てば次がありますから」と、1勝することへの“こだわり”を明かしている。
ご子息も“負けない”でほしい。そして、自身の馬もとにかく「1つ勝ってほしい」という想いがあるからこそ、塩澤氏はナオミノユメの2番仔に「マケルナマサムネ」と名付けたかもしれない。
そんな塩澤氏の想いを背負ってマケルナマサムネは初勝利を目指し、9日の萬代橋特別へ挑むことになるだろう。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……
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