
JRA戸崎圭太「悔しい情けない」発言から4カ月、ダノンキングリー川田将雅「これが本来の姿」に調教師も絶賛…… 毎日王冠(G2)でシュネルマイスターと再び激突

6月に東京競馬場で行われた安田記念(G1)を制し、陣営が喉から手が出るほど欲しかったG1タイトルを初めて手に入れたダノンキングリー(牡5、美浦・萩原清厩舎)。「王にふさわしい」という馬名の由来通り、春のマイル王に君臨したのは4カ月前のことだった。
デビューから無傷の3連勝で共同通信杯(G3)を勝利。世代トップクラスの評価を受けながら、クラシック戦線では皐月賞(G1)3着、日本ダービー(G1)2着と敗れ、あと一歩のところで勝利に手が届かなかった。
その後も飛躍を期待されたものの、毎日王冠や中山記念などのG2は勝利しながら、G1は惜敗続き。昨秋は安田記念で7着、秋の天皇賞(G1)では12着と崩れる。約8ヵ月の休み明けとなった今年の安田記念で、8番人気の評価だったのも無理はない。
だが、デビュー以来最低人気で挑んだレースで、ダノンキングリーはかつてと見違えるような力強い走りを披露した。単勝1.5倍の圧倒的1番人気に支持されたマイル女王・グランアレグリアを破る大金星の勝利を挙げたのだから、これをフロックと呼ぶのはさすがに失礼だろう。
そして、この快挙は川田将雅騎手の完璧なエスコートがもたらしたものだ。
レース後、川田騎手は「元々能力の高い馬、こういうメンバー相手でも勝ち切れる能力の高さがこの馬本来の姿だと思います」とコメント。ダノンキングリーを管理する萩原師も「勝因はジョッキーの好騎乗」と評したように、賛辞を惜しまなかった。
ただ、そんなダノンキングリー陣営に対し、複雑な胸中を明かしていたのが、同馬の元主戦騎手だった戸崎圭太騎手だ。
自身の落馬負傷もあって、中間で横山典弘騎手が手綱を取ることもあったが、現場に復帰してからはコンビも復活。デビューから辛苦を共にしてきたパートナーが、初騎乗の相手にいきなりG1を勝たれたのだから、そのショックは計り知れない。
「正直、悔しいですし情けないのが本音ですね……。ダノンキングリーについてはG1を勝てたことは良かったと思いますし、理想は自分が乗って勝てれば良かったけど、なにか今後、そういう馬と巡り会えたらいいなと思いますし、その際に力を引き出せる騎手でありたいです」
とは、『競馬ラボ』で連載しているコラム『週刊!戸崎圭太』内で語った当時の心境の一部を抜粋したものである。
「戸崎騎手の悔しさがヒシヒシと伝わる内容でしたね。言葉は悪いですが、これまでの自分の騎乗を川田騎手に“全否定”されたような結果だっただけに、精神的なダメージは相当あったと思います。
近年の川田騎手は着実にステップアップを重ね、現在は日本を代表するトップジョッキーのひとりにまで上り詰めました。ダノックスの主戦も任されるようになり、関係者からの評価も高くなりました」(競馬記者)
戸崎騎手もかつては、全国リーディングの常連だったが、現在の両者の立場は逆転している状況ともいえる。京都大賞典(G2)のヒートオンビートに騎乗する戸崎騎手としても、ダノンキングリーは気になるだろう。
スプリンターズS(G1)をピクシーナイト、札幌記念(G2)のソダシなど、勢いのある3歳馬シュネルマイスターと再び対決する毎日王冠(G2)で、コンビ2戦目となる川田騎手とダノンキングリーのコンビがどのような走りを見せるのか。
今後のG1戦線を占う意味でも注目のレースとなりそうだ。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
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