JRA「伝説再現」へ、5億円馬VSシャフリヤール弟がデビュー戦で激突!

どちらも譲る気はないようだ。
24日の阪神競馬は牡馬クラシックの最終章・菊花賞(G1)が行われる大一番。今年は皐月賞馬エフフォーリア、ダービー馬シャフリヤールが不在と少々寂しいメンバーになりそうだが、充実一途のステラヴェローチェが戴冠なるか注目が集まる。
その一方で5Rに行われる芝1800mの新馬戦は、いつしか「伝説の新馬戦」と称されるようになった登竜門だ。
「伝説の新馬戦」の起源となったのは、おそらく2008年だろう。
この年、勝ったアンライバルドは翌年の皐月賞馬となり、3着のブエナビスタは阪神JF(G1)のほかにも桜花賞(G1)とオークス(G1)を制して牝馬二冠を達成。古馬となってからはヴィクトリアマイル(G1)、秋の天皇賞(G1)も勝利した名牝だ。
さらに4着のスリーロールスは菊花賞を優勝。2着リーチザクラウンはG1こそ勝利することが出来なかったが、日本ダービー(G1)ではロジユニヴァースの2着に入って種牡馬入りしたように、新馬戦ながら超G1級のメンバーが集まるレアケースだった。
さらに翌年の同レースでは、後にジャパンC(G1)を勝つローズキングダムと、日本競馬初のドバイワールドカップ(G1)制覇を成し遂げたヴィクトワールピサが激突。「伝説の新馬戦」と呼ばれ始めたのは、この頃か。ちなみに昨年も、ここでシャフリヤールがデビューし、日本ダービーを勝って世代の頂点に登り詰めた。
そんな競馬史にさえ小さくはない影響を与えている一戦で、今年も話題の超良血馬が激突する。
「ようやく態勢が整いつつありますね」
三冠馬オルフェーヴルを手掛けた池江泰寿調教師が期待をかけるのが、兄に続くクラシック制覇を狙うアルファヒディ(牡2歳、栗東・池江泰寿厩舎)だ。

母ドバイマジェスティは皐月賞馬アルアイン、そして今年のダービー馬シャフリヤールを輩出した名牝。父がディープインパクト産駒の兄たちとは異なるハーツクライに変わったが、兄たちの忘れ物「菊花賞」で偉大な母に“三冠”をプレゼントするのであれば、むしろ好都合か。陣営がC.ルメール騎手を手配していることからも態勢は万全だ。
「馬体重以上に体を大きく見せます」

一方で、兄シャフリヤールの主戦・福永祐一騎手が騎乗するのが、5億円馬のリアド(牡2歳、栗東・友道康夫厩舎)だ。
一昨年の当歳セレクトセールで歴代5位となる5億760万円(税込み)で取引されたリアドも、24日の伝説の新馬でデビューする。鞍上は福永騎手だ。
母のタイタンクイーンは父Regal Ransomでストロングタイタン(鳴尾記念・G3)、父Lonhroで6勝を挙げるミラアイトーン、父オルフェーヴルでNHKマイルC(G1)3着のギルデッドミラーを輩出するなど、父を問わずにハイアベレージを残している。そこに父がディープインパクトに変われば期待値が上がるのは当然、クラシックを見据える大器だ。
「実はこの2頭が24日の阪神でデビューすることは、かなり以前から決まっていました。クラシックから逆算した場合、新馬戦で躓くのは避けたいところですが、お互いに譲らないようですね。今年も非常に注目度の高い新馬戦になると思います」(競馬記者)
同じレースに出る以上、まずどちらかが必ず未勝利戦に回ることになる。とはいえ、2008年のアンライバルドとブエナビスタら、2009年のローズキングダムとヴィクトワールピサなど、勝った馬だけでなく敗れた馬まで活躍するのが「伝説の新馬戦」たる所以だ。
今年もアルファヒディとリアドのキャリアにとって特別な一戦となるか。
(文=大村克之)
<著者プロフィール>
稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。
PICK UP
Ranking
11:30更新
【香港C(G1)展望】BC制覇の偉業から1か月、ラヴズオンリーユー有終の美へ!レイパパレはC.スミヨンと新コンビ、最大のライバルは最高レーティングの英国馬
JRAノーザンファーム時代終焉へ「16億円」大勝負の“答え”が今週末に!? 「33億円の悲劇」から26年……日高関係者の“命運”を背負った良血がついにデビュー!
横山典弘騎手が若手騎手に「あの乗り方はやめろ」岩田康誠騎手らが実践する「お尻トントン」は、競走馬の負担になるだけ?- 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
- 「庭先取引」の問題点を一変させたセレクトセール!億超え馬を落札する名物オーナーたちも登場…オープンでフェアな取引に多大な貢献【競馬クロニクル 第63回】
- アドマイヤ軍団が「G1・45連敗」武豊と絶縁し「40億円」と引換えに日本競馬界フィクサーの”逆鱗”に触れた凋落の真相?
- 最強社台グループに「侍」が挑戦状!? 苦戦が続く馬産地・日高再興へ「ハナズ」のM.タバート氏が新1口馬主クラブ設立!
- JRA 社台ファームが空港建設の立ち退き!? 千葉から始まった伝説……社台グループ「サンデーサイレンス」を超える2つの歴史的僥倖とは
- 「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
- 浜中俊「哀愁」の1年。かつての相棒ソウルラッシュ、ナムラクレアが乗り替わりで結果…2025年「希望の光」は世代屈指の快速馬か
関連記事

JRA「強過ぎた」がために逆風吹いたコントレイル、全弟サンセットクラウドがデビュー、最強の“逃げ馬” が歴史的栄誉と引き換えに遠ざかっていったファンの理想像

JRA コマンドラインに「大差勝ち」の好時計も藤沢和雄師が素直に喜べないワケ、C.ルメール「グランアレグリア2世」ラスールに最大級の評価!

【非業】原因不明の死を遂げた米国最強馬の「忘れ形見」が10馬身差圧勝デビュー! 武豊アウォーディーらを蹴散らしたドバイWCから4年、未だ死因わからず

JRA 武豊、新馬特別連勝の「好素材」と新タッグ!暮れのG1戦線に向けてお手馬強化を図る中で、前任騎手が「謎」のコンビ解消

「10億までは降りない」名物オーナーが惚れ込んだ期待馬がデビュー! 史上最高額を記録した馬を気に入った「ルーツ」とは
















