
JRA ソダシのダート転向は「大失敗」の可能性あり!? 須貝尚介調教師「血統背景も物語っています」もダートが合わない理由

今年の桜花賞(G1)優勝馬のソダシ(牝3歳、栗東・須貝尚介厩舎)が、来月5日に行われるチャンピオンズC(G1)へ出走予定であることが分かった。
ソダシは昨年7月のデビュー以来、芝のレース一本で使われてきた。G1を2勝して、札幌記念(G2)でも米G1馬のラヴズオンリーユーを撃破した芝の実績馬が、3歳秋の時期に路線変更することになりそうだ。
ダート転向の理由について須貝師は「古馬の牡馬相手では斤量差があるし、血統背景も物語っていますからね。この辺で一度試してもいいかなと考えました」と、答えた。
須貝師が話す通りソダシの血統背景はダート向きとされている。父のクロフネはNHKマイルC(G1)優勝の芝の実績もさることながら、ダートでは無類の強さを誇った。2001年の武蔵野S(G3)で2着に9馬身差をつける圧勝で初ダート戦を飾ると、続くジャパンCD(G1)ではロングスパートから後続を7馬身も千切った。
母のブチコもダートを得意としていた。ダートで計4勝を挙げており、オープン入りまで果たした。また伯母で同じクロフネ産駒のユキチャンも交流重賞3勝を誇る。

さらにデビュー前の調教からソダシへ跨ってきた吉田隼人騎手も「正直、ダート馬だと思っていた」と、平松さとし氏のインタビューで答えている。吉田隼騎手は母ブチコの兄弟馬に何度も騎乗経験があり、ソダシの乗り味もそれらの馬と似ている感覚があったという。
経緯を踏まえると、ソダシのダート転向は合いそうな雰囲気がある。一方で「ダートは難しいと思います」と、桜花賞馬の方針転換に警鐘を鳴らす有識者もいる。
「ダートが得意そうなクロフネ産駒ですが、JRAにおける成績だと芝の方が良いですね。05年に初年度産駒がデビュー以来、重賞48勝を積み重ねてきましたが、うちダート重賞は3勝のみです」(競馬記者)
クロフネ産駒でJRAダート重賞を制した馬は、現在まで2頭いる。1頭は重賞2勝を誇り、G1でも2着があるテイエムジンソク。もう1頭は15年のマーチS(G3)を制したマイネルクロップだ。
交流重賞まで範囲を広げると更に重賞馬は増えるとはいえ、あれほどダートで強いレースをしたクロフネの子どもが、JRAダート重賞を僅か3勝しかしていないのは驚きである。
「特に牝馬だと芝の短距離に強い傾向があって、牝馬だけでJRAのG1を7勝していますが、全て芝1200mと芝1600mで上げたものです。ダート中長距離で活躍した牝馬は、今のところJBCレディスクラシック(G1)を連覇したホワイトフーガと交流重賞2勝のレーヌブランシュしかいません。
典型的なクロフネ産駒牝馬は芝の短い距離が得意と言えるでしょう」(同)
ソダシは2000mの札幌記念を制したことで、“異端”のクロフネ産駒牝馬との見方もできる。しかしダートが未知数な以上、記者が話す典型的なクロフネ産駒牝馬の可能性も否めない。
続けて記者は「ソダシの気性からもダートは向いていないのでは」と、話す。
「ブチコは気性が悪い馬として有名で、何度も調教再審査になってしまうなどお騒がせな馬です。そして娘のソダシも、前走の秋華賞で母の悪い癖を受け継いだようなところを幾度なく見せていました。
気性難を抱える馬はダートだと、砂を被ると自分から走る気を無くす馬が多いです。現役馬ではカフェファラオやエアアルマスが砂を被ると走らないと言われており、ソダシもその類に入るかもしれません」(同)
今回のダート挑戦は秋華賞以上の大敗を喫するリスクもはらんでいるかもしれない。ただ、須貝師は出走理由の1つに「今後を見据えて、選択肢が広がれば」を上げている。仮にダート挑戦が成功すれば、今後はBCディスタフ(G1)を勝ったマルシュロレーヌのように海外挑戦も視野に入ってくる可能性もある。
「白毛は走らない」というジンクスを打ち破り、世界初の白毛G1馬となったソダシのアイドルホース第2章開幕に期待したい。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……
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