JRA「最弱」デアリングタクト世代から新勢力が台頭!エリザベス女王杯(G1)1番人気レイパパレ失速も“伏兵”4頭が掲示板確保で逆襲開始!
14日、阪神競馬場で行われたエリザベス女王杯(G1)は、10番人気アカイイトが優勝。2着に7番人気ステラリア、3着には9番人気クラヴェルが入り、三連単配当は339万3960円という大波乱となった。
テン乗りで一発回答を出した幸英明騎手はレース後、開口一番「嬉しいです」と率直な気持ちを表すと、「向正面ではイメージ通りの位置を取ることが出来ました。内回りコースということもあり、早目早目に上がって行きました。最後は伸びてくれると信じていました」とアカイイトの末脚を称えた。
一方、1番人気に支持されたレイパパレは最内1番枠から絶好のスタートを切ると、前に先行馬2頭を見る形で3番手を追走。4コーナー手前で逃げたシャムロックヒルをとらえ、粘り込みを図ったが、残り200mで外からアカイイトに交わされた。さらに最後は差し追い込み勢に次々と飲み込まれ6着。キャリア9戦目で初めて掲示板を外す屈辱の結果となった。
レイパパレを交わし、掲示板を確保した5頭を改めて見ると、4コーナー通過順はそろって7番手以下。1000m通過59秒0という淀みのない流れで、結果的に差し馬有利だったのは間違いないだろう。先行した人気馬がそろって直線失速したこともそれを物語っている。
そして、掲示板5頭のうち4頭が4歳馬だったことも見逃せない事実だ。3歳馬ステラリアが2着に入ったが、それ以外はいわゆるデアリングタクト世代の馬たちだった。
距離は違うが、春のヴィクトリアマイル(G1)を振り返ると、掲示板5頭のうち4頭が5歳馬。3着マジックキャッスルが唯一の4歳馬だった。あれから6か月、5歳馬の出走はランブリングアレーとロザムールの2頭と少なかったこともあるが、ようやく4歳牝馬たちが意地を見せた。
「三冠馬世代はレベルを疑え」
昔から競馬界に存在する格言の一つで、実際にコントレイルとデアリングタクトがいる現4歳世代は昨年以降、懐疑的な目で見られ続けてきた。
肝心の三冠馬2頭も快挙達成後は勝利なし。エリザベス女王杯前まで他の世代との混合G1を勝ったのはフェブラリーS(G1)のカフェファラオと大阪杯のレイパパレだけという状況が続いていた。
特に5歳世代の牝馬はクロノジェネシスやグランアレグリア、ラヴズオンリーユーがいて、史上最強との呼び声も高い。さらに4歳世代を苦境に追いやったのは現3歳馬の台頭だった。牡馬ではピクシーナイトがスプリンターズS(G1)、エフフォーリアが天皇賞・秋(G1)をそれぞれ完勝。牝馬でもソダシやヨカヨカなどが年長馬相手に重賞で結果を出してきた。
4歳世代“最弱説”はもはや周知の事実として語られるレベルだったといっても過言ではないだろう。
そして迎えたエリザベス女王杯。アカイトリノムスメを除けば、4歳勢が上位人気を占めていたが、掲示板を確保した4頭はいずれも人気薄。3歳春は裏街道を歩んでいた馬たちだった。昨春の桜花賞(G1)とオークス(G1)に出走していた馬は皆無で、3歳夏以降に力をつけ、4歳秋にようやく蒔いた種が実り始めたといえるのではないだろうか。
世代牝馬のエース、デアリングタクトは故障で長期休養中のいま、アカイイトにかかる期待は大きい。展開の助けもあったが、ステラリアにつけた着差は2馬身。2着から8着がハナ~クビ差だったことを鑑みれば、圧勝だったといっていいだろう。
どん底まで落ちきった4歳世代牝馬の評価は、アカイイトを中心に今後上昇カーブを描いていくことになるのだろうか。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。
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