
JRAエリザベス女王杯(G1)横山武史「感情露わ」でレース後下馬……「休ませて有馬記念挑戦プランもあった」ウインマリリン“強行軍”の裏側
14日に阪神競馬場で行われたエリザベス女王杯(G1)は、10番人気の伏兵アカイイトがG1初制覇。2着が7番人気ステラリア、3着が9番人気クラヴェルという大波乱の結果に終わった。
一方、今年のエリザベス女王杯は大阪杯(G1)を勝ったレイパパレ、秋華賞(G1)を制したアカイトリノムスメ、そしてオールカマー(G2)を勝って勢いに乗るウインマリリンが3強を形成した。
しかし、いずれも掲示板(5着以内)にさえ載れなかった驚きの結果に終わっている。
前に行った馬にとって苦しい流れの中、レイパパレとアカイトリノムスメは先行勢最先着となる6、7着と相応の実力は示した。深刻なのは3番手を追走しながら16着に大敗したウインマリリン(牝4歳、美浦・手塚貴久厩舎)だろう。
「若干、見た目は悪いですけど……」
11日、エリザベス女王杯に向けた共同会見の席だ。管理馬のウインマリリンについて淡々と答えていた手塚貴久調教師だったが、肘の状況について聞かれた際「今日の動きを見ている限りは、気にせずレースに迎えるんじゃないかな」と話した直後、記者の次の質問を遮って、あえてそう言葉を挟んだ。
ウインマリリンにとって、右肘の腫れは持病の1つだ。右肘が腫れること自体は大きな問題ではなかったが、前走のオールカマー快勝後にはいつになく大きく腫れてしまい、熱発も誘発した。そこから懸命に立て直したものの、一度狂った歯車が戻ることはなかった。
「正直、今回のウインマリリンの共同会見は異様なムードだったと言わざるを得ません。手塚調教師の応答も然ることながら、あからさまに元気がなかったのが、主戦の横山武史騎手でした。
いつもは明るくハキハキとしゃべってくれる横山武騎手ですが、今回ばかりは言葉を濁すというか、覇気がなかったですね。騎手ですから依頼があった以上、乗るしかない部分はあると思いますが『万全の状態で挑みたかった』というのが本音でしょう」(競馬記者)
実際に、共同会見でウインマリリンの1週前追い切りの状態を聞かれた際「きっぱりと言っちゃうんですけど、状態がかなり悪かった」と言葉を選ばなかった横山武騎手。
レースでは早々に追うのを諦め、ゴール下直後に下馬して相棒の様子を確かめたという。レース後には「今日乗ったのはマリリンじゃなかった」と吐き捨てた。
「実は陣営には『一旦休ませて有馬記念(G1)』という選択肢があったそうです。しかし、今年の有馬記念にはクロノジェネシスやエフフォーリアといった、現役最強クラスの馬が出走を予定しており、ウインマリリンの苦戦は必至……。何よりも、間隔を開けたからといって、肘の状態が回復する保証がなかったことも大きかったそうです。
また、もしウインマリリンが有馬記念に出走すれば、エフフォーリアの主戦となる横山武騎手とのコンビ解散も確実。そういった状況を踏まえて、エリザベス女王杯への“強行軍”が最善の選択として落ち着いたようです」(同)
「事前にコメントしていましたが、やっぱり状態が少し良くなかった。参考外です」
レース後、悔しさを隠さなかった横山武騎手。自身にとっては菊花賞(G1)、天皇賞・秋(G1)に続くG1・3連勝が懸かったレースだったが、そんなことがどうでもよくなるほど悔いの残る敗戦だったようだ。
陣営にとっても不本意な形となった今回のエリザベス女王杯。ウインマリリンにはじっくりと英気を養ってもらい「本物」を再び目にできる日を楽しみに待ちたい。
(文=銀シャリ松岡)
<著者プロフィール>
天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。
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