JRAマイルCS(G1)距離短縮グランアレグリアに「意外」な落とし穴!? 連覇狙う女王に昨年と違い過ぎる割引条件テンコ盛り?
21日、阪神競馬場では秋のマイル王決定戦・マイルCS(G1)が開催される。先週のエリザベス女王杯(G1)は3連単の払戻が約339万馬券という大波乱に終わったが、2週連続で荒れるのか、それとも今度は逆に堅い決着となるのか。
主役を務めるのはG1・5勝のマイル女王グランアレグリア(牝5、美浦・藤沢和雄厩舎)で間違いないだろう。管理する藤沢師は天皇賞・秋(G1)の結果次第でジャパンC(G1)参戦も視野に入っていたようだが、3着に敗れたことでプラン変更となったようだ。
当初は香港国際競走(G1)のマイルとカップに登録がされていたこともあり、当初はこちらが次走の選択肢と思われたが、マイルCS(G1)への出走を表明した。
グランアレグリアはマイルCSに昨年も出走。直線で進路が窮屈になる致命的な不利を受けるシーンもありながら、凄まじい切れ味でインディチャンプの連覇を阻んだ。今年は自身が連覇を目指してライバルを迎え撃つ格好だ。
ただ、今年のグランアレグリアが昨年ほど楽に勝てるかとなると不安もある。
昨年は出遅れが響いて取りこぼした始動戦の高松宮記念(G1)を2着(3位入線から繰り上がり)に敗れたとはいえ、次走の安田記念(G1)でアーモンドアイ相手に2馬身半の差をつけて圧倒。秋のスプリンターズS(G1)では直線だけで2馬身突き抜け、マイルCSでも強さを見せつけた。
ところが、秋の天皇賞を大目標に掲げられた今年に関しては、どうにも昨年のような信頼感に翳りが見え始めているようにも感じられる。レイパパレに大阪杯(G1)で4着に敗れ、牝馬相手のヴィクトリアマイル(G1)では格の違いを見せたものの、安田記念では伏兵ダノンキングリーに不覚を取った。
そして万全の状態で臨んだ天皇賞・秋で3歳馬エフフォーリアの軍門に下り、コントレイルにも大阪杯同様クビ差で先着を許している。お互い馬場に敗因を求めた重馬場ではなく、得意なはずだった良馬場の東京で同じ相手にまたしても先着されたのは、はたして距離だけが理由だろうか。
天皇賞・秋でのレース後にルメール騎手は「柔らかい馬場で、いつもと反応が違った」、藤沢師は「緩い馬場だった」と分析したものの、良馬場発表でも昼過ぎの雨の影響が残ったことに触れている。
しかし、相手関係的にグランアレグリアがキャリア最高のパフォーマンスを見せたのは、おそらくアーモンドアイを撃破した昨年の安田記念といっていいはず。ちなみにこのときは良馬場より悪い稍重での開催だった。これを加味すると、少し湿った程度の良なら問題ないといえないだろうか。
そこでまたひとつ気になるのは、阪神の芝コースの傷み具合である。10月の開幕から先週まで6週の間、芝のレースで使用され続けたAコース。マイルCSもまたこのAコースでの開催だ。その影響もあってか全体的に勝ち時計は遅くなり、上がりの掛かるレースも目立つようになっている。
「現在の阪神は芝の荒れている箇所も散見するように、軽くて速いスピード重視ではなく、力を要するパワー型の馬場に近い印象です。東京の馬場で緩さを敗因の一つに挙げる現状で持ち味でもある切れが生かせるかどうかは心配ですね。
昨年は1分32秒0で決着した昨年とは馬場が異なるだけに、32秒台の末脚を使うようなグランアレグリアにとっては割引材料ともなりかねません。プラスがあるとすれば、消耗線になりやすい内回りではなく、スローの上がり勝負の増える外回りということでしょう」(競馬記者)
また、連覇を狙うグランアレグリアがクリアしなければならない条件に、前走から間隔の詰まったローテーションも残されている。
春はヴィクトリアマイルから中2週で向かった安田記念で惜敗し、ルメール騎手は息遣いが本物ではなかったとコメント。これが喉鳴りだけの原因なら手術を行ったことにより、さほど心配はいらないかもしれないが、元来は直行でも苦にしないタイプ。
前走の疲れが抜け切っていなかったという可能性も考えられるだけに、同じく中2週で臨むマイルCSで全幅の信頼を置いていいのかとなると、僅かながらも疑問が生じる。
安田記念馬ダノンキングリーを毎日王冠(G2)で一蹴したシュネルマイスターは、古馬相手に快進撃を続ける3歳馬。さらには切れの鈍る阪神の想い馬場と中2週のローテーション、良馬場でも敗因に挙げざるを得なかった現状に頼みのルメール騎手は秋G1未勝利と調子が上がらない。
有終の美を飾りたい陣営にとって、割引材料はテンコ盛りといえそうだ。
(文=黒井零)
<著者プロフィール>
1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。
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