JRA【チャンピオンズC(G1)展望】純白の女王ソダシがダート界に殴り込みも苦戦必至!? “連覇”狙うチュウワウィザード、カフェファラオが巻き返しへ!
12月5日には、中京競馬場でダート最強馬決定戦、チャンピオンズカップ(G1)が開催される。今年はあの3歳牝馬の参戦で大いに盛り上がりそうだ。
話題を独占するのはもちろんソダシ(牝3歳、栗東・須貝尚介厩舎)だ。昨年末に阪神JF(G1)、今春には桜花賞(G1)を制し、デビューから芝で8戦6勝という成績を残している純白の女王である。
今夏には札幌記念(G2)でラヴズオンリーユーを撃破し、秋華賞(G1)で2冠目が確実視されたが、まさかの10着に大敗。単勝1.9倍の圧倒的1番人気に支持されるも、最後の直線で失速してしまった。
敗因の一つとされたのが発馬直前に顔をゲートにぶつけ、歯茎を負傷したことといわれている。レース後には出血も見られたが、中間はグラグラしていた下の前歯を抜歯しただけで済んだ。ただ繊細な牝馬だけに、その影響を引きずる可能性もゼロではないだろう。
前走後はすぐに立て直され、今月上旬に栗東に帰厩。程なく陣営はチャンピオンズC参戦を表明した。
血統的には初ダートでいきなり好走する可能性は高い。父クロフネは現役時代にジャパンCダート(G1・チャンピオンズCの前身)を7馬身差で快勝した怪物で、いわゆる白毛一族と呼ばれる母系もこれまでダートを主戦場とする活躍馬を多く輩出してきた。
ただし、ソダシは札幌2歳S(G3)と桜花賞でレコード勝ちを収めるなど、芝の速い時計勝負でも結果を残してきた。ダート寄りの血統ながら芝でこれだけ好走したなら、適性の高いとされるダートならとんでもない怪物という可能性もある。
ファンの多い馬だけに、本番でも1番人気に推される可能性は高いだろう。これまで初ダートのG1で1番人気に支持された馬は2頭いる。どちらもフェブラリーS(G1)で、2000年キングヘイローと13年カレンブラックヒルだ。押し出される形で人気を背負ったが、ともに2桁着順に惨敗している。
対象を3番人気までに広げてみても、10年フェブラリーSに挑戦したレッドスパーダがいるが、12着とやはり人気を大きく裏切っていた。ソダシには嫌なデータといえるだろう。
ただし、調教では抜群の動きを見せている。2週前には、栗東では初めてダートコースで追い切られ、僚馬アディラート(オープン)に楽な手応えで先着。前走大敗のダメージは微塵も感じさせなかった。
24日には、栗東坂路で1週前追い切りをかけられ、併せたサトノアイ(3勝クラス)を4馬身追走。最後は1馬身突き放す迫力十分の内容だった。管理する須貝師は『日刊スポーツ』の取材に「あくまで挑戦者として見守って欲しい」と謙遜したが、父のジャパンCダート制覇からちょうど20年。父に続く芝ダートG1制覇は現実味を帯びている。
そんなソダシの前に立ちはだかるのは歴戦のダートG1馬たちだ。
その筆頭候補が連覇を狙うチュウワウィザード(牡6歳、栗東・大久保龍志厩舎)だろう。昨年は4番人気ながら、2着ゴールドドリームに2馬身半の差をつける完勝劇を収め、交流競走を含めてG1通算3勝目を挙げた。
この春には海外遠征を敢行し、サウジCは9着に敗れたが、ドバイWC(G1)で2着に大健闘した。帰国後は6月の帝王賞(G1)で復帰したが、6着に敗れると、秋初戦のJBCクラシック(G1)は惜しくも3着。勝利がないまま1年が経過しようとしている。
今回は休み明けを叩いての2戦目で、気配は上昇ムード。1週前追い切りには美浦から駆けつけた戸崎圭太騎手が騎乗し、「走りに弾み軽さが出ている。気合もほど良く乗っている」と『日刊スポーツ』の取材に答えている。
阪神で開催されていたジャパンCダート時代の2010-11年にトランセンドが果たして以来、レース史上2頭目の連覇達成はなるか。
チュウワウィザードが連覇なら、カフェファラオ(牡4歳、美浦・堀宣行厩舎)は、今年の中央ダートG1春秋連覇を狙う。
同馬は昨年のこのレースにも出走し、唯一の3歳馬として2番人気という高い支持を集めた。道中は中団に控えて脚を溜めたが、直線伸びきれず6着に敗れた。その後はフェブラリーSに直行し、横綱競馬で見事戴冠を果たした。
この勝利でカフェファラオがダート界牽引していくものとみられたが、5月のかしわ記念(G1)で5着に敗退。脆さを露呈すると、夏の函館記念(G3)で芝に挑んだが、9着に敗れ、再びダートに矛先を向けてきた。
4か月半ぶりのぶっつけ本番となるが、調整に抜かりはない。レース約2か月前の10月に早めに美浦に帰厩し、坂路・コース併用で十分な負荷をかけられてきた。
1週前追い切りにはC.ルメール騎手も騎乗。「まだちょっと太い」と本音を漏らしたが、「本当のカフェファラオなら勝てます」と『スポニチ』の取材に力強く答えている。G1馬だけに、最終追い切りでしっかり帳尻を合わせてくるはずだ。
この馬にとって何より重要なのは道中砂を被らず気分良く走れるかどうかに尽きる。外目の枠を引き当て好位で競馬を進めたいところだ。
今年の帝王賞覇者テーオーケインズ(牡4歳、栗東・高柳大輔厩舎)は、今年に入って一気に力をつけた成長株だ。
今年初戦は今回と同じ舞台、中京1800mの名古屋城S(OP)だった。これを完勝すると、続くアンタレスS(G3)で重賞初V。さらに自身2度目のG1挑戦となった帝王賞では並み居る強豪馬を相手に3馬身差で快勝した。
夏を休養に充て、秋はJBCクラシック(G1)で始動。堂々1番人気に支持されたが、後方からのスタートになると、終始手応えが悪く4着に敗れた。
手綱を取った松山弘平騎手は「スタートを上手く出れなくて、そこからちょっとリズムが悪かった」と敗因を語ったが、「小回りよりは大きいコースの方が得意な馬かなと思います」と金沢から直線の長い中京での巻き返しに自信をのぞかせた。
芝のマイル重賞を通算3勝しているエアスピネル(牡8歳、栗東・笹田和秀厩舎)もまだまだ見限れない存在だ。
昨夏にダート転向後は好走と凡走を交互に繰り返している。前走・武蔵野S(G3)は、パターン通り2着に好走しているが、今回はどうか。
カジノフォンテン(牡5歳、船橋・山下貴之厩舎)は、今年1月の川崎記念(G1)、5月のかしわ記念(G1)を中央馬相手に勝った地方の雄。新たなパートナー、M.デムーロ騎手とのコンビで中央初挑戦を果たす。
他には7歳馬の2頭も虎視眈々。武豊騎手を背に3年連続の参戦となるインティ(牡7歳、栗東・野中賢二厩舎)は、3着に食い込んだ過去2年の再現を狙う。その武騎手を背に前走・みやこS(G3)は1番人気を裏切り6着に敗れたのはクリンチャー(牡7歳、栗東・宮本博厩舎)だ。今回は、コンビ通算3戦3勝と好相性の川田将雅騎手に乗り替わって、悲願のG1制覇を狙う。
サンライズホープ(牡4歳、栗東・羽月友彦厩舎)は、前走・シリウスS(G3)で重賞初制覇を飾り勢いに乗る。中京コースは3戦して2勝、2着1回と得意としており、エリザベス女王杯(G1)で穴をあけた幸英明騎手を背にチャンスをうかがう。
果たして今年の砂の王者に輝くのは3歳牝馬のソダシか、連覇を狙うチュウワウィザードか、それともカフェファラオ、テーオーケインズの4歳勢か。注目のチャンピオンズCは12月5日の15時30分に発走予定だ。
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