【香港ヴァーズ(G1)展望】父ステイゴールドの感動20年ぶり再現なるか。“善戦マン” ステイフーリッシュがたどり着いた「黄金旅程」の果て
12日には香港のシャティン競馬場で4つのG1からなる「香港国際競走」が開催される。最初に行われるのは2400mの距離で争われる『香港ヴァーズ』。日本からはグローリーヴェイズとステイフーリッシュの2頭が出走を予定している。
先月のジャパンC(G1)に出走したアイルランドのブルームが故障で回避したため、今年は8頭立てという少頭数となった。
2年前の覇者グローリーヴェイズ(牡6歳、美浦・尾関知人厩舎)は、2年ぶりのG1制覇に向けて満を持して登場する。鞍上には2年前と同じJ.モレイラ騎手が配された。
香港ジョッキークラブが発表するレーティングでは出走8頭中2位となる「120」を獲得。昨秋の京都大賞典(G2)を制して以降は勝ち鞍こそないが、4戦して掲示板を外すことなく堅実に走っている。
今年は金鯱賞(G2)で4着した後、今回と同じシャティン競馬場が舞台のQE2世C(G1)に挑戦。日本馬が上位を独占するなか、勝ったラヴズオンリーユーに3/4馬身差の2着に入り、デアリングタクトとキセキには先着した。
この秋はオールカマー(G2)で始動。スタートで立ち遅れ、後方からの競馬となったが、向正面で一気に捲って見せ場を作ると、3着に粘り込んだ。
その後はジャパンCとの両睨みだったが、陣営は実績がある香港への遠征を選択。12年レッドカドー以来となる6歳馬による勝利を手繰り寄せることはできるか。
グローリーヴェイズを上回る「121」というレーティングを誇るのはパイルドライヴァー(牡4歳・イギリス)だ。
デビュー以来、1390m~2410mという幅広い距離で勝ち鞍があるが、最も安定しているのが2400m前後。今年初戦こそ2着に敗れたが、その後はG1とリステッド競走を2連勝中。
今年は春2戦、秋1戦の計3戦しかしておらず、力を出し切れるフレッシュな状態にあるのは好材料だ。イギリス調教馬として、12年のレッドカドー以来となる当レース制覇を狙う。
レーティングだけを見ればグローリーヴェイズとパイルドライヴァーの2強という様相だが、2頭目の日本馬ステイフーリッシュ(牡6歳、栗東・矢作芳人厩舎)にもチャンスがある。
出走を予定している8頭中レーティングは4位タイの「112」。3年半前の京都新聞杯(G2)を最後に勝利から遠ざかっているが、G2レースを中心に好走を続けている。
今年2戦目の京都記念(G2)では、香港カップでG1・4勝目を狙う僚馬ラヴズオンリーユーの2着。休み明けの札幌記念(G2)では心房細動で競走中止というアクシデントはあったが、すぐに立て直され、すでにこの秋3戦を消化している。
そのタフネスぶりは父を彷彿とさせる。父のステイゴールドは種牡馬として数多くのG1馬を送り出したが、現役時代はなかなかG1制覇には届かず、稀代のシルバーコレクターとして名を馳せた。唯一のG1制覇が引退レースとなった01年の香港ヴァーズだった。
あれから20年。その息子ステイフーリッシュは父の記憶を呼び起こすことはできるか。そして、今年の米ブリーダーズCで2勝した世界の矢作厩舎が再びその名を轟かせることはできるか。鞍上は地元・香港のC.ホー騎手が務める。
日本馬が不在だった昨年の当レースの覇者モーグル(牡4歳、アイルランド)も怖い存在だ。4歳となった今年は4戦して「0-0-1-3」と調子を落としているが、1年ぶりの香港で、07-08年ドクターディーノ以来の連覇を狙う。
他には、紅一点で、2走前のサンクルー大賞(G1)ではブルームと1馬身差の2着に健闘したエベイラ(牝4歳、フランス)、昨年の当レース3着馬コロンバスカウンティ(セ6歳、香港)などが上位をうかがう。
やや寂しい頭数となった今年の香港ヴァーズ。グローリーヴェイズが2年ぶり制覇を遂げるか、それともステイフーリッシュの親子制覇はあるか。発走は12日15時(日本時間)を予定している。
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