JRA 川田将雅「どんな状況でも行きます」ラウズオンリーユー愛に偽りなし、関係者公認カップルの逃避行を後押しした決め手

阪神競馬場で阪神JF(G1)が行われる12日、シャティン競馬場では香港国際競走が開催される。今年も多くの日本馬が、4つのG1競走へ出走する見込みだ。
なかでも注目は、芝2000mで争われる香港カップ(G1)がラストランとなるラヴズオンリーユー(牝5歳、栗東・矢作芳人厩舎)だろう。
今年の京都記念(G2)で19年オークス(G1)以来の勝利を掴むと、ドバイシーマクラシック(G1)3着を挟んで挑んだクイーンエリザベス2世C(G1)で約2年ぶりのG1勝利。そして、前走のブリーダーズCフィリー&メアターフ(G1)を快勝して、日本競馬史上初のブリーダーズC優勝を成し遂げた。
引退レースながら今が1番のピークを感じさせる5歳牝馬に騎乗するのは、前走も騎乗した川田将雅騎手だ。前走勝利に導いた相思相愛のコンビは、妥当な選出と思われるが、今回ばかりは鞍上選びにちょっとしたトラブルがあったそうだ。
原因となったのは、新型コロナウイルスの変異株のオミクロン株である。日本政府は世界中で発生確認されているこの新種のウイルスの蔓延を防止するため、水際対策を強化。これにより、ようやく緩和されつつあった帰国者の隔離期間が、再び14日間へ延長されることになった。
オミクロン株が発生していなければ、香港からの帰国者は3日間で隔離期間が終了するため、年末の有馬記念(G1)や翌週の朝日杯FS(G1)も騎乗可能なはずだった。しかし隔離期間の延長に伴い、香港へ渡航することはイコール朝日杯FS・有馬記念に騎乗ができないということにもなる。
川田騎手は現在JRAリーディング2位のトップジョッキーで、朝日杯FSへ出走するダノンスコーピオンをはじめ多くの馬へ騎乗する予定だった。川田騎手は日本へ残って多数の馬へ騎乗するか、ほとんどの予定をキャンセルしてラウズオンリーユーを選ぶ二択が迫られた。そして、川田騎手は後者を選択した。

その理由について川田騎手は馬主の『DMMドリームクラブ』を通じて「どんな状況であってもラウズオンリーユーに乗れるなら香港に行くという気持ちに迷いはありません。ラウズは僕の夢を叶えてくれた馬です。乗れるならどんな状況でも行きます」と、パートナーへの熱い想いを発表した。また、ダノンスコーピオンなどの騎乗をキャンセルする件については「ご迷惑をかける方全てに直接経緯を説明して納得してもらいました。全ての方に良かったと言ってもらえるように全力で勝ちにいきます」と、関係者から理解を得られたことも発表した。
川田騎手はラウズオンリーユーの今年5戦のうち3戦騎乗している。騎乗できなかった2戦は、ともに新型コロナが猛威をふるっていた春先の海外でのレースだ。トップジョッキーで騎乗依頼の多い川田騎手にとって、その2戦はどうしても騎乗を断念せざるを得なかった。
そんな中、今回川田騎手が断りを入れた関係者が香港行きを認めたのは、ラウズオンリーユーがブリーダーズCを制する快挙を成し遂げたからではないだろうか。ファンのみならず関係者までもがブリーダーズC勝利に沸き立ったからこそ、「最後も川田騎手で」という気持ちになったと思われる。
果たして、川田騎手は異国の地で再び満面の笑みを浮かべてハートマークを作ることができるだろうか。お熱いカップルのラストバカンスが無事に終わることを願いたい。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……
PICK UP
Ranking
23:30更新
JRA有馬記念(G1)「伝説の逃走劇」はキタサンブラックでも、ダイワスカーレットでもなく、あの馬!? 前走4馬身圧勝から狙うレジェンドの再現
JRA 武豊は信頼度抜群!? 一球入魂ならぬ「一鞍入魂」の信頼度は本当か。川田将雅、横山典弘などトップジョッキーにみる「1日1鞍」限定の“勝負駆け”を探る!
アドマイヤ軍団が「G1・45連敗」武豊と絶縁し「40億円」と引換えに日本競馬界フィクサーの”逆鱗”に触れた凋落の真相?- 巷に出回る川田将雅「長距離苦手説」をデータで検証、阪神大賞典(G2)で気になる「13年未勝利」の課題…リーディングジョッキーの意外な過去
- 【有馬記念】「使い分け」に一石投じた戸崎圭太が意地!ルメールキラーが3勝目で今年の屈辱もスッキリ?
- JRA 武豊「因縁」オーナーと5億円の復縁!? ワールドプレミア降板劇から突然の大物騎乗依頼、両者に交錯する「思惑」とは
- 「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
- 今の競馬ファンは「ハズレ馬券」を投げ捨てない? 競馬場から姿を消した「敗者の断末魔」と感情のままに宙を舞い続けた「ハズレ馬券」の現在
- 東京競馬場に約20万人が殺到!? 朝6時からの大行列、怒号飛び交う陣取り合戦、そして…競馬が最も熱い時代、歴代最多入場者を記録した当時の記憶
- 武豊騎手「パドック意味なし」発言に仰天……馬券購入セオリー「完全否定」のトップ騎手たちが語るパドック必勝法とは
関連記事

JRA桜花賞グランアレグリア、優駿牝馬ラヴズオンリーユー、秋華賞クロノジェネシス「合計G1・13勝」伝説になった2019年牝馬三冠の激闘! 一方、同世代「牡馬」は……

元JRA安藤勝己氏も苦言した「いばらの道」!? レイパパレはC.スミヨンと新コンビで香港C(G1)参戦も、距離不安は拭えず…

JRAマイルCS(G1)グランアレグリア「ルメール酷評」中2週をなぜ繰り返すのか。集大成の完敗と「15連勝」香港マイル界の絶対王者の存在

JRA「当分見納め」濃厚R.ムーア帰国の本音と建前、O.マーフィーも例の疑惑で数年無理?見えない大敵がネックとなる再来日

JRA 第二のサトノダイヤモンドの可能性秘める素質馬が「出世レース」に挑戦!打ち破る「G1・21勝」名伯楽にまつわるジンクス
















