JRA「横山典弘×安田翔伍」コンビが買えるワケ、中日新聞杯(G3)キングオブコージの覚醒に欠かせなかった関東の大ベテランの助言
11日に中京競馬場で行われる中日新聞杯(G3)は、G3ながら8頭の重賞ウィナーが顔を揃える異例の豪華メンバーが集まった。
その重賞勝ち馬の中の一頭、キングオブコージ(牡5、栗東・安田翔伍厩舎)は怪我による長期休養明けの前走オールカマー(G2)で9着とまさかの大敗。叩き2走目での巻き返しを狙う。
キングオブコージを管理する安田翔厩舎と、横山典弘騎手はプライベートでも懇意にしていることで知られるが、レースでタッグを組んだ時の相性は抜群だ。
過去5年間で横山典騎手が同厩舎の管理馬に騎乗したのはのべ32回。その半数にあたる16回で馬券圏内に入っており、その複勝率は驚異の50%。二桁以上の騎乗回数がある厩舎の中では断トツの好相性を誇っている。また勝率も18.8%と、厩舎自体の勝率9.5%と比べると、約2倍と非常に優秀な成績であることが分かる。
また、厩舎の管理馬の中でも、期待の高い馬や勝負をかけるレースでは横山典騎手が起用されることも多く、ワンダーリーデルやクラヴェルなどの実力馬も横山典騎手が主戦を任されている。
普段横山典騎手はあまりメディアへの露出を好まないことで知られている。しかし、先月のクラヴェルでのエリザベス女王杯(G1)や、昨年のキングオブコージが勝利した目黒記念(G2)のレース後には饒舌にインタビューに応じており、その際には厩舎の仕事ぶりを絶賛するコメントを出すなど陣営との深い信頼関係が垣間見えた。
今回、中日新聞杯に出走するキングオブコージもまた、両者の信頼関係によって、本来のポテンシャルが引き出された一頭といってもいいだろう。
デビュー5戦目で未勝利を勝ち上がったが、1勝クラスで足踏みする状況が続いたキングオブコージ。それまでは主に岩田康騎手など5人の騎手が騎乗していたが、能力を引き出せないまま精彩を欠いていた。
だが、4歳になった2020年1月のレースから横山典騎手に乗り替わるとまるで別馬のような快進撃を見せる。このコンビで破竹の4連勝を決め、一気に目黒記念を制したのだ。
この背景には横山典騎手の距離適性に関する助言が大きいと安田翔師が話しており、同馬の元来の適性と素質の高さを見抜いたコンビによるファインプレーかもしれない。
その後、G1を見据えた休み明けの京都大賞典(G2)で3着に敗れた後、まさかの故障が発覚したことは誤算だったが、G1級の素材であるという認識は変わらないと語っている。
その中で迎えた前走のオールカマーは思わぬ大敗も、「休み明けで出来は4割ほどだった」と本調子には程遠い状態であったことを明かしており、一度使われた今回での一変にも期待できそうだ。
また、鞍上の横山典騎手は、26年続けてきた連続重賞勝利記録の更新に黄色信号が灯っている。今年未勝利の重賞を勝利して、滑り込みの記録更新といきたいところである。
(文=椎名佳祐)
<著者プロフィール>
ディープインパクトの菊花賞を現地観戦し競馬にのめり込む。馬券はアドマイヤジャパン単勝勝負で直線は卒倒した。平日は地方、週末は中央競馬と競馬漬けの日々を送る。
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