JRA 香港ヴァーズ(G1)武豊「絵に描いたような大団円」感動のラストランから“20年”!ステイゴールドそっくりの息子が父へ捧げる「3勝目」

12日、シャティン競馬場で行われる香港ヴァーズ(G1に、日本からはグローリーヴェイズとステイフーリッシュ(牡6歳、栗東・矢作芳人厩舎)の2頭が参戦する予定だ。
注目度の高さはやはり2年前にG1初制覇を飾った思い出のレースでもあるグローリーヴェイズだろうか。2年越しの連覇を期待しているファンも多かったようで、『netkeiba.com』の単勝予想オッズでは1.4倍と圧倒的な支持を集めている。
一方、話題性では、ステイフーリッシュも負けていない。同馬はステイゴールドの産駒であり、父が生涯最後にして最高のパフォーマンスを見せた香港ヴァーズへ出走するのだ。
オルフェーヴルやゴールドシップなど数々の大レースを制した馬を種牡馬として送り出したステイゴールドだが、自身の現役時代は、G1を勝てないどころか、むしろ重賞で惜敗続きの善戦マンとして有名な馬だった。
重賞タイトル獲得までの道のりは長く、初挑戦だった1997年の京都新聞杯(G2)から、念願の初勝利となった2000年の目黒記念(G2)までなんと25連敗を喫した。その間に2着が7回でうち4回がG1レースと、決して弱い馬ではなかったにもかかわらず、あと一歩でレースを勝てないことが転じて「稀代のシルバーコレクター」の愛称で親しまれた。
そんなシルバーコレクターが馬名の通りゴールドに光り輝いたのが、ラストランとなったこの香港ヴァーズだ。
節目となるキャリア50戦目で、初めてG1の1番人気に支持されたステイゴールドは武豊騎手とのコンビで出走。まずまずのスタートから後方待機策を取ると、淡々とした流れで進むなか、3コーナーで早めに仕掛けたL.デットーリ騎手のエクラールが、1頭だけ抜け出る展開で最後の直線を迎える。
これに負けじと外から一気に加速したステイゴールドは、単独の2番手へ追い上げる。
しかし、先頭のエクラールとの差はなかなか詰まらないどころか右にヨレてしまうロスがあった。そんなピンチでも武豊騎手は冷静に対処し、再び追撃態勢に戻る。その結果、ゴールまで残り僅かながら、エクラールとの差を詰めていき、なんとかアタマ差で交わしたところがゴールだった。
「まるで背中に羽が生えたようだった」
ディープインパクトについて「飛ぶように走る」と後に語った武豊騎手だが、実はステイゴールドのラストランでもすでにそう評していたことは、意外に知られていないかもしれない。
この勝利は自身初のG1勝ちになるとともに、日本産馬・日本デビュー馬として初の海外G1制覇となった。記憶にも記録にも残るメモリアル勝利について武豊騎手は「まさに絵に描いたような大団円」と、パートナーへ最高級の賛辞を送った。
感動のラストランから17年。18年にステイゴールド産駒として初めてクロコスミアが香港ヴァーズへ出走(10着)した。そして、その3年後の今年、ステイゴールドと同じ社台レースホースの勝負服でその産駒のステイフーリッシュが父と同じレースへと挑む。
近4走は心房細動による競走中止のアクシデントなどに見舞われて、馬券圏内へ好走できていないが、国内最終追い切りでは栗東坂路で50秒7の好タイムをマーク。レースを使われながら徐々に状態を上げている。
同馬の大きな特徴と言えば、父とそっくりな成績である点だろう。18年の京都新聞杯(G2)勝利を最後に勝ち星には恵まれず、その後も善戦まではいけても3勝目は遠く、現在28戦2勝ともどかしい成績だ。
だが、その京都新聞杯では、今回ライバルとなるグローリーヴェイズに完勝していることは見逃せない。すでにG1馬となったライバルに実績では劣っていることは否めないが、まだ逆転するチャンスはあるだろう。
果たして香港ヴァーズで20年ぶりに社台の勝負服が先頭で、ゴールを駆けるシーンが生まれるだろうか。ステイフーリッシュが3年7ヶ月ぶりに勝利の美酒に酔う姿を見られることに期待したい。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……
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