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JRA「代打職人」池添謙一にかかるじゃじゃ馬ならしの期待! 「ノーコントロール」武豊でも暴走したアルナシームと代打ホームランを決められるか

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 19日、阪神競馬場では朝日杯FS(G1)が行われる。

 15日現在、『netkeiba.com』の単勝予想オッズでは、セリフォスとジオグリフが2倍前後でやや抜けた人気を集めている。これに続くのがダノンスコーピオンで6倍台だ。この3頭が1桁台のオッズなので、どうやら2強もしくは3強という構図になりそうだ。

 3頭に共通するのがここまで負け知らずという戦績。まだ底を見せていないという未知の魅力はあるが、そこはまだキャリアの浅い2歳馬。これまで露呈していなかった課題が表面化し、能力を発揮できない可能性もあるだろう。

 一方、素質がありながら課題が露呈し、敗戦から巻き返しを図る馬もいる。今年の出走馬の中で取り上げたいのがアルナシーム(牡2歳、栗東・橋口慎介厩舎)だ。

 父は国内外でG1を6勝したモーリス。母ジュベルアリは未出走のまま繁殖入りしたが、その全弟にはアルアインとシャフリヤールという2頭のクラシック勝ち馬がいる。そんな血統背景だけにデビュー前から注目度は高かった。

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武豊騎手

 7月函館の2歳新馬戦では単勝2.7倍の2番人気に推され、堂々の2馬身差勝利を収め、才能の一端を垣間見せた。このとき手綱を取った武豊騎手はレース後、「道中はリラックスしていましたし、3コーナーでゴーサインを出したらスムーズでした。素質がありますね」と同馬を高く評価していた。

 ところが、2戦目でその評価は早くも揺らいでしまう。

 出世レースの一つ、東京スポーツ杯2歳S(G2)で3番人気に支持されたアルナシーム。再び武騎手が騎乗し、スタートで遅れたところまでは想定内だった。武騎手も無理をさせず、手綱を引いて後方待機策を選択しようとした矢先……。

「向正面で馬がエキサイトしてしまい、制御不能に近い状態になってしまいました。3コーナーの入り口で早くも逃げ馬に並びかけると、ぐんぐん加速。先頭に立って4コーナーを回りました。残り1ハロン地点まではなんとか粘っていましたが、最後は完全に脚が上がってしまい、1秒1差の6着に敗れました」(競馬誌ライター)

 この“暴走劇”には武騎手も「ノーコントロールでした。返し馬では何とか我慢していましたが……。勿体ないです。気性が問題ですね」とお手上げのコメントを残すしかなかった。

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池添謙一騎手 撮影:Ruriko.I

 デビュー2戦目で気性難という課題に直面したアルナシーム。中間は坂路中心だった追い切りをコース中心に変えたり、馬具を工夫したりと、陣営は試行錯誤。そして秘密兵器として投入されたのが「鞍上・池添謙一」である。

 当初は武騎手から福永祐一騎手に乗り替わる予定だったが、レースは香港遠征後の待機期間が延長された影響で、オルフェーヴルやスイープトウショウなど数々の癖馬を乗りこなしてきた池添騎手に白羽の矢が立った。

 じゃじゃ馬ならし、そして代打にも定評がある池添騎手は、この秋も武騎手の後を受けてスプリンターズS(G1)でメイケイエールにも騎乗。武騎手や横山典弘騎手ですら制御できなかった “おてんば娘”を大健闘の4着に導いた。

 いまや“癖馬矯正”の役回りが増えつつある池添騎手だが、コンビ結成が決まってからは、追い切り時以外でもアルナシームとコンタクトをとっており、ファンの期待も高まっている。

 ただし同馬は1勝馬だけに抽選漏れだけが心配だった。今年の朝日杯FSは19頭の登録があり、1勝馬のアルナシームは7分の6の抽選対象となっていたが、阪神JF(G1)に出走したアネゴハダは回避が濃厚なため、アルナシームの出走はまず間違いないだろう。

 これに安堵したのは他ならぬ池添騎手だろう。先週の阪神JFには、スプリットザシーに騎乗予定も抽選除外の憂き目に遭い、Twitterに「今年も除外… 去年も1頭除外… なんだよ…」とつぶやいていた(昨年は6分の5の抽選で騎乗予定だったルースが唯一の除外)。

 “苦手”の抽選を回避し、“得意”の代打で癖馬矯正の大仕事をやってのけるか。その手綱さばきに注目が集まる。

(文=中川大河)

<著者プロフィール>
 競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

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