JRA朝日杯FS(G1)ダノンスコーピオン川田将雅の「乗り替わり」は痛恨!? リーディング3位の代打騎手が犯した先週の大失態
19日、阪神競馬場では、先週の阪神JFに続いて、2歳馬のG1である朝日杯FSが行われる。
『netkeiba.com』の単勝予想オッズによると、1番人気セリフォス、2番人気ジオグリフの2頭が人気を分け合い、少し離された3番人気にダノンスコーピオンとなっている。二桁オッズで4番人気のドゥデュースは、さらに離されており、下馬評では人気上位3頭の三強対決が濃厚だ。
「三強ムード」が漂う今年の朝日杯FSだが、セリフォスとダノンスコーピオンは今回テン乗りの騎手が騎乗する。セリフォスは藤岡佑介騎手からC.デムーロ騎手へ、ダノンスコーピオンは川田将雅騎手から松山弘平騎手へとそれぞれ乗り替わる。
セリフォスの乗り替わりは、デムーロ騎手が12月に短期免許を取得して偶然朝日杯に騎乗馬がいなかったことが関係している。元々は、朝日杯FSも藤岡佑騎手が同馬へ騎乗予定だったが、馬主サイドの要望で、国内外問わず実績豊富なデムーロ騎手へ変更された。
対するダノンスコーピオン(牡2歳、栗東・安田隆行厩舎)は、セリフォスとは異なり、やむを得ない事情で乗り替わりとなった。同馬のデビュー2戦で騎乗した主戦の川田将雅騎手は、12日に香港のシャンティイ競馬場で行われた香港国際競走へ参加。その関係で新型コロナウイルス感染拡大防止による隔離対象となったため、隔離期間内に行われる朝日杯FSへの騎乗は叶わなくなった。
そこで川田騎手の代打として、陣営から白羽の矢が立ったのが、5日のチャンピオンズC(G1)をテーオーケインズで優勝した松山騎手である。
同騎手は現在JRAの全国騎手リーディング3位のトップジョッキー。2位の川田騎手が不在でも3位の騎手が空いていたのは陣営にとって「不幸中の幸い」だろう。そういった意味では、主戦が不在でも大きな戦力ダウンとはならないかもしれない。
ただ、松山騎手への乗り替わりを好意的に見ていないファンも一定数いるのも事実だ。一部のファンが松山騎手の代打へ歓迎していないのは、先日の阪神JFにおけるベルクレスタでの騎乗が原因の一つとなってしまったようだ。
ベルクレスタはアルテミスS(G3)で2着に好走した点や、デビュー戦でセリフォスと互角のレースをしたことなどが評価され、単勝8.3倍の5番人気の支持を得ていた。
しかし、8枠16番からスタートしたベルクレスタは、道中では終始折り合いを欠いて掛かるシーンが見られた。松山騎手も必死に宥めたが、折り合いがつかないまま、3・4コーナー中間で一気に進出したものの、その影響もあってか直線半ばで脚が止まって6着に敗れた。
レースを終えた松山騎手は「上手く前に壁を作ることが出来ず、苦しいレースになりました。溜める競馬が出来ていたらもっとやれただけに申し訳ない気持ちです」と、悔しさを露わに。気性に難しさを見せたベルクレスタとはいえ、一方では、松山騎手はデビューから4戦の手綱を任されてきただけに、「なぜ制御出来ないのか」「手が合っていないのか」、中には「他の騎手でも見てみたい」と乗り替わりを望む声も一部で出ていたという。
川田騎手が騎乗した好位抜け出しのレースぶりから、ダノンスコーピオンについて気性面での不安は少ないが、何が起こるか分からないのが2歳戦だ。キャリア2戦の中身は、デビュー戦が7頭立て、2戦目の萩S(L)が6頭立てと、いずれも少頭数でのレース。今回、フルゲートに近い初めての多頭数のレースでエキサイトする可能性も十分有り得るだろう。
果たして松山騎手は、ダノンスコーピオンで今度こそファンを納得させられる好騎乗を見せられるだろうか。リーディング3位の腕に期待したい。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……
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