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JRA有馬記念(G1)マーベラスサンデーVSエアグルーヴの叩き合いを漢・藤田伸二が豪脚一閃した24年前、クロノジェネシス「最大の強敵」はエフフォーリアにあらず?

JRA有馬記念(G1)マーベラスサンデーVSエアグルーヴの叩き合いを漢・藤田伸二が豪脚一閃した24年前、クロノジェネシス「最大の強敵」はエフフォーリアにあらず?の画像1

 皆さんは、シルクジャスティスという馬を覚えているだろうか。

 そう、1997年の有馬記念(G1)を藤田伸二騎手とのコンビで勝利したあの馬だ。直線で豪脚を披露した初G1勝利は、同馬にとって生涯唯一のG1勝利にもなった。このレースもまた、有馬記念史において今もなお語り継がれる名勝負のひとつといえるだろう。

 当時1番人気に支持されたのは、同年の宝塚記念(G1)を制したマーベラスサンデーで、コンビを組んだのは天才武豊騎手。2番人気に支持されたエアグルーヴもまた、同年の天皇賞・秋(G1)でバブルガムフェローと壮絶な追い比べを制した名牝。こちらも武豊騎手のお手馬だが、主戦がライバルを選択した関係でO.ペリエ騎手が騎乗した。3番人気には、同年のオークス(G1)と秋華賞(G1)の牝馬二冠を達成したメジロドーベルが続き、3頭による三強対決と見られていた。

 対するシルクジャスティスは、先述した3頭から少し離された4番人気。クラシックでは日本ダービー(G1)で2着、菊花賞(G1)で5着と惜敗続きだった。G1未勝利ながら、G1馬ダンスパートナーやタイキブリザードを上回る人気を得たのは、ファンから潜在能力の高さを認められていたからだろう。

 そして、「この馬が1番強い」と信じて疑わなかったのが、シルクジャスティスの主戦・藤田伸騎手だ。

 この日の藤田伸騎手の気合いの入りようは、これまでと何かが違った。

 相手をマーベラスサンデーに決め打ちすると徹底的にマーク。激しい先行争いには目もくれず、爪を研ぎ続けた。4コーナーで人気馬が捲り気味に上がっていくと、それを追うようにシルクジャスティスも押し上げる。

 最後の直線ではマーベラスサンデーとエアグルーヴが抜け出し、2頭の壮絶な叩き合いが繰り広げられる中、その外から豪快に差し切ったのだ。一見、展開的には漁夫の利を得た出し抜きに思えるが、この勝利は藤田伸騎手の腹を決めた作戦がもたらした大金星だったに違いない。

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ステラヴェローチェ 撮影:Ruriko.I

 あれから24年。クラシックで善戦しつつも無冠だったシルクジャスティスと似たような歩みを進む1頭が有馬記念に参戦してくる。その馬の名はステラヴェローチェ(牡3、栗東・須貝尚介厩舎)だ。クラシックで手綱を任された吉田隼人騎手に代わり、M.デムーロ騎手との新コンビで臨むことが発表された。

 2歳時には、朝日杯FS(G1)で2着に入るなど、早くから素質を開花させた実力馬も、今年のクラシックでは皐月賞3着、日本ダービー3着、菊花賞4着とG1タイトルにはあと一歩届かずに終わった。

 何としてもこの馬にG1を取らせたいのは、管理する須貝師だ。2018年セレクトセールでステラヴェローチェに一目惚れ。菊花賞前の『サンケイスポーツ』の取材に、「オーナー(大野剛嗣氏)のためにもG1をとらせてあげたい」と、答えていたように、この馬に懸ける特別な想いがある。

 本番の菊花賞では、勝ち馬タイトルホルダーに絶妙なペースで逃げ切りを許した。ステラヴェローチェ自身は、メンバー中最速の上り34秒7を繰り出すも4着。逃げた馬が5馬身差で圧勝する展開では、後方から競馬する末脚自慢にとっては苦しかった。

 しかし、今回は近2戦で驚異のハイラップを刻んで逃げ切り勝ちを決めているパンサラッサが参戦を予定していることは好材料。当然ここでもハナを主張することが予想され、ペースは緩みそうにはない。激流となれば、後ろの馬には追い風となるはずだ。

 18年の有馬記念でも、同じくクラシックで無冠に終わっていた3歳馬のブラストワンピースが、C.ルメール騎手が騎乗していた古馬最強格レイデオロを破り、初G1勝利を決めている。

 今回もまた、ルメール騎手の騎乗するクロノジェネシスがラストランで注目を集めるが、ステラヴェローチェもかつてのシルクジャスティスやブラストワンピースに続く、G1初勝利を決められるだろうか。

 人気確実のクロノジェネシスと同じくバゴ産駒なだけに、ファンから「バゴはバゴでもこっちか」といわれる一発に期待したい。

(文=ハイキック熊田)

<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?

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