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JRAステラヴェローチェに重なる元クラシック候補の低迷、「現状打破」のカギはプラス38キロ!?

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ステラヴェローチェ 撮影:Ruriko.I

 5日、中山競馬場では中山金杯(G3)、中京競馬場では京都金杯(G3)と、東西で2022年度の開幕を告げる最初の重賞が行われる。去り行く名馬もいれば、新たなニュースターも誕生した昨年だったが、今年もまた“熱い1年”が始まる。

 出走各馬の陣営含め、競馬ファンにとっても注目のレースとなるのだが、中でも最も話題を集めたのは、ステラヴェローチェ(牡4、栗東・須貝尚介厩舎)陣営による中山金杯登録だろう。

 同馬は昨年暮れの有馬記念(G1)で4着に入ったばかり。連闘する馬も珍しくないとはいえ、前走との間隔は1週間少々。おそらく登録のみで出走する可能性は低いと予想された通り、最終的に参戦は見送られている。

「日経新春杯(G2)出走を表明していることからおそらくハンデの確認が目的だった可能性が高そうです。発表された斤量も57キロでしたし、陣営の予想通りといったところでしょうか。

ただ、クラシックを皆勤してG1タイトルに手が届かなかった前例にあの馬がいるため、同じハンデだったことは少し引っ掛かります。ハンデを確認したケースも同じでしたからね」(競馬記者)

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ヴェロックス

 記者があの馬と触れたのはヴェロックス(牡6、栗東・中内田充正厩舎)のことだ。こちらは、ステラヴェローチェと同じくクラシックを皆勤。上位人気に推されながらも悲願の戴冠とはならなかった。

 シルクロードS(G3)に登録後、単勝1.4倍の圧倒的人気を背負って出走した小倉大賞典(G3)を9着に敗れ、以降は重賞に出走しても掲示板前後まで。G1どころかG3でも勝てない状況が続いている。

 だからといって同じ道をステラヴェローチェが辿ると考えるのは早計だが、かつてトップクラスの成績だった競走馬が、別馬のように低迷することはよくある話でもある。この偶然の一致を他山の石と片付けてしまうのも怖さが残る。

 そこで重要となるのは成長力だろう。ヴェロックスが伸び悩んだ理由の一つに馬体重が増えなかったこともあるのではないか。492キロでデビューした同馬の馬体重は、前走のキャピタルS(L)出走時で484キロ。増えるどころか減っていることは覚えておきたい。

 これに対し、488キロでデビューしたステラヴェローチェは、有馬記念出走時に498キロと10キロ増えた。このまま善戦マンで終わらないためにもさらなるパワーアップが求められる。

 この馬の活躍で注目されたのはクロノジェネシスと同じくバゴ産駒だったことだ。春の三冠を惜敗した同馬は、秋華賞(G1)で初G1制覇。初の古馬相手だったエリザベス女王杯(G1)では敗れたものの、翌年からの快進撃は周知の通り。

 そして、トップクラスにのし上がったその裏には、類まれな成長力が伴っていた。440キロでデビューした当時、小柄な部類の馬がラストランとなった昨年の有馬記念出走時には478キロのグラマラスボディを手に入れていたのだ。

 38キロの馬体重増があったからこそ、強靭な肉体を手に入れることに成功したクロノジェネシス。そう考えるとステラヴェローチェが今後、エフフォーリア始め強力なライバルと互角に渡り合うためには、大舞台に強いM.デムーロ騎手の援護だけではなく、陣営の予想を上回る成長が求められる。

 昨年は陣営からもこの馬の完成は来年といわれた未完の大器。この見立てが本当なら、日経新春杯ではさらにパワーアップした姿を見せてくれるに違いない。

(文=高城陽)

<著者プロフィール>
 大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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