JRA昨年末の「お騒がせ男」が目指す公開謝罪!? “ノーダメ落馬事故”に賛否両論…京都金杯(G3)師匠の心意気に応えたい若武者は横山武史に続けるか
2022年の開幕を告げる京都金杯(G3)が、5日に中京競馬場で開催される。
衝撃の三連単122万馬券から1年。12番人気だった勝ち馬ケイデンスコールばかりが記憶に残る昨年の京都金杯だが、忘れてはならないのが14番人気で3着した、もう1頭の立役者エントシャイデンの存在だ。
スタートから積極的にハナに立ったエントシャイデンは、そのままマイペースで最後の直線へ。後方に控える上位人気馬がけん制しあう中、あわやというシーンを演出した。
実は一昨年の京都金杯でも、ハナ争いを演じた14番人気のボンセルヴィーソが3着に粘って波乱を演出している。近年の京都金杯の波乱の使者はずばり、「逃げ馬」といえるだろう。
ただ、今年の出走馬にはカイザーミノル、クリノプレミアム、サトノフェイバー、ダイワキャグニー、ディアンドルといった逃げ馬候補が多数……。逃げ馬を狙いたいものの一体、誰がハナに行くのかも想像がつかないファンも少なくないだろう。
そんな中で推したいのが、番手でも崩れないトーラスジェミニ(牡6歳、美浦・小桧山悟厩舎)だ。
昨夏の七夕賞(G3)勝利から札幌記念(G2)、毎日王冠(G2)と中距離馬のイメージが強いトーラスジェミニだが、実は全8勝の内6勝を1800m、1600mで挙げているスピード型の逃げ馬。昨年の安田記念(G1)5着の実績は、ここなら大威張りしてもいいはずだ。
「七夕賞を勝った後、札幌記念が10着、毎日王冠が11着とさっぱりだったトーラスジェミニですが、元々逃げ馬らしく“ピンかパーか”という馬なので、着順は気にしなくていいと思います。
それよりも秋のG1挑戦を自重したことで『連戦の疲れが取れた』と陣営は好感触。追い切りは格下の馬と併入でしたが、かなり後ろから追いかけての結果ですので、動きは悪くなかったと思います。
今回はまだ重賞を勝ったことがない若手の原優介騎手が起用されることで、人気にならないと思いますが、初コンビを組んだ昨年の東風S(L)では見事な逃げ切り勝利。馬場が悪くなってきた今の中京もいいですし、ここは絶好の狙い目だと思いますね」(競馬記者)
今年が3年目のシーズンになる原騎手といえば、先月大井競馬場で行われたヤングジョッキーシリーズファイナルラウンドで斜行。落馬事故の原因として騎乗停止処分になったことで注目が集まったばかりだ。
しかし、JRAは「中央競馬と地方競馬間における処分の相互適用実施要項」に基づき、地方競馬が科した騎乗停止期間をそのまま適用することを発表。原騎手は12月29日から1月1日まで4日間の騎乗停止処分を受けたものの、5日のJRAの開幕には参戦できる。このことには多くのファンから賛否両論があった。
「4頭が落馬し、3名の騎手が病院へ搬送される痛ましい事故でしたが、競馬にこういったアクシデントは切っても切り離せない付き物。原騎手も大いに反省している様子でしたし、こんな時にチャンスを与えてくれた師匠の小桧山調教師の思いにも応えたいところでしょう。
この日は京都金杯の1鞍しか騎乗がありませんし、本人も期するものがあると思いますよ。勝って勝利騎手インタビューとなれば、全国のファンに謝罪できる機会。ここは頑張ってほしいですね」(別の記者)
トーラスジェミニといえば、31戦8勝ながら2着は0回、3着もわずか1回しかない典型的な「来るならアタマ」という馬だ。
昨年末には油断騎乗で騎乗停止処分を受けた横山武史騎手が、翌日の有馬記念(G1)を勝って“公開謝罪”をしたばかり。原騎手も、ここで重賞初制覇を飾り、全国の競馬ファンにお詫びしたい気持ちがあるはずだ。
(文=大村克之)
<著者プロフィール>
稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。
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